The Stranglers - The Raven
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ロンドンパンクなんてのは一瞬のお祭りに近かったものだと、後になって歴史が証明していることは事実であるがそれでもまだそこに夢を見るということも重要で、だからこそまだまだパンクのリスナーでもあるんだよね。まぁ、プレイしている本人達からしたらそのままやり続けるワケにもいかなかった状況もあって、変化していくことを余儀なくされたものだ。故にクラッシュは新たな音楽性を採り入れてパンクは音楽性ではない、アティチュードだ、と言い切った。ダムドはどんどんとニューウェイヴの旗手となってルックスから何から全て変化することで乗り切っていった。ジャムはそもそもパンクというかモッズだったワケで、その後の活躍は十分に世に知れ渡っている。ピストルズはP.I.Lと名を変えて斬新なニューウェイヴサウンドを打ち出した。ここでも革命的なサウンドだったことでP.I.Lは重要なバンドとして語られることとなる。
そして唯一無二の存在とステータスを維持し続けたのがストラングラーズ。もちろん変化していくし、その変化たるや他のバンドとは比較にならないくらいの変化だったりするんだけど、そのスタイルが妙に骨っぽい。アルバム「レイヴン」をきっかけに一気に内省的になった、と言われるが、リリース当時の1979年でこそ理解されにくいもので、そこから十年以上も理解されにくいままだったが、時を経てくるとこのアルバムの深みがだんだんわかってくるものだ。今ではストラングラーズの代表アルバムには必ず入るという地位まで確立してしまった。
音的にどうか?別にパンクじゃないし、ヘタしたらロックとも云えないのかもしれない。ただカラフルに多様な音色を散りばめて淡々と、確かに内に向けて呟かれている音が中心。ただ、その音の一音一音が繊細で意思を持った音色に聞こえてくるくらいシュール。このアルバムは誰かに聴かせるとか誰かと聴くとかには不向きな、一人で闇の中でじっくりと向き合って聴くサウンド。最初は取っ付きにくい。それは間違いないね。でも聴いているとどれもこれもが名曲に思えてくるから不思議。そしてどこか大陸的な香りが漂っていて気分が大きくなってくる。決して明るい気分ではないけど(笑)。不思議だよな、それでもどこか夢見れるというかさ、いいんだよなこれで、みたいな気分になるんだもん。
過去にはネズミを仲間に加えていたストラングラーズが新たにカラスを仲間に引き込んだ傑作、ジャケットも大胆なものだけど、音も斬新。激しさを求めて聴くなかれ、自己鍛錬との戦いになるから(笑)。どっちかっつうとプログレファン向きのバンドだよな…。
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