The Kinks - Muswell Hillbillies (1971):
0 Comments

キンクスの1971年の「マスウェル・ヒルビリーズ」がデラックス・エディションでリリースされる事を知ったのは割とリリースされた後…、と言うか全然知らなかった。キンクスはかなり好きなバンドの部類に入るが、初期のアルバムなどはもう何回も何回も手を替え品を替えでリリースされまくりボーナストラックがどうのとかモノラル・ステレオバージョンとか米英盤云々とかシングルが、と凄いワケ。60年代のバンドはどうしてもそういうマテリアルがたくさんあるからやれば何でも出来ちゃうけど、そんなについて行くファンも多くないだろう。大多数は音楽が気に入って聴いているから色々聴ければ良いけど、全部である必要のない人の方が多い。また、そこまで追いかけるバンドもまた多くはない。それも昔みたいに時間を開けてリリースされるならともかく、今はもう大人買いターゲットで纏めて出るから集めている人は大変だろう。たかが知れた金額かもしれないけど。
愚痴はともかくキンクスの1971年のアメリカンカントリー・ブルーグラス風味に仕上げた痛烈な社会風刺は相変わらずな傑作「マスウェル・ヒルビリーズ」。キンクスの面白さに気づく前まではこのアルバムもかったるい作品の一つでしかなかったけど、良さが分かってからはRCA時代は相当好きになった。その最初の作品が「マスウェル・ヒルビリーズ」がどうにもやってることはカントリーチックなくせに凄くキンクスらしいという不思議が良くてハマる。元々40年代のボードヴィルな世界が好きなレイ・デイヴィスなのでそのヘンを持ち込んでカントリータッチにしつつ軽快に皮肉って多才ぶりを発揮してる。結果、どの曲も世界に名だたる名曲にはならないが駄作のない佳曲揃いの傑作に仕上がっているさすがの一枚。アルバムジャケットから雰囲気、ロゴのカッコ良さなど何処をとっても古臭いが、やっぱり大道芸人歴50年を誇る人の才能は違う。
しかし久々に聴いたが、どれもこれも口づさめるのは何故?ハマって聴いてたからその時に覚えたんだろうけど、それにしても面白いアルバムです。ホント、名盤と言うんじゃなくて良いアルバム。キンクスの面白さは人に伝えようと思わない。分かる人だけ分かって聴いてくれる方が絶対楽しめるし、この面白さは分からない人は絶対分かんないから。

- 関連記事
-
- The Kinks - Muswell Hillbillies (1971):
- The Kinks - Kinda Kinks (1965):
- The Kinks - Something Else (1967):