Uriah Heep - Look At Yourself


それでも、だ。1971年にリリースされた彼等としては三枚目の作品となる邦題「対自核」=原題「Look at Yourself」という名盤を作るのだ。元々ユーライア・ヒープと言うバンドはあのヴァーティゴレーベルに所属していたんだけどプロデューサーが独立したっつうことでバンドごとそっちに移籍してしまうっつう快挙。それがブロンズレーベルだったんだけど、元々ヴァーティゴ畑だから何せアングラの香りがたっぷり(笑)。いやぁ、この独特のノリにしても決してメジャー級のグルーヴじゃないでしょ。でもそれが凄く個性を出していて人気を上げていったんだな、ある意味では英国ハードロックのひとつのカテゴリーを創り上げたと言っても過言じゃないバンドだとも思う。だって、他にこういうのないもん。ま、それ言ったらB級バンド全てがそういう要素あるのだが…。
さて話を戻すとだ、セカンド「Salisbury」までの路線はもっともっとハードでヘヴィな音だったんだけどこの三枚目「Look at Yourself」ではグルーヴはそのまま維持してきたけど、音の出し方が少々軽めにしてある。それで「Salisbury」までよりも聴きやすくなっていたのも売れた要因かな。まぁ、それよりも最初のタイトル曲からハネないブギノリっつう独自三連のリズムで相変わらず素晴らしい曲なのだ。ケン・ヘンズレーの才能だね、これはもう。ハモンドオルガンがここまでかっこよく鳴っているバンドってのもそうそう見当たらないので貴重じゃないか?B級じゃないぞ、メジャーで、だ。ちなみにどういうワケかこのかっこよいナンバーのボーカルはケン・ヘンズレーなんだな…、それでこの後この人が気になってきてソロアルバムとかに走ることとなるのだが…、いや、ソロもかな~り良いんだが、それはまた今度♪ んで次はコーラスの美しいバラード、に見せかけたヘヴィなナンバー「自由への道」か。素晴らしい、正に重鎮英国の音…。そして、そして、だ。やっぱ名曲「7月の朝」だよ。ハモンドのイントロから何かが起きそうな予感はばっちりあるし、英国プログレ的展開をしっかりと持ち合わせていて、どこか哀愁漂うメロディライン、バークレイ・ジェームズ・ハーヴェストみたいなもんかな…、こういう展開って好きだな(笑)。Wishbone Ashにも通じるモンあるしね。当時はこれだけ長い曲をハードロックバンドがやってもなんら違和感なくきちんとドラマティックに仕上がっていたものなのだ。ミック・ボックスの奏でる印象的な上昇メロディラインが象徴的。最後のミニムーグソロはゲストのマンフレッド・マンの奏でるモノでヴァーティゴレーベル繋がりだろうけど、なんっつうゲスト、凄いわ。正直言ってこのアルバムはこの一曲に7割、他に3割っつう金のかけ方としても悪くないアルバム。
ジャケットは結構色々なバージョンがあって、もちろん英国オリジナルは日本でもこないだ紙ジャケになってる銀色のヤツね。で、ドイツ盤だと睫毛がかかれていて結構お茶目にできてる。アメリカ盤はなぜか黒い下地になってるもの。で、今CDではデラックス・エディションがリリースされていて、リマスター&ボーナストラック付きっつうのが一般的らしい。
B面に行くともちろんヘヴィ路線なんだけど結構スピーディな曲が並んでいて、ついついハマってしまう(笑)。ヒープのこの独特のノリってのはクセになるんだよな、ほんとに。「瞳に光る涙」なんて素敵なタイトルのクセにそんなヘヴィチューンだし、次の「悲嘆のかげり」なんてさ、普通バラードだと思うようなもんだが、甘い。彼等の歴史の中でも相当重い部類に入る一曲じゃないかと思う。そんなのが続くとやはり軽いモノが入ってくるようで次の「What Should Be Done」は正にケン・ヘンズレーのソロ作とも云えるような優しい英国的な曲。こういうセンスが凄いところか。最後は「Love Machine」っつう曲で、これはレスリースピーカーとハモンドとハードなギターで相変わらず独特の三連曲でキラーチューンでもある。これぞハードロック、と言わんばかりの名曲。デヴィッド・バイロンってそれこそイアン・ギランよりもハードロックな人だよなぁと。
うん、バンドとしては凄くかっこよいし、曲も良くできてるのになぁ、勿体ない(笑)。多分根強いファンがいっぱいいるバンドのひとつだと思うけど、自分も一時期全アルバム揃えて順番に聴いていったことある。ただ、だからこそ途中から「ん?」ってのはあったけど(笑)。でもこの時期のユーライア・ヒープはどれも名盤です、はい。
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