Aerosmith - Pump


しかし、70年代の栄光があるエアロスミスまでもがアメリカンロックビジネス戦略に乗ってしまうあたりは往年のファンからしてみたらかなりの裏切りに感じたものだ。やっぱりロックってのは自分で曲作って楽器やって、っていうのがあるからさ、そういうもんじゃないっていうのはアイドル、みたいなね。それがエアロスミスでヤラれちゃうんだから困ったもんだ。まぁ、もちろん曲調もアレンジのセンスもミックスも全てが昔のエアロスミスとは全く異なっているので、同じメンバーによる作品と云えども全く違うバンドと言っても良いくらいに80年代中期以降のエアロスミスは変化している。
1989年リリースの「Pump」。この後来日公演をしているけどそれが78年かそこらに来て以来二度目の来日公演で、まだエアロスミスの商業戦略に気付いていなかった多くのファンは70年代の栄光を求めて群がったものだ。いやぁ、かっこ良かったけどさ。そしてそこで気付いたのは往年の曲のかっこ良さと当時の新作群、「Permanent Vacation」「Pump」と言ったアルバムに入っていた曲の圧倒的に垢抜けた王道ロックらしい音に驚いた。好みの問題ではなくてエンターティンメント的な部分や大衆を惹き付ける曲展開やサビ、ノリの良さなどそういう部分では全然違うもん。
「Pump」で言えば「Young Lust」にしろ「Love In An Elevator」「The Other Side」がその代表だし、古くからのエアロスミスを彷彿させるのは「Janie's Got A Gun」だけど、これ、上手過ぎ(笑)。でも面白いなぁ、当時も思ったけど今聴いても思うのが、まぁ、他人に依存しながら作られたアルバムでヌケが良いのはあるとしても、やっぱりエアロスミスの音なんだよ。だから多くのファンに受け入れられているだろうし、新しいファンが70年代のエアロスミスを聴いても古くさく感じなくてちゃんと聴いていられるっていうのはある。やはりこの辺はキャリアの成せる業、そしてもう、どん底にハマりたくはないという全てのメンバーのサラリーマンシップ…とは言わないが、当たり前の真意だろう。
最近のエアロスミスはあまり聴かないけど、この辺のはまだまだかっこ良いなぁ。今のもかっこ良いんだろう、きっと。自分的には何故かここまで、っていう…。うん、何か単なるアメリカンロックになってしまったからだと思う。最初期から聴いていると分かるけど、かなり英国的なロックの香りがしたバンドだったのがこうなっちゃうとね。ま、でも、ライブ見たり聴いたりはしてるんだけどさ(笑)。
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