King Crimson - Lark's Tongues In Aspic


最初にこれ聴いた時は驚いた~。静寂の中に聞こえる音から爆発するみたいにガツーンって音が鳴ってきたりして、正にプログレだな~って思って聴いたけど、それよりも雰囲気が凄くかっこよかった。ジェイミー・ミューアの奏でるパーカッションの静かなイントロからアルバムはスタートするんだけど、その序章が終わりを迎えた時、唸るような、というかこれから絶対に何かが起きるぞっていうようなバイオリンの静かなる序章、そしてこれ以上ないってくらいに歪んだギターがフェイドインで入ってくると言う…、いやぁ、一言で言えば「怖い」音楽。強烈だよな、この破壊力は。リフに入ってからはもう攻撃性が凄くて、それでも静と動がしっかりと使い分けられていて間をバイオリンが取り持つ、みたいな感じかな。フリップ卿のギターワークは当然ながら、やっぱりブラッフォードのドラムとウェットンのベースプレイが何とも凄い状況を創り出していて、正に傑作、名盤。ミューアのパーカッションも所々で狂気とばかりに聴けることでこのアルバムの「怖さ」に大きく貢献している。13分にも渡る強烈な殺人的楽曲の後はもちろん心優しいメロディを聴かせてくれるのがクリムゾンの常套手段。そしてこの「Book of Saturday」ってのがこれまた綺麗な曲でねぇ…。メランコリックというか、これもクリムゾンらしいっつうか、ウェットンもこういう曲で本領発揮しているっつうのが多彩な人だよね。そしてもう一丁静かなバイオリンのイントロから奏でられるメランコリックな楽曲「Exiles」。ブラッフォードのドラムがらしくないんだが、その分曲にマッチしていて心洗われる気分になる心地良さ。コレも凄いなぁ…。
ここでA面終了なんだが、とにかく一曲目のインパクトが強烈すぎて、その余韻を他の二曲が補ってなだめてくれるみたいな構図かね(笑)。ジャケットはシンプルに太陽と月が重なったもので、宗教的な香りがするけど、まぁ、クリムゾンっつうのは錬金術師という印象もあるし、大体がフリップ卿の思想だからこういうのもありかな~って。良いジャケットだと思う。
B面はブラッフォード叩きまくりの「Easy Money」からだね。ここのスタジオ盤はまだまだ大人しいもので、これはもうライブで本領発揮してしまう曲だな。終盤を聴いていればわかるけどどうにでも変化していく曲だからクリムゾンの真髄をじっくりと楽しめるナンバー。歌詞の皮肉さも面白くて良い(笑)。そして実験的な「The Talking Drum」。正にインプロビゼーションをイメージしたこの曲はクリムゾンのこれからを予見したものかもしれない。淡々とというかスリリングに奏でるウェットンの強烈なグルーブによるベースラインに対してメロディアスに絡んでくるクロスのバイオリン、そして疾走感溢れるドラミングで曲を引っ張るブラッフォードのリズム、そこへフリップ卿が思い切り噛ませてくれるという構図はもうクリムゾンの縮図そのもの。普通に聴いていたら全然面白いとは思えない曲なんだが、そこがクリムゾンの凄いところ。どうも聞き耳を立ててしまうんだよね。もちろん歌ないんだけどさ(笑)。さて、最後はアルバムの冒頭と同じく、そのパート2なのでやっぱり攻撃的なリフが変拍子で奏でられ、ひたすらと攻めまくられる。ある種ミニマル効果もあってだんだんと洗脳されてくる。このノイズの心地良さというか、どんどんと自分がこの音圧に押しつぶされていくような感覚。
いやぁ、これもまた久々に聴いたんだけどやっぱ凄いなぁ…。どの曲も引き込まれていく魅力たっぷりだし、聴き直したりしてしまう曲もいくつもあって、また新たな聴き方もできたな。うん、この迫力と期待感はなかなか他では楽しめないしやっぱ強烈っ!
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