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フレ

Author:フレ
物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。

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Sonic Youth - Goo! 

Goo ダーティ
Sonic Youth - Goo Goo
Sonic Youth - Dirty Dirty

 遅れてきたパンクス=オルタナティヴロックとして定義されたのは1990年代になってから、それは多分にREMニルヴァーナのハードでグランジなスタイルによるものから同一視されてきたものだが、ニューヨーク出身の面白いバンドがひとつある。ソニック・ユースというバンドだが、そもそも1970年代のニューヨークパンク=テレビジョンパティ・スミスラモーンズなんかをリアルタイムでライブを見ていた輩がその後すぐに結成したのがこのバンドの始まり。即ちメンバーは今では50歳前後だっつうことだ。1990年代においても当然30代に入っていたワケなので他のグランジ系バンドなどとは大きく隔たりがあったのだ。言い換えると70年代からバンドをやるもののインディーズでのアルバムリリースレベルに留まっていて、決してメジャーには躍り出ることなくニューヨークのアートシーンからドサ回りをすることで地道なファンの拡大をしていたということだ。日本のパンクバンドにライブハウスツアーを同じようなものだろうか。しかし90年代に入ってから煌びやかなロックに終止符が打たれ、その時に退廃的なサウンドが全面に出てきたワケだが白羽の矢が立ったのがソニック・ユース。そりゃ、そのサウンドで十数年もライブを回っていてインディーズながらも実験的なアルバムを数枚リリースしていたワケだから、声かかりやすいわな、と。で、メジャー契約したのがなんとゲフィン。

 …と今なら語れるストーリーだけど当時は全然情報なくって、とある時に知り合った女の子に凄くかっこいいバンドあるよ〜って言われてCD貸してもらったのが最初でこのバンドを知った。当然すぐCD買いに行ったんだけどね。それが「Goo」ってアルバム。今でもたまに聴くけど斬新。最初からクールなノイズと実験的サウンドはするんだけどその辺が完成度高いのかえらく聴きやすいワケよ。激しく叫べ〜っていうのじゃなくて、ノイズとは言えどもホントにノイズまみれというわけでもなくって凄くバランス取れてる。ギターの音にしてもベースの音にしても全然メジャーな音じゃなくって、それがまたナマナマしくって良いんだけどさ。初っ端の「Sonic Youth - Goo - Dirty Boots Dirty Boots」とかやっぱかっこよいもん。ベース、ってそういえば女性なんだよね。で、このキムが歌も歌っているんだがヒステリックっつうか世の中ナメてる、っていうような歌い方で面白いし、パンキッシュ。パンクっつうかノイズっつうかグランジっつうかまぁ、オルタナティヴな音。これはねぇ、一時期相当聴いてたからどこかエロティックな思い出もあったりする。うん、このCD教えてくれたお姉さんね(笑)。

 この後の「ダーティ」っつうアルバムも結構聴いたなぁ。この二枚が完成度高いと思うし、今では廉価版出てるくらいだからさ。「Goo!」はデラックスエディションもリリースされているみたいで時代が一回りすると色々と面白いことあるんだなぁ、と。ジャケも良いし、音も新鮮だし、さすがニューヨークの音、というのは貫かれていると思う。

Patti Smith - Gone Again 

Peace and Noise

 パティ・スミス

 同じアメリカの女性シンガーでもこれほどまでに指向性方向性表現力などなどが全く異なる唯一無二の存在という人も珍しい。パンクの旗手と言われることもあるし実際パンク的な要素を持った作品で世に出てきたということもあるのだが、それよりも何よりも彼女は詩人であり、パフォーマーであった。そして赤裸々に自身のありのまま生きている、そんな人だと思う。70年代から80年代にかけての作品についてはまたおいおい進めていきたいなと思ってるけど、それよりも1996年に久々にシーンに復帰するということで話題となった「ゴーン・アゲイン」と言う作品がかなりインパクトを放っていて重い作品。そしてその後すぐに初の来日公演を果たしたので、イソイソと見に行ったものだ。70年代の頃のイメージで見に行ったものだが、当然そうはならず、もっと重みのある、そしてエネルギーに満ち溢れた、そして悲愴感漂うものだったけど、でも彼女のスピリットは思い切りヒシヒシと伝わってきた、えらく疲れるライブだった思い出があるな。

 「ゴーン・アゲイン」=「また行ってしまった…」。タイトル通り友人や家族が立て続けに逝ってしまった時期、一度は挫折しながらも完成させて世に出したいわゆる復帰アルバム。復帰というには重い環境ではあったがその時の状況が赤裸々に描かれていて、それが音にまで反映されているという、決して軽々しく聴いてはいけない作品。ファーストアルバム「ホーセス」のジャケットを撮影したロバート・メイプルソープ氏が亡くなったのを筆頭に、元バンドメンバーのドラマーを亡くし、更に自分の夫であるフレッド・スミス氏を亡くし、同年、自分のローディを務めていた実弟を亡くす…。しかしディランからツアーの前座という声がかかり復帰に向けて人生のコマを進めていったことで赤裸々な想いが集約されたのがこのアルバム。だからはっきり言って滅茶苦茶暗いし重い。ただ、凄く響くアルバムで、元々彼女の作品は好きだったからこういう方向性のアルバムが出てきてもおかしくないし、リリースされた当時はそれこそこの音とその深さにハマって聴いたアルバムだなぁ。曲として云々っつうよりもアルバム全体での重さがね、好きって言ったらおかしいけど荘厳な雰囲気を醸し出してる。

 パティ・スミスの作品で他人に薦めるんだったら多分このアルバムを選ぶ。ファーストの「ホーセス」も良いけど、それよりも人生の重みを吐き出しているこのアルバムの方がロック魂を持っているか否かってことがよくわかっちゃうんじゃないかな。嫌いな人も多いだろうけど、それでも作品としての価値は認められるものだろうと思うしさ。まぁ、音楽なんて他人に薦めるものではないが…。そんなパティ・スミス、この作品をきっかけに全盛期以上のペースでアルバムをリリースしてライブも精力的にこなしている。既にそんな活動が十年以上続いているワケで、最早完全に大御所。何回か日本にも来たみたいだけど、最初の来日以来行ってない。なんかさ、軽々しく触れてはいけないような気がして。

 この人、確かまだDVDとか映像作品って出してないんじゃないかな。ライブDVDとかもないし、もちろんライブアルバムもないし…、今の状況でのライブとかリリースされないのかなぁ…。そろそろ歴史を振り返る意味で出してくれても良いと思うんだが。

Patti Smith - Horses Horses
Patti Smith - Peace and Noise Peace and Noise

Talking Heads - Remain In Light 


 時代はパンクムーヴメントも去りゆく中、新たな波=ニューウェイヴが台頭してきた頃、ボウイとのコラボレーションに一区切り付けた変人ブライアン・イーノはプロデュース業に精を出しており、何をしても良い時代が到来するや否や新たなる領域へ手を付け始めた。それがトーキング・ヘッズのプロデュースとなるワケだ。

 …とは言えどもバンドの方もパンク全盛時代に出てきたものはいいけれど、全くうだつの上がらない状態でアルバムを数枚リリースしていたが、そんな状態のバンドに守護天使のように(…かどうかは知らないが、もしかしたら凄い邪魔者だったかもしれないけれど)現れたイーノは彼等のサウンドと姿勢を気に入り、アルバムのプロデュースを買って出たようだ。それがトーキング・ヘッズ史上最も有名なアルバム「Remain in Light」だ。そうだね、大体のロック本には名作アルバムとして書かれているし、トーキング・ヘッズの最高傑作とも言われている。

 うん、まぁ、そうだろうなぁ。でもさ、コレ、イーノのプロデュース…、ま、そこはバンドの才能を引っ張り上げたっつうトコでさすがなものなんだけど、そこにさ、エイドリアン・ブリューを入れてしまうところがミソ。おかげでバンドがもの凄いことになってしまったのだ(笑)。全体的にはイーノがやりたかったことなのかな…、呪術的とも言えるアフロリズムにデジタルチックなビートっつうかサウンド。で、ブリューのギター…効果音ギター…、そしてデヴィード・バーンが曲とは無関係に書き溜めていたメロディをぶち込んだとんでもなくパンク…と言うのかニューウエイヴというのか、滅茶苦茶実験的な作品なわけで、背景と歴史的には名盤として語られるべきだが、普通に聴いていた時には全く興味のもてないバンドで拒絶反応だったね。ま、今でも好きじゃないけど、やってるコトってのはイーノという人が見えてくると納得できるものなので、まぁ、アリかな、とは思う。う〜ん、まだまだまともに聴くには時間かかるかな。ブリューっつうのもねぇ、あまり好みではないギタリストなのだが、凄い才能はある人だし、やっぱりとんでもないギタリスト。この後ブリューってさ、ソロアルバムとかクリムゾンとかで歌うんだけどデヴィッド・バーンなんだよな…、この頃の影響はもの凄いんだろうな。

 …ってなことで、あまりにも若かりし頃に聴いたが故に全く理解できずに十数年以上経ってしまったこの作品にこんな形で再会するのも何だが(笑)、80年代以降の英国ロック界に与えた影響はとてつもなく大きいことは事実。

Talking Heads - True Stories True Stories
Eno/Byrne - My Life In the Bush of Ghosts My Life In the Bush of Ghosts by Eno & Byrne

Bob Marley & The Wailers - Live! 


 レゲエミュージックがロックのフィールドに顔を出してきたのはいつ頃なんだろう?多分70年代に入ってからだと思うんだけど、その頃の筆頭って多分ダントツにボブ・マーリーしかいないでしょ。あんまりレゲエの方は深く調べて聴き入ったことがないので詳しく知らないけど元々はスカってのがあって、それが徐々に柔らかくなってきた後に出来上がったのがレゲエミュージックで、既にその時点でロックと同じく融合音楽になってるワケだから言葉は違うけどロックと大して差がない育ち方してるみたい。ただ育った国とジャンルが違うだけ。だからワールドワイドになってきた時点でロックとレゲエが出会うこと自体は至極当然のことなんだよね。中でもボブ・マーリーっていう人の人生は凄くロック畑の人間達には共感できる面が多くて、しかも大麻の香りプンプンするってのも好かれたのかもしれん(笑)。

 そんなボブ・マーリーの数ある…それこそ近年CD時代になってから彼等の発掘音源なども含めるとジミヘンまでとは言わないがかなりの音源がオフィシャルリリースされてきているのだが、それでもやっぱり色褪せることなく今でも世界中で愛聴されているのが「Live!」のハズ。1975年7月にロンドンで行われたライブを収録した一枚で、多分このアルバムが後の英国での若きパンクスに多大な影響を及ぼしたサウンドだろうと思うんだけど、何というのか…心地良いライブアルバム。凄いっていう言葉じゃないんだよな、コレ。いや、アルバム自体は結構聴くし心地良いし絶対人にも薦めたい作品だけど、凄いから、っていうより何というのか、これがレゲエの最高峰だから、コレでわかんなかったらレゲエは聴かなくていいんじゃない?っていうアルバムとして存在しているかな。そういう意味ではモータウンの作品なんかも同じように薦めたいってのもあるけどね。

 そうだな、冒頭のかけ声からライブが始まるぞっていう雰囲気とやっぱりアジテーションを凄く感じるってのは全編に渡ってあるし、それともう一つ全編に渡ってたっぷりと感じるのが、す〜んごく甘ったるいハッパの香り。何なんだろ、これ?っていうくらいに甘ったるいハッパの香りがプ〜ンって漂ってるんだよ、ホントに。音楽って凄いよな、匂いまで表現できちゃうんだもん。匂い、物質的な意味での匂いが香るアルバムってそう多くはないけど、中でもこいつはダントツ。他のレゲエミュージックの軽々しさとは全く違う存在感を放っているのはそこだね。もちろん収録曲全てが代表的な作品ばかりで、特筆すべきはやっぱり「No Woman No Cry」なんだけどさ…、コレはギターの音色も含めて完璧にボブ・マーリーの世界…っつうかレゲエミュージックに於ける甘いメロディの代表。他にも自分的には「Burnin' & Lootin'」なんてのも好きだったりするけどね♪後半の楽曲はもう怒濤の名曲連発で、真夏に汗を垂れ流しながら聴いていると熱さを忘れさせてくれるサウンド…、ホント素晴らしい。

 同じジャケットでロンドンのレインボウでのライブを映像で収録したDVD「ライヴ・アット・ザ・レインボー」もリリースされているので、どんなんかも見ておきたい輩にはコイツを薦めるね。それと調べてて知ったので偉そうに書けないけど「Live at the Roxy: The Complete Concert」なんてCDもリリースされているので今の時代ならボブ・マーリーの歴史を結構容易に紐解けるみたいなのでこのレゲエの帝王を漁ってみる夏休みってのも良いかも♪ ちなみに他にもブラック・ウフルとかスティール・パルスと云ったロック寄りのレゲエバンドもあるんだけど、ボブ・マーリーのがやっぱり「レゲエ」なんだと思う。レゲエリズム、ではなくって「レゲエ」ミュージックね。要するに模倣じゃないよってことだけなんだけどさ♪

Television - Marquee Moon 


 もうひとつのニューヨークパンクを代表するバンドの筆頭として一般的にはトム・ヴァーレインの率いるテレビジョンが挙げられるんだけど、個人的には結構不思議。サウンド的にはどちらかと言えばパンク以降にイギリスで流行することとなるいわゆるニューウェイヴ(古い単語だが・・・)に通じていくサウンドで、ある意味その最先端だったワケだが、パンクか、となるとちょっと違うのでは?って感じ。もちろん歌詞にこめられるメッセージ性を中心に捉えれば十分パンクで、トム・ヴァーレインという人がパティ・スミスと大いに関係のある人なので、ニューヨークパンクとして括られるのはわかるんだけどね。それにしては上手いし、音楽性もしっかりしている。名盤と呼ばれる「Marquee Moon」が代表作、っつうか二枚しかないんだけど、この音を聴くと改めてその斬新な取り組みに驚かされた。

 先にも述べたように、後のイギリスでブームとなるニューウェイブサウンドの原点とも言える透明感のあるギターの音色、そしてバンドサウンド全体でもかなり透明感のあるおしゃれな音にポップでキャッチーなフレーズがふんだんに使われているので、当時では斬新だったと思う。ライブではどのようなスタイルだったのか知らないのでとりあえずスタジオ盤を聴いた限りのことしか書けないけど、好きなファンには異論があるのかもしれないね。「Marquee Moon」のリリースは1977年といわゆるニューヨークパンクの流れからはかなり遅めだったにもかかわらず、やはりトム・ヴァーレインのカリスマ性が凄かったようだ。ある意味ヴェルヴェッツ直系のサウンドとも言える。発展系、なのかな。初めて聴いた時にはバンドの印象と聴いた音とのギャップがあって、もっと激しいのを期待していたからかもしれないけど、少々肩透かしを食った。ただ、年と共に何回か聴き直していくとその新鮮さがわかってきた作品で、なるほどロック史に名を残すはずだなぁと納得。

 パティ・スミスの「Horses」のデラックスエディションのディスク2に収録の2005年のライブにも参加していて、伝説となっていた頃にパンクの女王とアングラの帝王的なトム・ヴァーレインが一緒に演奏するってのはやっぱり興味を覚えたね。確か未発表曲を集めたアルバムなんかもリリースされたみたいで、一時期再燃していたのが記憶にある。そこまで追いかけてはいなかったんだけどさ。しかしロックってのはやっぱりイギリスで発展していったものという事実は知っていたけど、こんなところに原点があったってのはニューヨークってのは奥が深いなぁと感心。イギリス人はそれを取り込んで新しいものにして吐き出すのが上手いんだよな。

Patti Smith - Horses 


 ニューヨークパンクの女王として唯一無二の存在として今でも君臨している人と言えばパティ・スミスだ。シーンに登場するのは1973年頃なんだけど、詩人である彼女はデビューというモノに気を遣っていたようで、29歳のデビューということで結構年取ってからの登場となり、実際は60年代のアーティストに近い感覚ではあるかな。彼女が影響を受け、カバーしている曲はザ・フーやボブ・ディランなどで影響を受けているのはジム・モリソンやランボー、そして有名なカバー曲ではヴァン・モリソンの「Gloria」だしね。当時ニューヨークのアンダーグラウンドシーンでは当時からものすごい存在だったようで、そのパフォーマンスは噂が噂を呼んでとんでもない風評が聞かれていた。彼女の名前を知った時には既に伝説の存在で、いまだに全盛期のライブの様子は映像で見たことがないのが残念なんだけど、一体どんなんだったんだろ?「Birdland」で聴ける熱いライブだったのかな。1973年頃にはNYドールズの前座でたった一人でステージで詩の朗読を行っていたというからその度胸には恐れ入る。

 1975年に大手レーベルアリスタからアルバム「Horses」でデビューしたが、凄くラフな演奏に魂のこもった説得力のある歌で聴き手に迫ってくるサウンドにはついつい惹き込まれてしまったし、それはきっと多数の人が同じ想いだったんだろうなぁ。よく言われるんだけどアルバムジャケットもさ、中性的なイメージを醸し出していて、何かを訴えかけているような感じもするし、何も訴えていない感じもするし、要するにクールな写真。かの有名なロバート・メイプルソープの手による有名なアートワークが、ここまでアルバムのイメージを写し出すものかと思う。こういうのってニューヨークらしい芸術的センスなんだよね。もちろんアルバムの中身も刺激的で、何と言っても「Gloria」の斬新なアレンジはヴァン・モリソンのオリジナルを軽く超える迫力だし、パティ節を確立した一曲でもある。最後はレガシーエディションだとボーナストラックのレア曲、「My Generation」と見事に自らの影響をさらけ出しているんだけど、その間に収まっている曲は今やどれもスタンダードな名曲。もちろんファーストアルバムだけでは語れない彼女の70年代の作品はどれも外せないんだけどね。最近になってこのアルバム「Horses」のレガシーエディションがリリースされて、見事にリマスタリングされたオリジナル音源に加えて、2005年にアルバムそのままの曲順で演奏されたライブがディスク2に収録されているという驚くべきセットが発売されている。その間30年、彼女の生き様を埋めるかの如く収められたこの音源は実に、本当に重みがある。

 1996年最愛の夫と友人を亡くしたパティは自分のため、子供のためにシーンに返り咲くことを決めて、復活作「Gone Again」をリリースしたんだけど、以前よりも更に迫力、というか魂を込めた凄みを増した作品は重く重く響いた。音的にはそんなに重くないんだけど、やっぱり情念が重いのかな、凄く疲れるアルバムだ。でも彼女の再起は寝た子を起こすだけの魔法が宿っていて、ワールドツアーの一環でついに来日公演が実現した時、初めてステージでの彼女を見ることができたのは幸せだった。それは全盛期のものとは恐らく全く異なるステージだったと思うんだけど、圧巻だった。重みがヒシヒシと伝わってくる、決して楽しむためのライブではなく、彼女の人生を皆で共有する、そんなライブだった。昔からずっとレニー・ケイというパンクの伝道師と共にバンドを組めているのも幸運なことだろう。以降コンスタントにアルバムをリリースしているんだけど、今でもアングラの女王であることに変わりはない、素晴らしいアーティストの一人だ。

Ramones - Ramones 


 世の中でパンクバンドを自称するバンド、またはガンズのようにパンクからの影響を公言しているバンドの数々がほぼ必ず挙げるバンドが泣く子も黙るラモーンズ。結成は1974年で、アルバムデビューは1976年4月。当時の新鋭レーベルSireからのリリースでアメリカにしては思い切った売り方をしたものだ。イギリスのパンクの雄と呼ばれるセックス・ピストルズのデビューが1976年11月なので、まだロンドンでピストルズのギグが駆け出しの頃、即ちパンクが発足しつつある頃にニューヨークから既にパンクという言葉ではないが、3コードロックンロールでエネルギーをぶつけるサウンドを奏でるバンドが存在していたってことだ。

 そのデビューアルバムがその後のラモーンズの全てを物語っていて、正直言ってどれもこれも同じ曲にしか聴こえないくらいにワンパターン化したサウンドは正にラモーンズの象徴。それでも代表曲となっている「Blitzkrieg Bop」ってのは誰も聴いたことがあるだろう。ホラ、あの「Hey Yo! Let's Go!」ってヤツ。故ジョー・ストラマーのライブでも流れていたし、ハノイでもブライアン・セッツァーでも流れてたな。メンバーはさすがにニューヨークのアンダーグラウンドシーンで育っているだけあって実は結構なインテリって聞いてるし、もちろん全員兄弟ではなく芸名で、名前の由来は結構可愛くてさ、ポール・マッカートニーがアマチュアの頃リバプールでポール・ラモーンっていう名前で演奏していたっていうのを知って、ラモーンという名前を全員に付けようってことになったらしい。ウソかホントか知らないけど、健気だなぁとふと思う。だからラモーンズって結構狙って出来上がっている部分もあるんだなぁ、と。ファッションにしても髪型にしても音楽性にしても統一感こそが、って感じだしね。それでも凄いことに決して変わりはないんだけどさ、そうやってアピールしてこそ、ってのがちょっとアメリカ的かな。

 まあ、それはそれとしてもファーストアルバムもリマスターされてるくらいだし、他には多分「Ramonsmania」「Ramonesmania 2」があれば全て事足りてしまうんじゃないかと思う。まだパンクと呼ばれる前の最高に激しいロックンロールがここに詰まっているっていう聴き方だね。ポイントはちょくちょくと3曲くらいづつ聴くこと。そうすると常にかっこいいって思えるから(笑)。それ以上聴くと飽きる、かな。

Iggy Pop & The Stoogies - Raw Power