Jeff Lorber Fusion - Wizard Island

Jeff Lorber Fusion - Wizard Island (1980)
ウィザード・アイランド

 既に一ヶ月くらいフュージョン的なのをひたすら聴いてるが、もちろんその合間合間にはもっといろいろ聴いているからそれだけではないんだけど、一つの方向性だけでないフュージョンと呼ばれる世界の広さを多少分かった気がする。まだまだ聴けてないアルバムやバンドも多いし、それを混んでこれからも聴くか、と言われると何とも言えないんだが、ただこの暑さの中にこういうのを聞くってのはなかなか快感ではあるんで、夏ごとに聴く音になるのかも、とは言えるか。レゲエやダブだけでもなく、こういうのもありだね、って。もちろん暑苦しいハードロックってのもありだろうし、そりゃもう気分次第。知ってるなら知ってる方が聴くものの幅が広がるって話だ。

 Jeff Lorber Fusionの1980年リリース作「Wizard Island」、ケニー・G参加の名盤と謳われている作品らしいが、ベースのダニー・ウィルソンの時代を感じるチョッパーバリバリのフュージョンベースもかなり素晴らしい。もちろんリーダーのジェフ・ローバーの割と変態的ですらある鍵盤プレイも目立ちまくっててユニークな作品なのが分かる。聴いてて思ったのは、これこそフュージョンって感じの曲がズラリと並ぶことだ。ギターがほとんど目立たないのが残念だけど、曲とか雰囲気とかベースやドラム、編曲や鍵盤の音色なんかも含めてまさに自分が認識していたフュージョンそのまま。もしかして彼らを聴いてフュージョンを知ったんじゃないか、ってくらいにそのままなのが面白い。

 最後の最後にチック・コリアが参加しているのが多少話題になるくらいなんだろうが、それ抜きでもアルバム的にはかなり存在感あるものだろうし、各プレイヤーのフュージョンチックぶりが聴き応えある。細かいトコロがものすごく凝ってるんで、それこそケニー・Gのプレイにしても目立つんだが、そのバックでの演奏陣のプレイがこれまたなかなかに凄いとか、そんなんばっか。それでもさほどメジャーなバンドじゃなかったんだから面白い。元来もっと知られて良いバンドなんだろうけど、スタープレイヤーがいなかったからかちょいと地味に映るバンドではある。それでもこんだけの作品なんだからジャズ界ってのは深いです。

Stuff - Stuff

Stuff - Stuff (1976)
スタッフ!!<FUSION 1000>

 譜面が読めて音楽理論を熟知して、しかも音感やリズム感もしっかりしていて当然楽器も上手く演奏できるテクニックを持っていて初めてミュージシャンと言える、そういう当然の要素を持っているのがジャズやソウル、R&Bの世界、もちろんフュージョンもそうだろうけど、そういうのを無視したもの、即ち初期衝動だけでなんとな成り立ってしまうのがロック。メタルなんかは上述のミュージシャン的な要素が無いと出来ないのでもうちょっと上位に位置するのだろうけど、パンクなんてのはもちろん一番下の方のラインに位置しているのだろうと思う。もちろんその中でも天才的なミュージシャンもいるんだろうけど、多くはそうでもなくって、ってのが多いのがロック。だからロックってのは子供騙しなんだ、と言われるもので歴史に残るような音楽には値しない、というのもある。今はそうでもなくって単に好きな人が多いから歴史に残っていくのもあるんだろうけど。あ、もちろん全部がそういう話じゃないですが。

 Stuffの1976年のデビューアルバム「Stuff」。アメリカのセッション・ミュージシャンで名を馳せることになる面々が参加しており、と言うかそういうメンツで結成したバンドなのでテクニックは申し分ないしやってる音楽も高尚な世界感でのアドリブやぶつかり合いでもあるが、激しいぶつかり合いではなくアンサンブルが整った中での応酬、だからアルバムの密度が濃いものに仕上がっていて、音色も含めて独特の音世界が出来上がっている。いやいや、凄いグルーブ感にメロウでフワフワな鍵盤、ギターも甘い香りでのメロディを鳴らしてくれるし、ドラムは要所要所のキメが凄い。やっぱりスティーブ・ガッドの凄さがヒシヒシと滲み出てくる。リチャード・ティーの鍵盤の躍動感も見事で、こういう世界があるってのを初めて知った。

 ジャズやフュージョンという世界での括りではないような気がするんだよな。R&Bやソウル、ファンクの流れの中でのインストバンドという感じで、これをフュージョンと呼ぶには少々熱すぎるのでは?なんて気がする。爽やかに流れていかないんだよ。暑い夏に聞くとより一層熱くなる感じもするし、暑苦しい、とも言うか、そんな音。だから割と好みな感触感はある。実にエモーショナルなんだよね。






Richard Tee - Strokin'

Richard Tee - Strokin' (1979)
ストローキン

 ジャズから派生したフュージョンという世界観かという認識だったけど、AORが入ってきたり黒人音楽の要素もかなり入って来てて、そういえば白人がそこに入る余地っていう方が実際は少ないハズなんだから、どうしたって黒人系のリズムが強烈になってメロディが楽器で奏でられるみたいな図式になるのだろう。白人ギタリストがその世界で活躍出来ていた方が稀有な存在なワケで、それこそギター好きって観点からみたら珍しいんだろうけど、フュージョンという認識だったから、こうしていろいろとちょこっと聴き始めるとその現実の違いを実感しているトコロ。まだまだですね。

 Richard Teeの1979年ソロ名義のアルバム「Strokin'」だけど実際はStuffのメンツが相当に参加していて、特にスティーブ・ガッドとのコンビネーションの高さを誇るこのアルバムは実に躍動感溢れるリズムと秀逸なメロディを鍵盤で奏でるという傑作で、フュージョンという失礼ながら軽やかな世界とは異なり、ドライブ感溢れ、更に縦ノリ感すら漂う特異な世界観を聞かせてくれる作品になっている。どっちかっつうと高等テクニックを持った黒人同士が競い合って白熱したプレイを繰り広げているに近い世界で、決してフュージョンという類の音でもなさそう。元々がモータウンの出身でStuffからの流れだから当然ポップス界への影響もあるし、ジャズ畑との絡みの方がないんだからそりゃそうだろう。

 特に短いながらもものすごく研ぎ澄まされたビートと鍵盤を聞かせてくれるのが「Take The A Train」で鍵盤の躍動感はともかくながらもスティーブ・ガッドの入りからドラミングから凄いセンスがビシビシと聞ける見事さ。今ではロックの世界でも名前を普通に聞くスティーブ・ガッド、やっぱり凄いドラミングです。キレが良いんだよねぇ。



Spyro Gyra - Morning Dance

Spyro Gyra - Morning Dance (1979)
モーニング・ダンス(期間生産限定盤)

 ここ最近聴きまくっているフュージョン系の作品って名盤って呼ばれるものがホント幾つも幾つも転がっていて、これまで人生で触れることが無かったから余計に刺激的ではあって、まだまだ面白いのはいくらでもあるもんだ、と楽しんでいる。そのウチもしかしたら黒人系の音楽にもハマっていくのかもしれないな、同じ理由で。そういう意味では実はアメリカのロックバンドってのもさほど真面目に聴けてはいないからまだまだ知らない世界への探求はいくらでもありそうだ。好む好まないっていうのは持ち音あるけど、それなりに名を成しているものってのはそんなにひどいモンでもないだろうから、聴いてみれば味わえる部分は多いんじゃないかと。だからと言ってすぐにそっちまで行けるかってんでもないから、まぁじっくりとアレコレしながらか。

 自分でも聴くことがあるとは思っていなかったSpyro Gyraっつうフュージョン代表格のバンドの1979年リリースのセカンドアルバム「Morning Dance」。スパイロジャイラと言えばコレってくらいに定着しているアルバム、ジャケットの印象という作品だけど、中身は聴いたことがなかった。プログレの方でSpirogyraってのがあって、そっちを探している時に何度となく出会ってしまっていたことで覚えているんだけど、ものの見事にその2つのバンドの方向性は異なっているからさ、間違って買うととっても損しただろうし、そうならないように気をつけてたからさ。それが意図的にこっちを聴くんだから面白い。

 聴いてみれば、なんとも南国チックな軽快な作品で、フュージョンっていうのかな、もっと南国寄りサウンドで、ギターが目立つもんでもないから自分的にはちょっとフュージョン感少ないけど、そのスジの名盤の一枚になるようだ。それはむちゃくちゃ売れたからというのが理由らしいがその意味ではシャカタクなんかと同じようなものか。パッと聴いて軽快な南国色なんだけど、アルバムを通して聴いてみるとそこまで脳天気なサウンドばかりが入ってるワケでもなく、しっとりしたのもあるしジャケットの印象も脳天気な南国感はあるものの、よく見れば結構節語で不気味だったりというダブルミーニング的なのもあって、ちょっとヒネてるか。ちょっとロック色強めたらロック的に面白いバンドにもなったかも、という感触はする。



The Crusaders - Street Life

The Crusaders - Street Life (1979)
Street Life

 フュージョン的なのってどうも黒人系の昔で言うブラコンってのが入ってるのが多くなるのだろうか。そういう印象もあまりなかったけどいろいろ聴いているとそっちからの方が入り方がイージーだったのかもな、とも感じる。そういうフュージョンなんてのもある、っていうことなんだろうけど、当初ギターインスト的なのから入ってきている自分的感覚からするといつしかコンテンポラリーなものに差し掛かってきてしまっているというトコロか。そうなってくると本来苦手な分野になるはずなんだが、フュージョン的な目線からだとこの黒人系でも爽やかで軽快に聞けるんなら良いのか、とも思えるから不思議。

 そのスジでは名バンドとして知られているであろうThe Crusadersの1979年ヒットアルバム「Street Life」。ご存知若かりしランディ・クロフォードがボーカルでヒット作となったタイトル曲、こいつがこのアルバム全てだ、とまで言われているようだけど、そうなるわな…と聴いてて思う。何だろな、まさにブラコンそのもの、でバンドも歌もテクニック満載で突っ込めるトコロが全くない位の完璧さ。だから売れても当然だろうし、そういう評価も当然。今の気分ではその爽やかさや軽快さを求めているから聴けちゃう自分もいい加減だなとは思うんだが、なるほど11分以上もの大作でこんだけ軽快に聞かせてしまうってのはなかなか出来ない。歌が少ないワケでもなく、楽器陣営が目立たないワケでもなくバランスよく流れてくる、まるでひとつのドラマが描かれているかのような展開で、それも展開が多いわけじゃなくてシーンの情景だけが変わっていくというような感覚での長時間楽曲。個々の楽器の面白さもしっかりとあるんで、なるほど名作と言われる曲でしょうな、と。

 これ、映画の「ジャッキー・ブラウン」でカバーされて流れていたってことなんだが、そうなんだ?あまり記憶にないからまた今度見てみようかなとは思うが、確かにマッチするかも。しかしクルセイダーズってメインはトロンボーンとかサックスで、ラリー・カールトンがいた頃はともかく、この時期は既に脱退してブラコン一直線なスタンスだから取り立てて聞けるトコロが多くないのはちょいと選定ミス。ま、そういうのもあるんだな、ってジャズ的BGMとして聴いていたけど、心地良いのはあって、どこかドラマや映画やテレビなんかで使われやすそうなサウンドという感覚だったね。




George Benson - Breezin'

George Benson - Breezin' (1976)
Breezin'

 相変わらず暑い日々が全国的に続いているが、自分がその暑さに慣れてしまうってことは無いほどの暑さ、人間の住む世界を超えている灼熱の暑さになりつつある気がしてて、もうじき地球は滅亡するのでは?みたいな気もする(笑)。異常気象に天候異変など世の終わりを予感させる出来事が続いて起きている、なんていい方をすれば時代が異なれば新興宗教的に世紀末を訴えてきてもおかしくない近況。そんなことを一切無視してエアコンの中に居続けることで外界との接触を絶っていればそれなりに快適な生活、ではあるがちょいと物足りない…、なんてことは出来るはずもなく、世間並みにこの灼熱の中を生きている日々。暑苦しい音楽からは離れて軽快なのを聴いている事も多くなったが、案外面白いなって思っていて、昔のロック小僧からしたら信じられないものばかりを聴けているのはなかなか不思議。それでも発見はいくつもあるし、へぇ〜ってな事も多い。

 George Bensonの1976年の出世作「Breezin'」。何が出世作ってレオン・ラッセルの「The Masquerade」のカバーで見事なボーカルを披露してからというもの、フュージョン系ギタリストのジョージ・ベンソンからR&Bシンガーのジョージ・ベンソンってギターも上手いよね、になるワケだ。この「The Masquerade」ではギターとボーカルをユニゾンさせた展開が印象に残るスタイルで、確かにソウルフルなボーカルを聞かせてくれていることで殊更に評判が高まったようだ。それ以前のボビー・ウォーマックのカバータイトル曲「Breazin'」だって爽やかなAORムードのフュージョンで、これぞBGMって言わんばかりの快活で軽快な作品が聞けるんだから面白い。ギターの音が凄く聞こえてくるんでついついこのギター何だろう?って気になってくる。ハコギターなんだろうなぁとは思うけど、ハコ系って全然音がわからないから何、って特定できないけど、ムーディな音色だなって聴いてた。

 他の曲にしてもギターだけでなく、ボーカルも他の楽器類もきちんとフューチャーしてあくまでも軽快で軽やかな雰囲気で作られている作品。時代的にはフュージョンからAOR、そしてポップス領域への進出を目論んだ意欲作として知られているらしいが、それならジャケットもうちょっと何とかしろよ、とか思うのはともかく、中身の音はなるほど、見事な一枚。こんな暑い日々に聴いていても爽やかに聞ける。




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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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