U2 - All That You Can't Leave Behind


2000年リリース「All That You Can't Leave Behind」。見事にU2が昔に戻ってきた記念碑的作品。それが良いことばかりだけではないのだろうけど、ひとつの物語に終止符を打って原点回帰してくれたことでファンはまた彼等を信じていくことだろう。既に25年以上現役でメンバーも替わらずに生き抜いているにもかかわらず未だにロックの世界では70年代のバンドが幅を利かせている。U2などは一番中途半端な時代に出てきたこともあって、どっちつかずの状態、もちろんそれが良かったのかもしれないが、今でも最先端のバンド達とも平行で比べられる存在、そして圧倒的なロックアイコンというシンボルも兼ねている。でも非常に素直な、そして熱い人間だったりするワケで、少々世界問題にクチを出し過ぎの面もあるが、そこは好みの問題で、ある種U2というバンドというよりもボノという人の話か。
さて、この「All That You Can't Leave Behind」という作品、冒頭の「Beautiful Day」からしてもう最高に素晴らしい。淡々としたメロディとどこかピンと張った空気感のなかから飛び出してくるさびのフレーズ、それが本当に弾けているロックな、魂の叫び声であったりすることがリスナーを見事に惹き付ける。そしてシンプルな音の作りは昔のU2の姿勢そのままを表していて、誰もが皆この一曲を聴いた瞬間からU2が戻ってきた、と実感したことだろう。続いての「Stuck In A Moment You Can't Get Out Of」なんてのはロックの世界でも相当のレベルにある名曲だ。2000年リリースだからと言って70年代と比較してはいけないわけでもなく、全く素晴らしいバラード調の作品だ。もしかしたらU2の中で一番好きかもしれない曲。ウチのiTunesで再生回数トップ10に必ず入っているんだよな(笑)。そして「Elevation」もノリが素晴らしくて、これはねぇ、ライブDVD見る方が良いかなぁ、会場が一体となって揺れている、そんな映像が思い浮かんでしまうくらいノリがよくって鋭利な面も持った良い曲。DVDはスレーンキャッスルのアイルランドの地元のヤツが好きだね。で、どこか切ない、寒さを持った「Walk On」も正に「ヨシュア・トゥリー」に匹敵するくらいのテンションを保った曲…、アコギが優しさをず~っと出している、メロディも暖かく…、うわぁ~、凄いなこれ。涙出てくるもん。名曲です。同じ路線だけど、また別の感動を出してくれているのが「Kite」。正に愛が込められているU2の音世界が表れていて、このアルバムの名盤さを象徴している。どうしてこんなに素晴らしいんだ?
全く…こんなに素晴らしい曲を溜め込んでいたのかと思うくらいに名曲ばかり。飛行場のロビーでのジャケットも帰路に着く、みたいな意味合いなのかな。制作布陣もスティーヴ・リリーホワイトやイーノを戻しているし、U2が90年代に実験してきた世界にひとつの終わりを告げて戻ってきた裸の姿。今でもその路線を続けているがおかげで皆喜んでいるし、感動している、それだけではなく素晴らしい作品を創り上げてくれている現役バンド、多分他にはそうそうないと思う。このままどんどん諏ばらし作品を作り続けて欲しいね。
メリークリスマス!
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