High Tide - High Tide (1970):
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サイモン・ハウスの名前を最初に知ったのはDavid Bowieのライブ盤「Stage」だった。もっともその前にサイモン・ハウスの名前を何かで見かけたから「ん?」って思ったのかもしれないので何が最初だったかは分からないが、それでも、Bowieのバンドに入るくらいだから腕は確かだろうし、あまり超メジャーなバンドやアーティストとB級系のバンドの面々がクロスオーバーすることも多くないだろうから、その中では珍しい経歴を辿った人だと思う。B級のままでいてはいけなかった人か。それに特技がバイオリンと鍵盤と言うのもロック界では割と希少な人材で大いに発揮する場はあったと思うが、それでもフロントにバイオリンを持ってきたバンドではなく、サポートメンバーに甘んじたのは本人の性格か、そのサイモン・ハウスと言えば自分的には今はHigh Tideになる。
1970年にリリースされたセカンドアルバム「High Tide」ではファースト「Sea Shanties」に比べれば圧倒的にバイオリンが全面に出てくる印象が強く、ファースト「Sea Shanties」の超絶ヘヴィ圧巻バンドの音からはかなり知性を持った集合体として進化しているけど、凄く久々に聴いてるな、これ。High Tideそのものも久々だから、ファースト「Sea Shanties」も印象だけで書いてるけど、最初に聴いた時は怒涛のヘヴィロックの洪水が流れこんできたようなバンドで、しかも60年代末にこんなバンドがあったのかと言うくらいの衝撃だったし、立て続けにセカンドの「High Tide」も聴いていた。当時CDを漁ってた頃は怪しい海賊盤紛いのCDで「Sea Shanties」「High Tide」の二枚とも1CDに入ってて、アナログ落としの音もあったからかヘヴィに聴こえた。その後何度かCDがリリースされたりボーナストラックが追加されたりとそれなりに需要があったようで、今でもきちんとCDで手に入るバンドだから素晴らしい。
さて、ヘヴィさが衰退したワケなく、相変わらずダークで重苦しい音を出し続けているバンドで、音楽性の底辺はサイケとブルースになるのだろうか、ドラムもドタバタしててハネることのないノリ、またハネることのないバイオリンがあってベタにベースが這いつくばっているバンドの音。しかも4曲しか入ってないアルバムで、とにかくフリーインプロビゼーションが中心の音作り。構築美は皆無だけど臨場感はかなりのテンションがある。ここに若干の展開と構築美があればかなり驚くべきバンドだが、そうはならない。それでも「The Joke」で突如としてほのぼのとした牧歌的なサウンドが出てくるとやはり英国の性だな、と感じてしまう曲もあるので捨てられない。ちょいとクセになる音ではある。

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