



ヴァージンレコードの話が出たところで…、マイク・オールドフィールドのような前衛的な音楽を最初からリリースするという実験色の強いレーベルのイメージがあったワケだが、それでも拒絶したサウンドというものがやっぱりあったんだなぁ。それがアマチュアレベルのものだったり音楽的価値がないものであれば別に何とも思わないんだけど、そうじゃない作品なのでちょっと不思議。まあ商売センスに長けた人間もいたってことだろう。カンタベリー系譜の中でももっとも難解且つ発展しているバンドは
ヘンリー・カウ
周辺なワケだが、その前身…というかまぁいいや、ややこしい話はどこかのウェブサイトで見てもらうとして、ダグマー・クラウゼが最初にメジャー(?)になった記念すべきバンド、Slapp Happyのセカンド、
「Casablanca Moon」
のポップさを堪能してみた。
…とは言っても全くメジャーではないアングラなアバンギャルドバンドとして語られることがあるが故になかなかこのアルバム
「Casablanca Moon」
のポップさが浸透してないのもある。何も知らずに普通にラジオや店頭なんかでこれが流れていたらもっと自然に手を伸ばす人も多いんじゃないかな。ケイト・ブッシュがあれだけメジャーならばこの
「Casablanca Moon」
もそれなりにメジャーでもいいはず。そう、そんな感じの音楽なのだ(…と言ったら怒られるかもしれんが)。切ないバイオリンとピアノが奏でられ、七色変化のダグマーの美しい歌声が鳴り響く知的で極上のポップスなんだけど、やっぱりどこか暗さとロックさとカンタベリーさがあるんだよな、ここがアングラな理由なんだろう。しかし一聴した限り、大変極上サウンドで聴きやすいのは間違いないのでもっと違った括り方で語られた方が面白いはず。
ちなみにこのアルバム
「Casablanca Moon」
が何故にヴァージンに拒否されたか。元々は今やCDでも聴ける
「Acnalbasac Noom」
というアルバムとして1973年にドイツの有名なバンド、
ファウスト
をバックに配して録音された作品だったのだが、そのあまりにもドロッとしたバンドの音は受け入れられなかったようだ。そのドロさを取っ払ってイギリス人のミュージシャンを使ってさっぱりとしたポップス調に仕上げられたのがバージン盤
「Casablanca Moon」
なワケで、そのいきさつがまるごとCDで聴けるというのも面白い。聞き比べて、どっちがいいかお試しあれ。もちろんどっちも良さはあるから一概に言えないけどね。ちなみに現行CDでは彼等のセカンドアルバム
「Desperate Straights」

とカップリングで二粒おいしいのでお得♪ こっちは
ヘンリー・カウ
がバックについたかなり前衛的なサウンドにダグマーの歌が相変わらずのポップさで乗っかった摩訶不思議な音楽。以降Slapp HappyはHenry Cowに吸収合併されるのであった…。
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