Pink Floyd - Ummagumma


ピンク・フロイド「ウマグマ」
1969年リリースでアナログ時代はAB面がライブ、CD面がスタジオ盤という変則もの。そうだなぁ、まぁ、普通はスタジオ盤ってのを後で聴いて新曲群を堪能して覚えるという楽しみ方なんだろうけど、このアルバムの場合は思い切り顕著に出てくるんだが、AB面のライブがとにかく圧倒的に人気が高くて、CD面をマジメに聞き込む人ってのはそうそう多くないというアルバムだと思う。それでも傑作に挙げられるのはライブの面白さだろうな。ちなみにCD面のスタジオ盤は完全に実験音楽の世界なので普通はそんなに売れるもんでもないのだが、このバンドの場合は売れるのだなぁ(笑)。どれもこれも面白くない曲ばかりが詰め込まれているのがCD面で、その実験精神の旺盛さとかもちろん完成度の高い曲もあるし、しっかりと起承転結が出来上がっているというのもあるんだけどねぇ、ちょっとイマイチ宇宙的過ぎるかな(笑)。だからこのCD面はあんまり書けることがないのだ。
で、ジャケットなんだけど、これも面白い構造になってるね。壁に掛けた絵の中がどんどんメンバーが入れ替わっていくという面白い着眼点。ヒプノシスだもんな。で、その絵の下にあるレコードが「恋の手ほどき」という映画のサントラかなにかのジャズ系作品のアルバム。一度レコードを見かけたけど買わなかったなぁ、失敗した。多分このサイトを読んでいる人の5%くらいはこの「恋の手ほどき」のアルバム持ってるんじゃないだろうか?
さて、肝心のAB面のライブだけど、まだまだ実験精神旺盛な頃のライブで、シド・バレットがいなくなった後の不安定なフロイドをどうするか、というようなテーマの中、皆が皆意見を持ち寄って、演奏することでとにかく何かを生み出して行こうという姿勢が詰め込まれている。実際に楽器を持った連中がこういう自由度の高いものをテーマにジャムるとこういう形で気分が高揚するケースも非常に多いので、ここに収録されている狂気じみた雰囲気のテンションはよくわかるし、好きだね。やっぱ「ユージン」の迫力は凄い。ただ、まぁ、一般の人からしたらそれほど面白くない、と言うか全く聴くに値しない音楽だろう(笑)。この曲だけでこのアルバムは名作という評価が維持されているような気がするなぁ。
今の時代にこれが名盤になるとはとても思えないけど、こういった時代背景と過程があったことでピンク・フロイドというバンドがどんどんと巨大化していったという重要作品。ライブ面は確かにかっこよくってハマりやすいからそういう意味ではオススメだけど、決して万人向けではない、と。自分的には好きだけど、どっちかっつうと「狂気」以降のフロイドが好きだからねぇ…。
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