Stackridge - Mr.Mick

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 デイヴ・ローソンのプロフェッショナルな世渡りとその隠れた才能は実にあちらこちらで開花しており、その片鱗を見える範囲で追ってみるのもなかなか乙なモノではなかろうか。The WebというバンドからSamuraiへ、そしてGreensladeでの活躍が多分一番メジャーなところではないかと思うが…、そのグリーンスレイドはちと後回しにして、グリーンスレイド解散後に見つけた仕事としてスタックリッジがある。元々器用な鍵盤奏者なので何でもこなせるのだろうがよりによってスタックリッジとはこれまたかなり不思議な組み合わせではある…。
ミスター・ミック: 完全版 Original Mr. Mick

 1976年リリースのスタックリッジ5枚目のアルバム「ミスター・ミック」。ミック老人の人生というテーマでのアルバムだが、元々スタックリッジというバンドはビートルズに通じるくらい、そして10CCなんかとも相通じるようなひねくれたポップスを奏でるバンドだったので、デイヴ・ローソンの濃厚な鍵盤というモノが果たしてどこまで必要だったのか…、スタックリッジ側のファンとして順を追ってアルバムを聴いている人にはかなり異質に映った鍵盤奏者の加入だったんじゃないかな。デイヴ・ローソン側からすると主要メンバーが抜けた後のスタックリッジの新たなる方向性を決定付けたのは彼の鍵盤のおかげとも言い切ることができるかもしれない。まぁ、いずれにしてもスタックリッジ自体がバンドの変革期を迎えていたので、その前兆はこの前の作品「エクストラヴァガンザ」から楽曲に多く現れていて、かなりプログレ色が濃厚になっていたものだ。そこへデイヴ・ローソンの加入でより鍵盤における比重が高くなり、濃厚な音圧がバンド内を占めるようになったのだ。

 が、これでバンド解散(笑)。う~ん、やはり音楽性を変えて生き残っていくというのは実に難しいことなのだなぁ。この後スタックリッジの主要メンバーであったアンディ・デイヴィスは元々の仲間でもあったジェイムズ。ウォーレンとコーギスを結成して再度やり直すこととなるのだが…。余談だけど、このアンディ・デイヴィスというギタリストはジョン・レノンの「イマジン」でもギターを弾いている強者♪ あまり語られることのない人なのでそういう星の元に生まれたのだろう、きっと。

 さて、この「ミスター・ミック」というアルバムだが、ポップスファンからしてもプログレファンからしても中途半端な出来上がりで決して傑作というワケじゃないけど、元来持っているポップさがやたらと英国好きには受けるタイプなので、裏ではかなり人気の高い作品。もうひとつ蛇足だが、クリムゾンで一瞬話題となったゴードン・ハスケルもこのバンドに一時参加していたことがあるのだ。なかなか食わせ物のバンドだったりするんだなぁ…。いや、本質的には非常にポップで滅茶苦茶売れてもおかしくなかったのだが、そこはキンクス的シニカル視線だったようだ。ちょっと前に再結成したりしているみたい。

 そういえば、この「Mr.Mick」という作品、当初制作していたバージョンがレコード会社から拒否されて編集し直したものが当時アルバムとしてリリースされていたとのことで、現在はそのオリジナルバージョン「ミスター・ミック: 完全版」もリリースされている。

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フレ
Posted byフレ

Comments 2

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ぷくちゃん  
これは!

人気がありそうで人気ないですね。私も書いたけれど全然反応なし。それがまた良いのだけれど・・・

2007/10/23 (Tue) 22:21 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>ぷくちゃん

ん、人気なし反応なし(笑)。いやぁ、そういうバンドだろうなぁ、と納得。良いんだけどねぇ。

2007/10/25 (Thu) 00:36 | EDIT | REPLY |   

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