The Rolling Stones - Some Girls
![Some Girls [Limited Edition]](http://ec2.images-amazon.com/images/I/51TGMTV6HML._AA240_.jpg)

時代の流れを上手く汲み取るセンスの良さは長寿バンドともなったストーンズが代表的で、ディスコブームの時代にもストーンズ流ディスコサウンド「Miss You」をヒットさせている。今でもライブでは定番曲として演奏されるこの曲も当時はキワモノ扱いされていたんだと思うけど、実に上手くストーンズらしさを組み込んだナイスな曲だと思う。
1978年リリースの傑作「Some Girls」。ディスコ調を採り入れたのは冒頭のシングルヒット曲「Miss You」くらいで結局は非常にシンプル且つ勢いのあるロックアルバムとして原点回帰の意味も含めて制作されているらしい。「Miss You」にしてもベースのラインはディスコ調にしているけど、ギターのカッティングはモロにストーンズの黒いフレージングで、そもそもディスコサウンドの源はと言えば黒いリズムの強調だからストーンズ的には全然アリでおかしくないアプローチだったのかもしれない。スカスカのサウンドがこれまたストーンズらしいし、ミックの歌詞も実生活と相まって非常に面白く聞こえるし。2曲目の「When The Whip Comes Down」はもうディスコ気分そっちのけでストーンズ流のかっちょ良いソリッドなロックンロールナンバーだ。こういう曲ばかりでストーンズもライブをやってくれると面白いと思うが、今更それも無理か。次の「Just My Imagination...」は少々大人しめの雰囲気がしっかりと出た作風で、しっとりとさせてくれる作品。そしてアルバムタイトル曲「Some Girls」。ミックってロックンローラーの夢をしっかりと実現してくれている数少ない人で、それを作品に仕上げるのもセンスの良さかもしれない。オンナはべらかしてロックスター、と言うくだらない幻想をこの作品で描いている。音的にはちょっと不思議なサウンドで、ロックと言うよりもエフェクトを聴かせた歌モノって感じ。アルバム的には必要な曲だろうか。加えてギターソロが凄くもどかしくて良い味出してる。そんなロックスターの空虚な姿を映し出す「Lies」も良くて、これこそロック。思わずノリ始めてしまう快感の曲で、疾走感溢れるナイスなストーンズらしい作品。このアルバムは実に面白い。
B面最初はのどかな望郷的なサウンドで始まる「Far Away Eyes」。もう最初のディスコサウンドなんて単なる客寄せ曲でしかなく、全てがストーンズのやりたいブルースロックに根ざしたサウンドに変わっていて、いつの間にかそのマジックにしっかりとハマっている自分。そしてパンク時代でもあった70年代後半、今度はパンクに影響を受けたアンサーソングとも言われている「Retrospectable」は、言われているほどパンクのアンサーソングとも思えないし、普通にロックンロールだ。もっとも初期パンクそのものがロックンロールだからこうなってもおかしくないが、言われてみればさっきから書いているロックンロールソングはどれもパンク的なスピード感を持った曲で、シンプルにかっこ良い。時代を考えるとそう言われてもおかしくないか。自分はこういうの好きだなとつくづく思った。そしてキースの歌う曲としてはかなり有名な部類に入る「Before They Make Me Run」になるといきなり初期のチープなストーンズサウンドな感じで、ガレージ的な音が良い。パンクバンドと大して変わらないようにも聴こえるサウンド。そしてアルバム中のしっとりとした名曲「Beast of Burden」がこれまた良い味出してて、実に良いアルバムだよ、これ。やはりストーンズは凄い。ロックだし、聴く度にかっちょいい、って思えるし。そんなアルバムの最後を飾るのは妙にイコライジングされた変わった音の「Shattered」。多分実験的なお遊びソングだと思うけど、それにしてはドスが効いた面白い音。
ジャケットがふざけているのであまり好まれない作品のようだが中身の音はとんでもなくソリッドでかっこ良くて、冒頭の「Miss You」は単なる客寄せサウンドだ。そうとしか思えないくらいにストーンズらしい良さがたっぷりと詰まっている秀作。ロニー加入初期は名作多いです。
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