Public Image Ltd - The Flower of Romance
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セックス・ピストルズの幻想は後に続く世代に任せるとして自身はさっさと次なる野望と実験に向けて動き始めた。そもそもシド・ヴィシャスが参加した時点でセックス・ピストルズは単なる幻想と化したことを何よりも理解していたのはジョニー・ロットン=ジョン・ライドンだったのかもしれない。いや、多分そうだろうな。だからこそさっさとセックス・ピストルズを崩壊させて、しかもその年の内に新たなる野望を抱いた、そしてまた別の破壊的なバンドでもあるP.I.Lを結成する。ここで顔を出すキース・レヴィンだが、元々クラッシュのメンバーでもあり伝説のロンドンSSのメンバーでもあった。
そんなP.I.Lの問題作、というか最高傑作、というか何これ?っていう作品が1981年にリリースされた「The Flowers of Romance」という作品。ノレないビートを中心に創り上げられたとしか思えない程ノレないサウンド(笑)。ジョン・ライドンのお経のような歌声から始められるこのアルバムは最初から土着民族的な音の嵐で、リズムにその傾向が顕著。しかし、しかし、だ、そこにもの凄く新しいエッセンスが投入されていることで最先端のロックへと進化させているのが凄い。多分それはジョン・ライドンのお経のようなメロディではあるんだけどただ単にお経を唱えているワケでもなく、そこはさすがに元祖ロンドンパンクス、滅茶苦茶熱い魂が込められているのだ…。
それにしてもよくもまぁこんな音がアルバムとして、しかも1981年という時期にリリースされたものだ。とても売れるとは思えない作品だが、それもこれもジョン・ライドンという名前に委ねられるトコロが大きかったに違いない。作風的には多分トーキング・ヘッズとか一緒にされやすいのかなぁ…。まぁ、This Heatとかもあるけどさ、そういう印象で、とても一介のパンクス上がりの人間が作った作品とは思えないほど洗練された新鮮なサウンドだ。これだから英国の奥深さは面白い。
ジャケットはかなり秀逸なもので、昔から気にはなっていたアルバムだけど、どんな評を見てもあまりロック心を刺激するような書き方ではなくって、アフロリズムに云々とか宗教的メロディ云々とかそんなんだったから手を出すのは遅かったな。ちょっともったいないことしたかなぁとは思うけど、まぁ、聴けただけ良し。コレ、多分若い頃に聴いたら好きになれないアルバムだと思うもん。こういうのに耳が行くセンスってなかなか難しいと思うしさ。ポップグループとかで慣れてれば良いんだろうけど、じゃなきゃ結構キツイんじゃない?今はもちろん自分も全然平気で聴けて楽しめるけどさ。
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