The Kinks - Everybody's In Show-Biz


「この世はすべてショー・ビジネス」っつう邦題が付いているんだけど原題は「Everybdy's In Show-Biz」。まぁ、いいか。レコード時代にはこれもまた二枚組になっていて、一枚目がスタジオ盤、二枚目はそれこそ1972年のライブツアーからのライブ盤という変則な作品で、多分RCAに移籍したからパイ時代の曲を出したいという目的があったんだろうなと容易に想像が付く代物(笑)。もちろん重役共の思惑でしょ、多分。ま、それでもアルバム的には全然悪くないのでOKっす。
初っ端の「Here Come Yet...」からゴキゲンな、というか緩いというか、キンクスらしい軽い感じのロールが始まって決して同時期のストーンズあたりにもヒケを取らないアメリカナイズの部分と英国ならではのこだわり、そんなサウンドが最初からね、きたきた~って感じ。こういう気取らない所が良いねぇ。次はマイナーな曲だけど、レイらしくまとまってて可愛らしくて良いのだ。「Unreal Reality」なんつうヒネたタイトルもまた良くってね、これもドタバタって行くんだけどもうそういうもんよ、いいねぇ~。次は「Hot Potatos」なんつう脳天気なコーラスが印象的な爽やかな曲もこれまた素晴らしい…、あぁ、やっぱり英国の、というかレイ・デイヴィスのこういう天才的才能があればロックだ~と粋がることなく素直にロックを奏でられるものなのだなぁ…。そしてA面ラストの本作の最高傑作のひとつでもある素晴らしくもモノ哀しくそして美しいバラード曲「Sitting In My Hotel」。これほどに美しい曲と言うモノはそうそう存在しないのではないか?それくらいに素晴らしい名曲。聴いてみてほしいねぇ…。さてさて、B面では一転して「Motorway」というカントリータッチな作品が最初に配置されているけど、とは言ってもこういうのってアメリカのミュージシャンが実際にやっているかと言うとなかなか挙げられない…、やっぱ独自解釈なんだろうな。「You Don't Know My Name」も可愛らしい曲でねぇ、やっぱアメリカ的なんだけどレイ風。うん、このアルバムはそんなんばっかかもしれん(笑)。で、一応シングルにもなった「Supersonic Rocketship」っつうのはカリプソ風というのかな、そんな流れが次の「Look A Little...」にも繋がってるね。うん、コンセプトアルバムっつうよりもほのぼの軽快なアルバム、だな。いいなぁ、この季節にピッタリだもん。そしてB面ラストの超名曲「Celluloid Heroes」。これ聴いたことない人いたらもったいないよ、ホントに。良い曲だよな、マジに。夢があってねぇ、こういうハリウッドを題材にした作品って名曲が多いけど、これはもう最高。この曲のためだけにアルバム買ってもいいくらいだろうね。素晴らしい…。
ここまででスタジオ盤は終わるんだけどものすごく軽快で聴きやすいアルバム。別にロックだとかなんだとか意気込む必要もなくって、そのままにキンクスを聴ける作品かな。前作「マスウェル・ヒルビリーズ」での作風から更に垢抜けた感じで実に良い。素晴らしい、とか良い、としか言えない自分が情けないが(笑)、とにかく名盤。絶賛です。
以降のライブ面は逆にスタジオ盤とは大きく異なっていて、え?これがあの大人しいポップバンドのキンクス?っていうくらいにハードでロックンロールしているんだよね。アドリブもバリバリだし、ステージングの上手さも凄いしさ。途中途中の「Banana Boat Song」っつう40年代風のキャバレーソングが好きでねぇ…、こういうのって誰の作品がいいんだろ?探し方がわからないからキンクスのこういうので楽しんでるんだけど、面白いよね。うん、もうライブもスタジオ盤も最高、これ。
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