The Rolling Stones - Goat Head Soup
さて、そんなことでストーンズは現役で活動しているもののその頃の作品で何かあるかなぁと思って漁ってきました。はい、「山羊の頭のスープ」です。


1973年発表作品。ミック・テイラー加入後3枚目くらいかな。派手な曲はあんまりないから今となってはあまり目立つアルバムじゃないだろうけど、「Angie」が入ってるからまだ知名度はあるかもしれない。いや、個人的にはこのヘンの作品は凄く好きなので「スティッキー・フィンガーズ」「メイン・ストリートのならず者」「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」とこの「山羊の頭のスープ」はどれも甲乙付けがたいくらいです。この「山羊の頭のスープ」は、最初から地味~な感じで始まるので勢いのある時期に作られたロックンロールアルバムとは違って、もっと深い音が詰め込まれている。初っ端の「DancinG With Mr.D」からしてなんかこう沸々と沸き上がってくるかのようなビートと浮遊感に包まれたリズムでギターのノリが異様にグルーブしていてかっこ良い。ミックの歌も余裕綽々で、ロックだあ~って感じだし。次の「100 Years」は更にロックな意向が強くて、普通にビートが効いているとかじゃなくてロック。正にストーンズ流のロックで、このヘンのビートはストーンズしかできないものだ。キースの歌う「Coming Down Age」は少々切ないけどコーラスも含めて綺麗。しかし三曲目ってのは登場が早くないか?更にグルーブした曲「Doo Doo Doo (Heartbreaker)」もかっちょいいロック。これは普通にロックって云える。どこかドロッとした感触のあるアルバムで確かに呪術的な雰囲気かもしれないけど、A面のこの妙な高揚感はホントに素晴らしい。音全体が輝いている。
B面最初から名曲「Silver Train」。これももうスライドが凄く良い味出してて、ギターの絡みがかっこ良いのもあるし実はベースフレーズもかなり歌っていてかっこ良い。ミックも出しゃばりすぎないでしっかりと曲に馴染んでいる。実はかなりの名曲でバランスが取れているので、もっとライブでもやれば良いのにと思う曲。「Hide Your Love」はピアノのグルーブが曲を引っ張っていて軽快な感じ。多分ミック・テイラーの趣味が大きく反映されている気がする。ブルージーで粘り気のあるギターソロもグイグイと引き込まれるし。そしてその延長線とも云える名曲、名ソロを弾いている「Winter」。曲全体はミックお得意のパターンだが、終盤のギターソロの入り方から実によく歌ってるんだよ、ギターが。ストリングスのアレンジはちょっと露骨だけど。いやぁ、素晴らしい。「Can You HearThe Music」はどこか呪術的な雰囲気を思い切り出している曲でオルガンの響きが特徴的かな。アルバム終盤に来てこういうのは必要だろうなぁ、という感じ。だから最後の最後は「Star Star」なワケだ。シンプルなロックンロールで、このアルバムの中では凄く音数が少なくってストレート。アルバム全部聴いてここに辿り着くと締め括りとして滅茶苦茶かっこ良くて、何かを突き抜けた後にロックンロールパーティが待っているっていう感じですっきりする。曲はチャック・ベリーだけどそれも良し。歌詞が「Starfucker」でも良いんだよ。
このアルバムのどれもがクォリティの高い作品のため突出した曲がなくて目立ちにくいアルバムかもしれないけど、ホントは凄く濃い~作品で、二期ストーンズのキースとミック・テイラーの融合作品としては非常にバランスの取れているアルバムだと思う。誰かの趣味だけが反映されるんじゃなく、しっかりと良いバランスで出来ている。構成と共に。
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