Nick Mason - Fictitious Sports (1981):

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 往々にしてドラマーのソロアルバムは単にその有名ドラマーがドラムを叩いているだけの作品が多く、作曲センスや楽曲のアレンジがきっちりと打ち出されて音楽的才能を開花させる場になる事はほとんど見当たらない。稀にコージー・パウエルみたいにセンスを出してくれる人はいるけど、9割方が名前を使われるだけが多い。そして1981年にはピンク・フロイドのドラマーとして知られるニック・メイスンのソロ作品「空想感覚」がリリースされた。時代は「The Wall」で世間を賑わせた後だ。

 その「空想感覚」は、今でもニック・メイスンのソロアルバムでピンク・フロイド的に語られるが、ロバート・ワイアットのボーカル作品として語られても良いじゃないかと。大きくはカーラ・ブレイがロックに接近したアルバムの方が重要じゃないか。カーラ・ブレイもあまり馴染みがないけど、ジャズ界では屈指のコンポーザーで女性ながらもかなり有名な人。それがまたニック・メイスンとどんな関係での知り合いだったのか、この「空想感覚」を全曲手がけている。ここではロバート・ワイアットもニック・メイスンもひとつの音でしかない。ちなみにギターにはこの辺の音なら任せとけ的なクリス・スペディング。

 かと言って「空想感覚」がジャズロックなアルバムか、と言われると実はそうでもない。かなり軽い感じのヘンなアルバムで掴み所がない。ロバート・ワイアットの歌声だから優しくてカンタベリー的だけどニック・メイスンのドラムはかなりドタバタでジャズ感はまるでないし、曲調もヘンに盛り上げているのもあって掴み所がない。ただ、そんな作風だからこそニック・メイスンの無個性が生きているかも。マニアックなファンがこのアルバムをきっかけにカーラ・ブレイを聴いたり、ロバート・ワイアットを聴く方に進むならで価値がある作品になるだろう。決してニック・メイスンの個性が発揮されてはいない。ただ、ドラマーのアルバムはそういうのが多いから聴いている分には全然聴きやすい。ジャケットはこちらもヒプノシスだし。





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Posted byフレ

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