Eric Clapton - Behind The Sun
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70年代を生き抜いてきたロックミュージシャンにとってみると80年代というのは何と生きにくい時代だったのだろうかと思う。当時の本人達は実際にそんな事を思っていたのかどうか分からないけど、今となって振り返ってみると誰もが自己を主張しつつ結局はあまり大した物が見つからなかった、と云うか70年代の自分達が一番輝いていた事に改めて気付いたという話だろう。それでももちろん時代の波に乗って音楽性を変えながら生き抜いてきた人もいる。デヴィッド・ボウイやストーンズなんてのはその代表でもあるだろう。そしてもう一人、この人も激しい自己変革と共に生き抜いた、とも云える。
「Behind the Sun」、1985年リリース作品で、80年代になってからは「アナザー・チケット」「Money and Cigarettes」という相変わらず渋い音のアルバムをリリースしていたもののあまりパッとせず、英国は思い切り80年代ポップスの風が吹き荒れていった時代、丁度クラプトンがアルバムをリリースしなかった頃なのだが、そういう音楽シーンを尻目に色々と考えたのか、試行錯誤したのかわからんが、とにかく今までとは全く違う角度で制作したアルバムになったのが「Behind the Sun」だ。
プロデューサーのみならず楽曲アレンジなどにも多大に貢献していたのがフィル・コリンズという話は有名。クラプトンって自分で曲は作るけどアレンジなどは全部人任せらしいのは多分この辺のアルバムから始まったんだろう。フィル・コリンズによるAOR的なアレンジは正に彼が自分でジェネシスをポップバンドに仕立て上げてソロアルバムも成功に結びつけた手法をなぞったもので、クラプトンもこれに乗ったというところか。その甲斐あってとっても聴きやすくなっているのは事実で、クラプトンのギタープレイはまるで単なるスタジオミュージシャンと同じレベルで聴けるようになってる。歌は渋い声で歯切れ良く聴かせてくれるし、ロックと云うよりもミディアムテンポのオシャレな楽曲が並び、80年代半ばらしいゴージャスなアレンジがアルバム全編を包み込んでいる。なんつうおしゃれさだ…。
一曲ごとにそりゃ云いたいこともあるんだけど、そうだなぁ、どれもこれもあまり得意ではない曲かな。ただ、さすがだな、って思うのは例えば「Forever Man」で聴けるけど、一瞬だけギターソロが弾かれる小節なんてのがある時は凄くクラプトンのシャープなギターが出てくる。「Same Old Blues」だとちょっと頂けない感じだけど。他はまぁ、どれもこれもあれそれも…ってなトコで…。かと云って「Forever Man」という曲が良いかと云うと、決してそんなワケでもないが。ファンの間でもあまり評判がよろしくないようだけど、そういったことはあまり気にしてなくて、やっぱり自分的に好みでないなぁ、と。まぁ、これで売れるアルバム作りってのがわかってきたクラプトンは次作「August」で更に洗練されてベルサーチを着こなしてダンディーになっていくのだ…。
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