Patti Smith - Twelve
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ロックという世界は実に面白い。最近またそれを実感している。別にテーマを決めなくても聴きたいモノを聴けばいいんだけど、それがあまりにも広がりすぎていったためになかなかアーティスト側の意図した想いをきちんと受け止める、と言うところまで辿り着かないものも数多い。いかんなぁと思うのだが、そこまでピンと来ないものはあるもので、多分ロックを聴くというキャリアを積んでいるから、何となく自分的に感覚が必要と思うモノにはちゃんとアンテナが立つもので、そうじゃないものは途中で飽きる(笑)。いや、ま、好き嫌いで聴くものだからしょうがないでしょ。
ん~と、何を書きたかったかと言うとだ、メタリックな世界の様式美に感動して、アイルランドの歌姫とスコットランドのトラディショナルなど色々と感動するものがあるけど、今日もまた新たに知り抜いた世界の中で感動したのです。

Patti Smith 「トゥエルヴ」
こないだ出た新作…っつうかタイトル通り12曲のカバーソングが収録されたもので、これがまた勝手知ったるものから意外なモノ、そして深く頷いてしまうモノまで多種多様にカバーされていて、どれもこれもがパティ・スミスの曲じゃないかと思うくらいに彼女らしいアレンジと歌い方が施されていて…、見事。若い世代でパティ・スミスのファンが付いたらこのアルバムから古き良き時代のロックにまで遡ることだろう。原曲が負けているものだっていくつもある。それくらいに痺れるカバーアルバムだね。
1曲目からジミヘン。しかも「Are You Experienced?」なんつう渋いトコロを持ってくるあたり、さすが。しかも超斬新なパティ・スミス風アレンジで楽曲を丸裸にしてから構築し直しているこのアルバム一番の作品。こんなにも素朴に赤裸々にこの曲を歌う人はパティ・スミス以外にはいないし、この曲をそういう風に持っていく人もまぁいないだろうな。ジミがギターで語っていたエモーションを淡々と歌声で伝え直した、って感じでね、コイツでヤられました。次は驚きの曲で、歌メロが流れてきた瞬間に「あれ?何だっけ?」って思ってしまったらTears For Fearsの「Everybody Wants To Rule The World」だった。80年代に売れたアレです。これはまぁ、好きだったのかな、彼女。そんなに力入ったカバーじゃないけど、圧倒的に自分のモノにしている点は変わらない、やっぱ迫力。いや、何だろうね、この貫禄は。で、何?ニール・ヤングの「Helpless」。アコギで静かに歌い上げている…、圧倒的に原曲よりも良いなぁ、と思ってしまうね、これ。4曲目、ストーンズの名曲「Gimmie Shelter」なんてのを取り上げているってのも興味津々だったんだけど、聴いてみると、結構忠実にカバーされていて、迫力はさすがにパティ・スミスの持ち味が出ているけど特にストーンズとのアレンジの違いはないかな。いや、アコースティックでハードにって感じだけどさ。しかし、これこそロック、だよ。ロック。うん。ロックなバンドの曲をロックな彼女が歌う。だから違和感なし。素晴らしい感動モノの迫力。これもかなり良かったなぁ。
で、次は…おぉ、やってしまったかビートルズ(笑)。だが選曲がさすが(笑)。「Whithin You Without You」だもんな。それをドラムのロールと12弦ギター?とベースとパティ・スミスの歌だけでひたすら宗教チックに歌い上げていくアレンジで、これもかなり斬新というかパティ・スミスらしい…。カバーとはわからないだろうと思える作風には驚くね。ガレージサウンド的でもあるし、幻想的でもある。こういう世界って凄いなぁ…。正に60年代っていう雰囲気出まくってるよ、これ。で、次もまた60年代の曲なんだけどジェファーソン・エアプレーンの「White Rabbit」で、これもまた有名曲だね。どこかスペイシーなアレンジでなんかトリップしている雰囲気を出している様子だなぁ、このヘンの曲は。7曲目のディランの曲はもうパティ・スミスお得意のパターンで淡々といつものように言葉を音に乗せて紡いでいくというもので、まぁ、ディランよりは全然聴きやすいかな。…と思ったら今度はポール・サイモンですか。これは原曲聴いてないから知らないけど、最近のパティ・スミスの音によるアレンジでやっぱりしっかりとらしさが出ているアレンジ、かな。
そしてアルバム中最も本人に成り切っているんじゃないかと思うようなドアーズの「Soul Kitchen」。もう、ハマってるなんてもんじゃない。今のドアーズ再結成バンドもパティ・スミスをボーカルに迎えて何曲かやってくれたらそれでドアーズ復活って言われるぜ。それくらいにハマってる。ジム・モリソンを聴いているようにしか聞こえないもん。音の雰囲気も何もかもがドアーズ。こういうのがロックだよ、うん。いいなぁ。続いて静かにベースのが奏でられて始められるこのアルバム収録曲中もうひとつの思い入れが確実に伝わってくるニルバーナの「Smells Like Teen Spirit」。あの大ヒット曲を物静かにそしてパワフルにカバーしている。同じアンダーグラウンドからの出立でパティ・スミス的にも思い入れがあったんだろうなぁ、と。自身の周辺の出来事も含めてあまりにも重すぎるカバーかもしれないな。考えすぎかな。サウンド的には全然ハードじゃなくてアコーディオンまで入れて明るくしているくせにやたらと重くて…、好きだな、こういうの。途中のパティ・スミスの語りの部分なんてもう堪らないよ、ほんと。気分の高揚する、このアルバム中最高峰に位置するカバー。YouTubeリンクしとくので聴いてみて。スタジオ盤はもっと重いけどね。
以降、オールマンのカバーはこの流れでは妙にホッとする雰囲気だけど、やっぱパティ・スミスにはこういうの似合わないなぁ(笑)。いや、それでも聴いているとそんなに違和感ないんだけどさ、その辺がアーティスティックだね。最後はスティーヴィー・ワンダーの曲で、やっぱりピアノをフューチャーしたアレンジ。やっぱり重くなるのはしょうがないとしても、曲の良さは際立ってるし、何と言ってもラストチューンに相応しい最後の盛り上がりはもう迫力と貫禄とパワーに脱帽。素晴らしい。
なんか久々に長々と書いてしまったけど、やっぱりパティ・スミスという人は暗くて重い。…が、ロックって暗くて重くないとダメなんだよね、自分的には。だから凄く好きな人の一人なんだけど、それをね、自分が聴いているのと同じようなところからカバーしてくるってのがさ、ある意味嬉しいし、その料理の方法を楽しめる。そして原曲に負けないセンスの良さと自我の在り方ってのを見せてくれると最高。このアルバムはそれをきっちりと示してくれたのでもう言うことなし♪
ん~と、何を書きたかったかと言うとだ、メタリックな世界の様式美に感動して、アイルランドの歌姫とスコットランドのトラディショナルなど色々と感動するものがあるけど、今日もまた新たに知り抜いた世界の中で感動したのです。

Patti Smith 「トゥエルヴ」
こないだ出た新作…っつうかタイトル通り12曲のカバーソングが収録されたもので、これがまた勝手知ったるものから意外なモノ、そして深く頷いてしまうモノまで多種多様にカバーされていて、どれもこれもがパティ・スミスの曲じゃないかと思うくらいに彼女らしいアレンジと歌い方が施されていて…、見事。若い世代でパティ・スミスのファンが付いたらこのアルバムから古き良き時代のロックにまで遡ることだろう。原曲が負けているものだっていくつもある。それくらいに痺れるカバーアルバムだね。
1曲目からジミヘン。しかも「Are You Experienced?」なんつう渋いトコロを持ってくるあたり、さすが。しかも超斬新なパティ・スミス風アレンジで楽曲を丸裸にしてから構築し直しているこのアルバム一番の作品。こんなにも素朴に赤裸々にこの曲を歌う人はパティ・スミス以外にはいないし、この曲をそういう風に持っていく人もまぁいないだろうな。ジミがギターで語っていたエモーションを淡々と歌声で伝え直した、って感じでね、コイツでヤられました。次は驚きの曲で、歌メロが流れてきた瞬間に「あれ?何だっけ?」って思ってしまったらTears For Fearsの「Everybody Wants To Rule The World」だった。80年代に売れたアレです。これはまぁ、好きだったのかな、彼女。そんなに力入ったカバーじゃないけど、圧倒的に自分のモノにしている点は変わらない、やっぱ迫力。いや、何だろうね、この貫禄は。で、何?ニール・ヤングの「Helpless」。アコギで静かに歌い上げている…、圧倒的に原曲よりも良いなぁ、と思ってしまうね、これ。4曲目、ストーンズの名曲「Gimmie Shelter」なんてのを取り上げているってのも興味津々だったんだけど、聴いてみると、結構忠実にカバーされていて、迫力はさすがにパティ・スミスの持ち味が出ているけど特にストーンズとのアレンジの違いはないかな。いや、アコースティックでハードにって感じだけどさ。しかし、これこそロック、だよ。ロック。うん。ロックなバンドの曲をロックな彼女が歌う。だから違和感なし。素晴らしい感動モノの迫力。これもかなり良かったなぁ。
で、次は…おぉ、やってしまったかビートルズ(笑)。だが選曲がさすが(笑)。「Whithin You Without You」だもんな。それをドラムのロールと12弦ギター?とベースとパティ・スミスの歌だけでひたすら宗教チックに歌い上げていくアレンジで、これもかなり斬新というかパティ・スミスらしい…。カバーとはわからないだろうと思える作風には驚くね。ガレージサウンド的でもあるし、幻想的でもある。こういう世界って凄いなぁ…。正に60年代っていう雰囲気出まくってるよ、これ。で、次もまた60年代の曲なんだけどジェファーソン・エアプレーンの「White Rabbit」で、これもまた有名曲だね。どこかスペイシーなアレンジでなんかトリップしている雰囲気を出している様子だなぁ、このヘンの曲は。7曲目のディランの曲はもうパティ・スミスお得意のパターンで淡々といつものように言葉を音に乗せて紡いでいくというもので、まぁ、ディランよりは全然聴きやすいかな。…と思ったら今度はポール・サイモンですか。これは原曲聴いてないから知らないけど、最近のパティ・スミスの音によるアレンジでやっぱりしっかりとらしさが出ているアレンジ、かな。
そしてアルバム中最も本人に成り切っているんじゃないかと思うようなドアーズの「Soul Kitchen」。もう、ハマってるなんてもんじゃない。今のドアーズ再結成バンドもパティ・スミスをボーカルに迎えて何曲かやってくれたらそれでドアーズ復活って言われるぜ。それくらいにハマってる。ジム・モリソンを聴いているようにしか聞こえないもん。音の雰囲気も何もかもがドアーズ。こういうのがロックだよ、うん。いいなぁ。続いて静かにベースのが奏でられて始められるこのアルバム収録曲中もうひとつの思い入れが確実に伝わってくるニルバーナの「Smells Like Teen Spirit」。あの大ヒット曲を物静かにそしてパワフルにカバーしている。同じアンダーグラウンドからの出立でパティ・スミス的にも思い入れがあったんだろうなぁ、と。自身の周辺の出来事も含めてあまりにも重すぎるカバーかもしれないな。考えすぎかな。サウンド的には全然ハードじゃなくてアコーディオンまで入れて明るくしているくせにやたらと重くて…、好きだな、こういうの。途中のパティ・スミスの語りの部分なんてもう堪らないよ、ほんと。気分の高揚する、このアルバム中最高峰に位置するカバー。YouTubeリンクしとくので聴いてみて。スタジオ盤はもっと重いけどね。
以降、オールマンのカバーはこの流れでは妙にホッとする雰囲気だけど、やっぱパティ・スミスにはこういうの似合わないなぁ(笑)。いや、それでも聴いているとそんなに違和感ないんだけどさ、その辺がアーティスティックだね。最後はスティーヴィー・ワンダーの曲で、やっぱりピアノをフューチャーしたアレンジ。やっぱり重くなるのはしょうがないとしても、曲の良さは際立ってるし、何と言ってもラストチューンに相応しい最後の盛り上がりはもう迫力と貫禄とパワーに脱帽。素晴らしい。
なんか久々に長々と書いてしまったけど、やっぱりパティ・スミスという人は暗くて重い。…が、ロックって暗くて重くないとダメなんだよね、自分的には。だから凄く好きな人の一人なんだけど、それをね、自分が聴いているのと同じようなところからカバーしてくるってのがさ、ある意味嬉しいし、その料理の方法を楽しめる。そして原曲に負けないセンスの良さと自我の在り方ってのを見せてくれると最高。このアルバムはそれをきっちりと示してくれたのでもう言うことなし♪
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