Taylor Swift - Midnights (2022)

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 コロナ禍になり、歌姫テイラー・スウィフトは驚くべきアルバム「foloklore」を唐突に発表してシーンの度肝を抜き、続けて同系統の作品「evermore」を即リリースして、更に再録盤「fearless」「Red」をも短期間で投入してきた。その創作意欲やモチベーションの原点がどこにあるのか、ホントに才能豊かな歌姫、一流ミュージシャンでなければなかなか出来ないだろうから、ルックスやアイドル性だけに振り回されてはいけないと見ているが、それにしても更にアルバム「Midnights」をリリースしてくるこの才能の豊富さは、もしかしたらプリンス並みの天才なのかもしれない。ここのところの作品はジャンル的にどう言えば良いのか知らないし、ひとつのジャンルになっているのかどうかも分からないが、いわゆるギターやベースがある音ではなく、電子リズム的な音に装飾音や浮遊音が重なってくるだけでバックが構築されていて、基本はテイラー・スウィフトの歌メロだけと言う、ある種昔で言うフォーク一本で歌い上げている作品に近いのかもしれない。少なくともポップスではないから摩訶不思議な作風で、その意味でも彼女は最先端の新しいサウンドにチャレンジしてしっかりとモノにしながら作品を進化させているアーティストとも言えるワケだ。

 面白いのはそんなサウンドでもファンはこれがテイラー・スウィフトの作品だ、と言うだけでアルバムを聴くし、聞けば決して悪い作品ではないからきっと好きになるし、それは今のシーンの最先端の先にあるから全然恥ずかしくなく意気揚々と聴いているとも言える作品だから素晴らしい。更に歌詞が生々しく伝わりやすい特徴もあるから身近感親近感も強く感じるので、改めて文句なしのアーティスト。ロック好きなだけの自分からしても気になる存在でデビュー時から聴いては不思議に思い、その存在をどこか否定しつつも認めざるを得ない状況を理解しては聴いてきたが、ここ数年の彼女の伸び具合と言うか、新たなる世界へのチャレンジはホントに脱帽もので本作でも最初はまた電子音のアルバムかと少々引き気味ではあったが、聴いてしまうと電子音がどうのというレベルではなく、テイラー・スウィフトという歌手の歌声とメロディセンスの良さ、曲への馴染み具合も含めて全く良く出来ている作品と気づく。更にその曲それぞれがこれまでの冗長だと思われたアレンジではないからか、また生々しく伝わってくるからか、かなり良い感じで恐れ入る。

 フォークギター一本でカントリーを歌って出てきたのに、今ではシーンの最先端を引っ張っている存在にもなっているとは昔は誰も思わなかっただろう。本作も多分最初はギターで作っていたのではないだろうかと思うが、それがこう化けると思うとそのプロセスの方が知りたくもなるが、そんな事は彼女にはどっちでも良くて、真夜中に作っていた作品ばかりだから「Midnight」と、作った時の背景がアルバムに刻まれている音楽との認識の方が強いワケだから超越している。ただ、ほんの少しだけ、あと何年か後で良いからアコギ一本で生々しいテイラー・スウィフトの歌声を収録した作品も聴かせてほしいと思う。



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フレ
Posted byフレ

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