Big Audio Dynamite - Megatop Phoenix


ゴチャゴチャな音として楽しめるモノってそりゃいくつかあるんだろうけど、そもそもパンクな流れでここまで来ているのでふと思い出したバンドがあった。クラッシュをクビになった後ミック・ジョーンズがドン・レッツと組んだワールドワイドな音を組み入れたダンサンブルなバンド、B.A.D。後期クラッシュの妙~なダンサンブルな音をそのまま拡大解釈していったバンドという位置付けなんだけど、正直言ってなかなか着いていけなかったなぁ…。
クラッシュ解散後に出したB.A.Dのファーストアルバム「This Is Big Audio Dynamite」こそがその音楽性をギュッと詰め込まれたものではあるんだけど、個人的にはこちらの第一期B.A.Dの最後のアルバム「Megatop Phoenix」の方が好きだ。それは多分ミック・ジョーンズが突如の病気に倒れて起死回生を懸けて復活して一気に創り上げたアルバムだからだろう。そういう悲愴感というのか必死感というのがやっぱりもの凄く魂の籠もったサウンドになるからだと思う。いや、音楽的にはダンサンブルでカラフルな、そして相変わらずカラッとしたごちゃ混ぜサウンドではあるので決して暗さも悲愴感も漂っていない、いつも通りのB.A.Dのサウンドに近いけど、でも一音一音に気合いが入ってるぜよ、これ。
しかし1989年リリースの作品にしてはやっぱり最先端だったんだな、この後に流行することになるドラムンベースなサウンドも既に作られているし、一方では往年のロックの先人達のリフを拝借して、なんてのもあって敏感なセンスを持ってないと制作できない作品だよ。やっぱりThe Who好きねぇ~て感じ(笑)。好みかどうかは別として創作能力は凄い。売れる売れないも気にしてないからそういう意味では面白いんだけどね。
この頃元相方のジョー・ストラマーは初のソロアルバム「Earthquake Weather」を制作していて、意外なことに結構B.A.Dに近い音が出てきていた。このすぐ後くらいに今度はポール・シムノンが仲間内で作ったハバナ3AMというバンドの音は一番昔のクラッシュに近いモノだった。トッパー・ヒードンのソロアルバムはモロに民族だったし…。
昔はこのバンドのアルバム、全然聴けなくて苦痛だった。ロックじゃねぇよ、こんなもん、って感じでね。音楽という楽しみ方じゃなくてロックという楽しみ方にこだわってたからかな。ゆっくりと色々なモノを聴くようになってからB.A.Dのやってたことってのがわかってくるようになってきたんだよね。そういう成長もクラッシュがあったからかな、なんて思う。う~ん、やっぱりひとつの事にこだわっていてはいけないのだ、って。
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