Nico - Drama of Exile (1981):
0 Comments

英国ではパンクの波が起きて一段落すると新たにニューウェイヴと呼ばれる進化したサウンドを核としたバンドがゾクゾクと出てくるし、P.I.Lを筆頭にJoy Divisionのようなパンク的思想をより一層ダークに押し下げて内に秘めるエネルギーを内側に発散するスタイルもあったが、そのスタイルの発端もパンクのきっかけにも拘わっていたニコ。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの知名度は高かったけど結局一作のみで、以降は独り歩きしていた状態だが、1974年の名作「The End」以降ふっつりと途絶えた。
1981年リリースの5枚目の作品「Drama of Exile」の諸事情は後に記載するとして、まずはこの音はこれまで聴いた事がないサウンドだった。ドヨーンと平たい音がただ流れて、そこにニコの歌声だから抑揚なき音楽で音の核のギタリストがムハンマドらしく、なるほど中近東的な雰囲気が入っている。そこにニコの地下の水道管と呼ばれる声と、基本的な歌メロは何度となくヨーロッパのメロディが入る文化の融合でおかげで聴いた事のない、表現しにくいサウンドが出来上がっている。多分唯一無二の音世界で、以降のフォロワーもこういうホンモノの中近東を混ぜた音は出来上がっていないし、そこにドラムの音も含めて80年代の音処理で、妙にデジタル的なニュアンスもあって不思議。
収録曲的に目立つ「I'm Waiting For THe Man」と「Heores」はあるが、ニコのオリジナル曲の方が独自性の強いサウンドで不思議さを確認できる。決してニコ初心者にはオススメしないけど、あれこれ聴きたい人には興味深い音。ただ、何回も聴けない。
このアルバムはリリース時にレーベルと紆余曲折あって、結局三種類のバージョンの「Drama of Exile」が出回っているが、そもそも収録曲も楽曲のバージョンも異なっているので、あまりにも深すぎる一枚になっている。とことんハマる程でもないから集めてないけど、この人もライブも含めて権利関係がいい加減だったのか色々リリースされている。

- 関連記事
-
- Lou Reed - Transformer (1972):
- Nico - Drama of Exile (1981):
- Depeche Mode - Some Great Reward (1984):