Aerosmith - Aerosmith


ん?バンド名書いてなかったか。まぁ、いいでしょ。エアロスミスだよ。1973年にデビューしたけどこれもまた全然売れなくってねぇ…、そういうハングリー精神っつうのがあったからかっこ良いロックバンドだったんだろう。ご存じギターのジョー・ペリーが英国ロック大好きで、ジミヘンの隣に墓を買ったオトコだし、ヤードバーズ大好きでジミー・ペイジと「The Train Kept A Rollin'」をジャムっちゃうとか、この人の純粋なロック好きギター小僧っつうのがエアロスミスの根本だ。多分。で、テクニックがないからもう一人のブラッド・ウィットフォードというこじんまりとしたギタリストを配して音楽的にサポートさせている。いや、別にケナしてるのではなく、そういう志向性を持ったバンド形態だと云う事だ。それがバッチリ良い方に向かっているんだから、今でも続いているワケだし。ちなみにスティーヴン・タイラーは元々ドラマーだったのでリズム感バッチリの歌い方ってのも納得でしょ。
で、このファーストアルバム「野獣生誕」は、もちろんこの頃にこんな駆け出しバンドに金を出してがっちりとスタジオ録音しろと云う事もなく、どちらかと言うとデモテイク的な音でしか録音させてもらえなかったらしい。ところが、そのチープさが却ってバンドの本質をさらけ出したのか、かなり良い雰囲気に仕上がっていると思う。曲の良さも引き立ってるし、それこそ英国ロックバンドか?と思うようなセンスが出ていて好きだね、これ。レコードの針を落として一発目からえらくしょぼい音で流れてくるギターのコードがかっこ良い。曲的に凄いのではないけどやる気だけは漲っている、みたいなのがあって。全然ハードロックって云うのではなく、どっちかっつうとストーンズ的なルーズなロックンロールという感じ。次の「Somebody」だってそういうガレージ的なロックだ。「Dream On」もこのファーストアルバムに入ってるけど、当時はシングルにもならなくて売れなかった。でも良く出来てるし、悲愴感が凄く切実に出ていてそのテンションが聴く人を惹き付けるんだと思う。最初のイントロだって初めて聴いたときは鍵盤だと思ってたけど、よくよく聴いてるとギターで弾いていることに気づく。すると、粗野なバンドじゃなくってしっかりと音を作ってるバンドなんだって事に気付くワケ。その後には「One Way Street」の軽快なシャッフルがスタートする…、こういうの聴くとアメリカだなぁと思うけど、新鮮なロックだった。やっぱかっこ良い。
ここまでがアナログ時代のA面。ジャケットはねぇ、あんまり面白味がないけどアメリカのバンドって平気でジャケット変わったりいじられたりするから怖いよ。このファーストアルバムも文字の位置やロゴや「featuring "Dream On"」って書いてあったり…当然オリジナル盤にはないワケで、そういう細かい変化が凄くある。写真の大きさ変えたりってのもある。エアロは特に多いような気がする。ま、そういうこだわり方をする人が多くないから良いんだろうけど、英国のロックバンドだったりしたらそういうの全部集めなきゃって人出てくるだろうな。
そしてB面。一発目から滅茶苦茶かっこ良い「Mama Kin」だ。これぞガレージロックってな雰囲気でザクザクとコードを斬るジョーのギターサウンドが凄い。ロックだよな、こいつは。そしてアルバム中最も地味な印象でもある「Write Me」…、イントロやリズムはエアロっぽいのだが何でだろ?自分的にマイナーなだけか?まぁ、いいや。この後の三枚目当たりに収録されていてもおかしくない曲だけど最初からこういう曲の構想はあったんだな。いいね、これも。次の「Movin' Out」なんてのはモロにヤードバーズ的って云うか、それでいてエアロ風になってる。凄いセンス良い。じゃなきゃアメリカのナンバーワンになれないよ。グルーヴ感がしっかりと出ているロックンロール。そしてストーンズのアルバムと合わせてなのか最後には「Walkin' The Dog」を持ってくるという…、絶対に狙ってるな、これは。この流れは確かラットまで引っ張られる。
もうねぇ、モロにブリティッシュブルースロックバンドが好きっていうのが出ていて、でもそこにアメリカ的な要素が入ってくるから面白いというか逆輸入の独特のサウンドになってる。それがエアロスミスの魅力だろう。今みたいに狙って作ってるもんじゃないから余計にこのチープでシンプルな一発録音みたいなガレージサウンドのファーストアルバムは輝いている。凄く久々に聴いたけどやっぱかっこ良いって。いいなぁ、こういうサウンド。裸一貫でロックする、ってトコかな。
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