Arcadia - So Red The Rose

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 1980年代を風靡したデュランデュランはシングルヒットを立て続けに連発した後、音楽性の方向性の問題から二つのグループに分裂して更なるセールスを稼いだ…とは云えなかったのだが、今となっては再評価して然るべきタイミングかもしれない。元々ロキシー・ミュージックやジャパンと云ったデカダンで妖しげなバンドをモチーフとしていたことは一目瞭然だが、パワー・ステーションとアーケイディアという二つのグループに分裂してみるとバンド内での趣味嗜好の差がこれほどまでにはっきりと表れてくるかという程に出てきた。

情熱の赤い薔薇 So Red the Rose

 アーケイディア=サイモン・ル・ボン、ニック・ローズ、ロジャー・テイラーの三人が主体となって結成されたバンドで、1985年リリースの「情熱の赤い薔薇 (S o Red The Rose)」という作品はそれなりに売れた、ハズ。ゲスト陣が超豪華でギルモアからスティング、アンディ・マッケイ、スティーブ・ガッド、ハービー・ハンコック、カルロス・アロマー、グレース・ジョーンズなどなど誰が何をどうしてどこまで関わっているのかわかんないけど、話題は振りまいた、ハズ。先にも書いたけど、元々の嗜好がニューロマンティクス=ロキシーやジャパン、もしかしたらメトロなんてのもあるのかもしれないけどどこか退廃的なヨーロッパ的な感じを出した音楽と云ったところで、その嗜好が強いのはもちろん超ナルシストのニック・ローズなワケで、そこにサイモン・ル・ボンのハスキーで艶っぽい声が絡むというのはなかなか悦に入っている。この「情熱の赤い薔薇」というアルバムではしっかりとタイトル通りにカラフルで、しかも赤いバラという印象を与えているのでデカダンな雰囲気とともにもちっと評価されて然るべきアルバム、バンドかもしれない。そういう言い方すると一方のThe Power Stationの方もバリバリのロックンロールバンドっていう正反対の方向性を持ったバンドだけどもっと評価されても良いかもなぁ。でもこっちのアーケイディアの方が音楽的高貴度が高いっつうかオシャレだね。

 ただひとつ難点が…、あまりにも趣味的世界が広がりすぎているためにどれもこれもが似たような作風とか雰囲気や音になってしまっている感じもあってアルバム通して聴くとBGMみたいになっちゃうんだよね。これはまぁ、個人的にはロキシーやジャパンも同じ事が当てはまるので彼等だけのせいじゃないけど、好きな人は好きなんだと思う。YouTubeで見てみると結構な数のプロモビデオが作られていて、映像作品としてもかなりヨーロッパ的な耽美的な世界観を醸し出しているのでやっぱり面白いのかもしれないな、どっちかっつうと映像付きで楽しむものかもしれないと思った。これも今の時代だからこそ気付いたことかな。

 うん、タイトルに「Red」が付いてたから安直に選んだんだけどなかなか悪くないじゃん、これ。アイドルバンドからの派生というだけじゃなくってしっかりと音楽的に、センス的にもかなり良いセンしていて、やっぱりただ単に売れただけの連中ではない。しっかりとした背景があってのバンドだね。

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フレ
Posted byフレ

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