Robert Wyatt - The End Of An Ear (1970):
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ピンク・フロイドの世界とソフト・マシーンの世界は最初期は割と繋がっていたと知られている。それは多分UFOクラブへの出演が双方とも重なっていたからだろうし、お互いにインスピレーションを与え合ったのも想像に難くない。ソフト・マシーンは次々とジャズに傾倒し、初期のサイケデリック度合いはまるで影を潜めるが、それは多分ソフト・マシーンの方が音楽的に進化していくメンバーに替わったからか。シド・バレットの脱退からギルモア参入以降のメンバー変更のないピンク・フロイドとは大きく異なる。それでもニック・メイスンとロバート・ワイアットが同じドラマー繋がりでコネクションが続いていたのは面白い。
1970年にソフト・マシーン在籍中にリリースされたロバート・ワイアットの最初のソロアルバム。この後の「ロック・ボトム」をニック・メイスンがプロデュースした名盤とは知られているが、ファーストアルバム「The End Of An Ear」はそれほど知名度が高くないようだ。音聴けば納得するが、まだソフト・マシーンのフリーフォームでアバンギャルドなジャズロックがバリバリの頃のドラマーのソロ作。しかもソフト・マシーンでは自身の曲やアイディアが生かされないジレンマから創り出された作品。聴くと一体ソフト・マシーンの「Third」や「Fourth」とそんなに違わないと思うフリーフォームな世界で、ソロアルバムの意義はよく分からない。ただ、ロバート・ワイアットのやりたかった世界だろうし、ソフト・マシーンよりもっとアバンギャルド感が強い。楽器が少ないのもあるが。
この後に活動を共にするリチャード・シンクレアの参加とソフト・マシーンからのエルトン・ディーンの音色がすごく個性的に突出してて、キース・ティペット人脈からのニック・ホワイトヘッドのベースもかなり面白い。そこにロバート・ワイアットの軽快で複雑なドラムが絡む、音楽的には何やってたらこんなの出来るのか不思議な感じのフリーフォーム。ロバート・ワイアットのボーカリゼーションも入ってるが、あまり素頓狂な感じではなくキチンと音を形成している。狂気じみた雰囲気でもなく、正しくフリーフォームなジャズロックな世界を出してる。
この後のマッチング・モールも興味深い。ソフツの「Moon in June」とマッチング・モールの「Oh Calorine」はロバート・ワイアットの名曲トップを争うが、「The End Of An Ear」はそんな牧歌的な雰囲気はなく、実験的で意欲に溢れたユニークな作品。

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