Forever Slave - Tales for Bad Girls
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昔からアルバムっつうのはジャケットに左右されることも多いと書いてきたけど、やっぱり今の時代でもそういう点が重要であってほしい、と思う。70年代の英国ロックが重宝されるのは音とジャケットのアートワークという二つの美術性が相互にイメージを補っていた産物として一般人を魅了したんだと思う。相互の関係が密接だった時期と言うのかな。アルバムのジャケットをひとつのアートワークとして捉え、ミュージシャンは自身の音を表現できるアートワークを冠して見て音を分かってもらおうとしていた、そんな時代だった。それがCD時代になってからはどんなに素晴らしいアートワークでもさすがに迫力がなくなっていったのはやむを得ないとしても、このダウンロード音源時代になるとジャケットの価値やアートワークの価値そのものが問われてしまう。もちろん古くからのリスナーはジャケットありき、だけれど、最近のシングル志向のリスナーには一切概念がないだろう。そこから漏れてきたロックファンの中でもダウンロード世代になるとジャケットの大きさというのは多分、アマゾンの普通の画面のジャケットの大きさ=3センチくらいになってしまっているような気がする。そこでアルバムジャケットにコダワリを持てるバンドがどこまでいるか、ってな話になるだろうな…。
2008年、ついこの間リリースされたスペインのゴシックメタルバンドと呼ばれる類のジャンルに属するフォーエヴァー・スレイヴというバンドのセカンドアルバム「Tales for Bad Girls」がこれだ。
「引き込まれる程に妖しく美しいアートワークじゃないか…。」
そう思いません?どうやらボーカルのアンジェリカ嬢が書いているらしい。ファーストアルバム「Alice's Inferno」も印象的なジャケットで凄く気になって聴きたくなったし、今回のセカンドアルバム「Tales for Bad Girls」もより一層中味の音を聴きたくなる、実にそそられるジャケット。何が言いたいとかじゃなくてソソられるんだよね。多分そういう人多いと思うけど、無機質なジャケットよりはこういう芸術的なジャケットを意識するバンドの方が総合的に芸術度が高いハズで、それは音世界にも表れてくるに違いないと思ってる。だから名作と呼ばれるアルバムにダサいジャケットは存在しないという定義も成り立つわけで、そういう意味では同じゴシックの世界ではWithin Temptationもかなりこだわってるかな。まぁ、基本的にゴシックの世界はジャケットにこだわったシュールな世界を醸し出すことが好きな連中だから自分も好きな世界なんだろう、きっと。芸術肌を持つ集団の生み出す作品が好きなのかな。
さてさて、そんなフォーエヴァー・スレイヴのセカンドアルバム「Tales for Bad Girls」ファーストはデス声もあったり音圧的が狭かったり歌声にしてもちょっと詰まった感があったけど、本作「Tales for Bad Girls」ではそれらが排除されていて、特徴的でもあったスピード感を持ったメタル的な楽曲が圧倒的にアルバムを覆っている。アンジェリカ嬢の歌も艶やかにアルバム全編を貫いているし、もちろん彼女の絵画のセンスに脱帽している。一般的なメロディックなメタルサウンドに女性ボーカルが乗っているというバンドになっていて、なかなか可愛かっこ良いっつうのかバンドの方向性に変化が見えてきたところか。どうやらバイオリンとギターがひとりづつ脱退していて、ベースも交代しているようなのでその分音世界にも変化が生じているのは当然か。バイオリンが抜けるってのは方向性を変えるしかないもんなぁ…。ファーストでは結構活躍していたので余計に、だけど。
アルバムそのものもこれはストーリー仕立てなのかな?歌詞まで追いかけてないのでよく分からないけど、そんな印象。アルバムタイトルが「Tales for Bad Girls」だから一連のお話が展開されているような気がする。いいよね、「悪女の物語」なんてさ。
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