アトランティックが産んだ世界的なロックバンドってのはいくつもあるが、その中には多分イエスってのも入ってくるだろう。個人的にはあまり好きではないバンドではあるけど、楽曲のレベルの高さとか個人の技術なんてのはかなり凄くてやっぱり聴かざるを得ないバンドでもあるね。いや、もちろんプログレ好きだから大体のアルバムは聴いたし、今でも持ってるんだけど好き嫌いでいくとあまり得意ではない…。多分ジョン・アンダーソンの声質が苦手ってのが大きい。なので、かなりウケの良い、それ自体で名作と言われているクリス・スクワイアのソロアルバムなんてのはどうだろう?ってことで入手した経緯がある「Fish out of Water」というアルバム。
Days of Future Passed To Our Children's Children's Children
そんな中でも最高傑作として言われているアルバムが1971年にリリースされた6枚目のアルバム「童夢」。もちろんどれもこれもが水準の高いプログレッシヴ…というかどうかは別としてサウンドを奏でているのでその中でも最も取っ付きやすいアルバムが「童夢」というだけなのかもしれない。ジャケットの神秘さ、原題タイトルは「Every Good Boy Deserves Favour」と頭文字を取ると「E G B D F」っつうコード進行となるワケさ。そんなところからしてコンセプトアルバムです(笑)。いや、そもそも超有名な「サテンの夜」っつう曲が入っているファーストアルバム「デイズ・オブ・フューチャー・パスト」だって一日の模様を朝から夜まで物語るというコンセプトの元で作られていたワケで、そういうバンドなんです。ただ、どういうワケか一般的に認知されにくいというか、あまり話題に上らないグループですな。
そんなことでクラシカルサウンドをロックに持ち込んだピアノ主体のバンド…と言うワケでもないのかな、でも聴いている音色の限りでは絶対ピアノ中心のハズ(笑)。そしてドラマティックな曲構成と美しきクリスタルボイスによる壮大なアレンジでプログレのレベルを一気に引き上げているバンドでもあるルネッサンス。アニー・ハスラム率いる、というワケではないのだが、やはりアニー・ハスラムの圧倒的な存在感がバンドを支配してしまっている感が強く、その美しく荘厳な楽曲が次に引き合いに出されるものだが、楽曲の方も圧巻。アルバム的にはレーベルをBTMに変えた頃のリリース作品「Scheherazade & Other Stories」や「Turn of the Cards」当たりが最も内容的には濃くって英国風なのがよろしい。その前後はどちらかと言うと明るめの要素ももっていたけどこの二枚は何故かちょっと重い部分があるんだよね。それと、この二枚ってのは今でこそ容易に手に入るけどアナログの頃には全然見つけられないタイトルでさ、他のは結構アチコチにあるんだけど、この二枚はレーベルが違って再発とか少なかったのかなかなか見つからなくって結構必至に探してた。んで、探して見つけて聴いた時の感動もまた一際高くてやはり思い入れの強いバンドになってしまったのだな。
邦題「シェラザード組曲」全4曲。うん、4曲しか入ってないのだ。A面3曲、B面1曲(笑)。それこそ美しいクラシカルなピアノのイントロから始まり、10分オーバーの曲にしてはシンプルな楽器構成で作られた「Trip To The Fair」は実によく練られたアレンジが施してあり、そしてまたアニーの歌が全体の楽曲を引っ張り込むようにベースも鍵盤もドラムも歌ありきの盛り上がりを見せる。しかし一方ではアニーの出番はそれほど多くもなく、きちんと楽器の構成で曲を組み立てているし、そこで何かの楽器が冗長なソロを奏でていることもなく美しい、という形容詞しか当てはまらないのかな〜、なんて。もちろんコーラスワークによる盛り上がりなんてのもしっかりしていて、大きい音で聴いていると正に感動。メインテーマに戻ってくるあたりはいつものことながらホッとして落ち着くが、それだけに留まらないなが異質の楽しみを味わえるね。そして小曲「Vultures Fly High」は一気にロック的な作品になっているが、リズムの面白さと鍵盤に支えられた変わりものの曲だけどしっかりとルネッサンスらしいポップさに彩られたメロディが印象的。そして後にリッチー・ブラックモアのブラックモアズ・ナイトでもカバーされた「Ocean Gypsy」だが、これぞ名曲。メロディの美しさは当然ながらアニーの持つ優しい歌声が心を包み込んでくれる壮大な海に抱かれる気分を味わえる傑作。確かアニーの好きな曲のトップか何かだったような機がする。それくらい素晴らしい作品。B面に至っては正に「シェラザード組曲」がしっかりと紡ぎ出されており、歌詞の内容にも注目されることが多い。自分的には歌詞の内容にあまり興味を持って接したことがないのでよくわからないが、多分曲通りの構想だろうなぁ、と推測。オープニングのテーマから、というかテーマらしいテーマから始まるのでそれだけで正に一大絵巻が始まるなという印象を持つオープニング。そして美しきピアノがロールして…、うん、まぁ、聴いてみてよ、24分の曲の長さなんて全く感じないドライブ感やドラマ感があるからさ。もっとクローズアップされて然るべき作品だよ。
1971年には既に自身の世界を築き上げていた非凡なるオトコ、ピーター・ハミル率いるVan Der Graaf Generatorの凶暴さもまた英国プログレッシヴロックのひとつの側面。特に活動休止する手前の作品「Pawn Hearts」は素晴らしく激しく音楽的にも上質なアルバム。この人の場合バックがどうであれ、吐き捨てるようにそして叫ぶように歌うのでそのエネルギーの出され方がリスナーを捉えるだろうし、嫌いな人は嫌いだろうと思う。特に1971年の作品ともなればまだまだピーター・ハミルも若かりし頃でロックそのものも黎明期なワケで、そこへ凶暴性を持った、そしてテクニックも持ち合わせたこれだけのバンドが出てくるのだから面白い。ともすればその他大勢のB級バンドに埋もれてもおかしくないものなんだけど、そこはやはりアルバム数枚を経ての完成度というメジャーグラウンドでの勝負ができたことの違いか。
この「Pawn Hearts」、iTunesでクレジットを見るとCD一枚で3曲しか出てこない(笑)。まぁ、組曲だからそれで正しいんだけどCDだからこそ細分化したクレジットでもよいと思うのだがこの大胆なチャプター振りは多分自分のCDが古い規格だからだろうなぁ。初っ端の「Lemmings」の叫び声とメロディ、オルガンの凶暴性と効果音、どれをとってもこれぞVan Der Graaf Generatorと言わんばかりの傑作で前作「天地創造」もしくは「核融合」とも違ったある種の完成度を見せている。続いての「Man-Erg」は出だしこそピンク・フロイドのような雰囲気もあるんだけど、やっぱりVander Graaf Generator的、というかピーター・ハミル的な説得力のあるメロディラインと破壊的な展開に持ち込まれるという実にロックらしい、そしてドラマティックですらある曲展開で美しい旋律が耳を惹く。全くどんな書き方してるんだか、ハチャメチャな書き方ではあるが実際聴いているとそう思うんだよ、ホント。あ、どこかデヴィッド・ボウイ的な部分もあるなぁ…って多分それは英国人の持つ独特のメロディセンスのためかな。
うん、このアルバムは名盤と呼んでも良いと思う、っつうか多分そう呼ばれているだろうが…、あらゆる音楽を聴いてきた中でもかなり素晴らしい作品だし、Van Der Graaf Generatorとしての傑作であることは間違いないね。個人的にダントツだったのは「Still Life」なんだけど、それとは違った意味でこのアルバム「Pawn Hearts」は面白い。
ルネッサンスの「四季」。プログレってどんなんだろ?って気になった頃に手に入れた最初の頃の作品だったからその衝撃や思い入れってのが結構強くてさ、その時も凄いいいアルバムで綺麗な作品だな、って思ったけど今また聴き直してみてもその印象は変わらないし、逆にそれ以上に素晴らしさを実感してるかも。ルネッサンスの歴史の中ではやっぱり「Novella」とか「Ashes Are Burning」、そして「Turn of the Cards」「シェラザード夜話」という素晴らしいアルバムに彩られているのでどうしてもこの「四季」ってのは抜けてしまったんだよね。どっちかっつうとその辺の方がよく聴いてるし、二枚組のライブアルバムやちょっと前に出たBBCライブなんてのもよく聴くからさ、つい「四季」以降ってのは後回しになっちゃってた。それで久々にね、手を出したんだけど、やっぱり凄いアルバムだわ。通説ではこの「四季」になるとポップさが更に増して英国的なジメジメさが抜けてしまった往年のファンからは最後の砦となった作品、と言われてるんだけど、ルネッサンスを全部聴くとそういう面ってわかるのもあるが、それでもこれは凄く良いと思う。確かに明るくてオーケストレーションもしっかりできていてメリハリも聴いていてしかもリリースが1978年だから音も綺麗になっているし、何よりも今回新たな発見だったのは、クラシカルバンドと異名を取っている彼等の作品なのにこれほどアコギが中心になっている曲ばかりってのに気付いたことかな。もっと鍵盤主導だというイメージあったからさ。
ジョン・アンダーソンの声質が苦手ってのが大きい。
右に同じく。
だよね?うん。なんだよ(笑)。
ロック界で一番ファッションセンスがない人だと思います・・・