Judas Priest - Nostradamus
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ジューダスの新作「ノストラダムス」は凄かった。圧倒的な迫力とパフォーマンスと楽曲のレベルの高さ、それに加えてヘヴィメタルという枠を超えた音楽的センスの良さ、そして様式美を象徴するかのような構築美と旋律の美しさ、それは正にヨーロッパでしか出てこない荘厳で重厚な音。さすがメタルゴッドと異名を取るバンドなだけあってそこらのヨーロッパのゴシックバンドやメタルバンドとは比較にならない程の完成度を誇る。
アルバム全体を聴いた印象で言えば上記のような感じで、正直言ってこれがジューダスなのか?と思うくらいに歌い方も楽曲も過去とは大きく異なるもの。でも、よくよく考えればそれはセカンドアルバム「運命の翼」あたりで見せたヨーロッパ的様式美の発展系と解釈できるわけで、そうするとメタルゴッドの看板以前に自らがやりたくてもできなかったことが35年くらい経った今、ようやく思い切り出来上がった、ってとこか。ホントに圧倒的な迫力と重厚なメタルサウンド、決して速くて重いのではなく遅くて重く、そしてハイトーンボイスではなく唸り上げるような歌唱法で更に音に重さを出すジューダス・プリーストで、曲によっては重厚なコーラスを多用したりオーケストラも当然のように用いられている。それはまるでヨーロッパのゴシックメタルに代表されるサウンドと酷似した音楽性の在り方だ。しかしそこはジューダス・プリースト、大英帝国を代表するバンドなので、ヨーロッパのゴシック系をすべてひっくるめて更に英国の荘厳さを加えた正に最強のアルバムを世に出した。このアルバムのおかげでヨーロッパ各国のゴシックメタルと称するバンド群はいつこの「ノストラダムス」に追い付く作品をリリースできるのか、それがひとつのマイルストーンともなるのではないだろうか?
な~んて、かっこつけて書いてみたけど、ホントにねぇ、とんでもないの出してきたよ、この人達。ジューダスってやっぱ大英帝国のバンドだなぁ~と改めて痛感したもん。この音は多分他のバンドが何をやっても出ない。びっくりさ。そして古くからの速弾きギターソロってのはもちろんところどころで健在なワケで、つい血が沸き立ってしまうしね。一曲一曲でどうの、っていうよりもやはり「ノストラダムス」というコンセプトアルバムだから、それなりにストーリーもあるし、起承転結を思いながら聴いていれば良いのでは?CD二枚組、怒濤のサウンドがたっぷりと詰め込まれているから一気に聴くのは疲れるけど、飽きることはないね。凄く中味の濃い音だから。好みは分かれるかもしれないけど。
もう16枚目の作品なんだ。っても、40年近くやってて16枚だからそうでもないか。このサウンドで40年近くって凄いよなぁ…。そしてパワーも衰えるどころか増してるし(笑)。9月末には来日公演が決定しているので、ちょっとまた観戦するかどうか悩むなぁ、このアルバム聴くと。行こうかなぁ…、どうっすかねぇ。
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