David Bowie - Tonight

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 ミック・ジャガーとデュエットで「Dancing In The Street」をリリースしてロック界大物同士のコラボレーションとして話題となったデヴィッド・ボウイ。確かにそれが1985年頃の話だからミックはストーンズの看板ボーカル、しかもソロ作出して売れまくってる頃、一方のボウイも70年代のグラムロック時代から脱出して、「Let's Dance」で一躍時代の寵児の仲間入り、ミックの相棒になっても全く違和感のない大物の風格として機が熟したというタイミングだったのだろう。

Tonight Let's Dance [ENHANCED CD]

 そんなボウイが「Let's Dance」の後に間髪入れずにリリースした1984年の作品「Tonight」。一般的に、どころか多分ボウイのコアなファンからも「Let's Dance」と同等の作品として認識されているんだろうけど、実はこっちの「Tonight」の方が元来のボウイの創作意欲に溢れた作品なんじゃないかと。いや、ナイル・ロジャースのパワーステーションサウンドじゃなくて、っつうか80年代のあの音じゃなくてさ、どっちかつうともっとボウイの持つ音楽性が出ていると思うんだよね。だから最初の「Living The Alien」からしてポップでダンサンブルなチューンではなくって、ひと味もふた味も深みのある歌詞とシリアスなサウンドで幕を明けるアルバムなんだよね。その流れはアルバム全体に流れているんだけど、ヒットチューンの「Blue Jean」がそのイメージを「Let's Dance」と同等のモノにしているんだろうな。ただ、明らかに作風が違うけどね。

 もうひとつこのアルバムで話題になったのは「Tonight」でのティナ・ターナーとのデュエットと最後の「Dancing with the Big Boys」でのイギー・ポップとのデュエットか。「Tonight」は良い曲だよね、これ。凄くムードがあるしさ。イギーとの作品はちょっとゴージャスなアレンジ過ぎて音自体はどうかと思うけど、根本はこの頃に独特の疾走感あるサウンドで悪くはない。ただ、まぁ、コーラスやらホーンやらがちとよろしくないかなっつうだけで、イギーも目立たないし。まぁ、それはそれで大して気にするほどでもないか。

 同じ頃にロックファンならお馴染みの「アブソリュート・ビギナーズ」っていう映画があってさ、その主題歌をボウイが歌ってたり、「スノーマン」っつう映画の中でも「This Is Not America」をパット・メセニーグループと一緒に歌っていたりするんで、知名度が上がるとセッションが増えるっていう面白い側面もあった。そして大体そういう作品の方がレベル高くて面白い。

 そういえばミックとやった「Dancing In The Street」のPVでの二人は正にロックンロールだったもんなぁ…。やっぱホンモノはかっこよい、って思ったもん。



Tonight (W/Tina Turner)
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フレ
Posted byフレ

Comments 4

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オダ  

元来のボウイの創作意欲と、前作の大ヒットによる売れ筋路線の妥協の産物でちょっと中途半端な印象がありました。
曲自体は個々に聴いているとさすがだなと思えるのですが。
どちらかに絞って創った方がアルバムとしてのまとまりが出たような気がします。

>そして大体そういう作品の方がレベル高くて面白い
これは同感。
特に「Dancing In The Street」のPVはかっこ良かったですね。

2008/05/02 (Fri) 17:27 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>オダさん

このアルバムでレベルの話が出来るのは嬉しいですね。冷静に聞くと捨てたモンじゃない作品なので…。特に自分は「Loving The Alien」のメロディが好きですねぇ。

2008/05/02 (Fri) 22:25 | EDIT | REPLY |   
Hiroshi-K  
Blue Man BOWIE ですね

遅くなりました(笑)

やっぱり『Tonight』も人が集まりませんね(苦笑)

このアルバムは“Loving The Alien”と“Neighborhood Threat”ですかね(A面、B面それぞれの1曲目です)。A面はBowieの才能が初めの1曲で爆発してしまったために、その後の楽曲はちょっと中弛み気味。B面は1曲目でめちゃくちゃ格好良い曲が来たと思ったら、“Blue Jean”以降は何とも言えないかろうじて佳作程度の曲のオンパレード...かなり消化不良な感じです。

恐らくBowie自身も“Let's Dance”の爆発的大ヒットを消化できないままでいたんじゃないのかな? そのために「過去の曲は封印する」だとか「バンドを組む」といった奇行に走ってしまったのではないかと...

2008/05/04 (Sun) 17:56 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>Hiroshi-Kさん

こないだ出たDVDのドイツ公演でも「Loving The Alien」なんてシンプルに歌っていてメロの良さを痛感したんで割とお気に入りの作品。ただ、まぁ、全部ってワケにはいかないっすね。それでTin Machineに走るってことですか(笑)。結局それも飽きて…うん、やっぱカメレオンですな。

2008/05/05 (Mon) 23:21 | EDIT | REPLY |   

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