Lou Reed - Transformer
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いつの時代も時代を創り上げたパイオニア達はさっさと違うことを予見し、ブームになる頃には全く異なった音楽や活動をしていることが多い。そしてフォロワー達はまたその世界をもつい津井出来るかどうかによってホンモノと偽物が分かれてくる、それかオンリーワンの世界をきちんと築き上げていくかのいずれかだろう。ニューヨークパンクにとってどう見たって発端はヴェルヴェット・アンダーグラウンドなワケであって、その核とも云えるルー・リードその人が元祖でもあろう。
しかしニューヨークパンクスというものが生まれ始めの頃、御大ルー・リードはなにをしていたか…、もちろんアーティスティックな活動をしていたことに変わりはないが決して激しいパンクなことをしていたわけではない。もっと音楽的な芸術的な作品をリリースしていたものだ。それこそがパイオニアとフォロワーのギャップなのだろう。
ルー・リードのその傾向はもちろんヴェルヴェット・アンダーグラウンド時代からあったものだろうが、この人の天才的な音楽的才能にしっかりと触れられるアルバムとして「トランスフォーマー」があると思う。1972年にリリースされた作品でプロデューサーにはデヴィッド・ボウイを従え、そしてルー・リード自身もロンドンに住んでいた時期なので当然ながら英国よりの音をしている。しかし、ここで面白いのはメロディラインの美しさ。どう聞いても英国人には出てこないメロディの作り方だろうし、それこそがヴェルヴェット・アンダーグラウンド時代と全く変わらない本質的な歌。ともすれば後にボウイのヘルプを求めることとなるイギー・ポップの作品と同じような歌メロになりがちではあったが、そこがセンスの違うところ、しかとルー・リードのカラーが全面に出ている。もちろんそれがプロデューサーの巧さなのだが。
しかしデヴィッド・ボウイという人は実に凄い。こういう作品を聴いていて思うことだが、自身のセンスを感じさせつつアーティスト本人の才能を思い切り引き出している。許されるなら全曲デヴィッド・ボウイによってカバーした作品を出してもらいたいものだ。果たしてどこまで変わるモノか…。
さて、この「トランスフォーマー」、有名曲がいくつも入っていることは見ればわかるのだが、その有名曲が実はそんなに有名かどうか…。「ワイルド・サイドを歩け」にしてもこんなに静かな語りの曲だって知ってた?「ヴィシャス」にしてもこんなにカラフルな音だったっけ?いやいや、意外と聴けていないのかもしれないなぁ、こういうサウンドって。イメージ優先、っってよくないね(笑)。
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