Free - Free At Last (1972):

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 英国ブルース・ロックバンドもたくさんあるけどグイグイとグルーブをウネラせてくれるバンドはそう多くない。そういう意味ではどれもこれもブルースらしい形態でロックしてくれているバンドが多いが、中でも突然変異的なバンドはいくつかあるし、純粋なるブルース・ロックからはかけ離れていくバンドも実験精神旺盛な70年代には多かった。ところが純粋にブルース・ロックだけをやり続けていたバンドもあった。しかもそれが思い切り誰にも真似出来ない独特のタイム感とグルーブ感で一世を風靡しているバンドだ。日本では2度の来日公演があったが故に伝説的なまでに信者の多いバンドのひとつでもあるフリー。世界的に見ればそんなにカリスマ的人気を誇るバンドでもないようだが、こと日本に於いてはカリスマだった。短命に終わっているのもその要因だろうけど、フリーと日本は仕事でもプライベートでも結構な接点があったし、山内テツというベーシストの加入もひとつの要素だろう。自分の中でもフリーはもう10代の頃からずっと聴いているバンドだし、今でも飽きないし深みがあるバンド。聴く度に発見も刺激も受ける音だし、それはもうグルーブだったりピアノの美しさだったり、もちろんコソフのギターだし、ポール・ロジャースの歌声だが、このメンバーじゃなきゃ出来なかったグルーブ感が一番かな。

 1972年のフリーとしての最終スタジオ録音アルバムとなった「フリー・アット・ラスト」。昔は一番聴かないアルバムのひとつだった。どうしても「ハイウェイ」あたりまでの作品ばかり聴いていて、「ハートブレイカー」と「フリー・アット・ラスト」は聴いた回数が他のアルバムと比べたら多分1/10くらいだろう。いつしか普通に聴くようにはなったけど、それでもまだまだ1972年のフリーの「フリー・アット・ラスト」を聴いたとは言えないくらいの回数かも。3桁行ってないくらいではあるとは思うが。

 アルバムの背景にあるバンドのゴタゴタやメンバー間の揉め事、そして若すぎたメンバー故の衝突や人間関係、未熟な精神状態の若者の集まりという天才肌が故に起きる揉め事はアチコチで語られているので知られている事実として、ドタバタに関わらずにアルバム「フリー・アット・ラスト」を純粋に聴くようにしてみよう。

 冒頭から名盤だ。このギターと歌でハートに来なかったらもう聴かなくて良いんじゃない?そしてオリジナルアルバム時代の最後は「Goodbye」とそのままのタイトルの曲。これで解散だから。そういえばフリーは解散という言葉よりも空中分解という言葉が使われる方が多い。えっと何だ、まぁ聴けよ。どれだけボリューム上げてもうるさくないから。「Travellin' Man」はもうちょっと長ければ、コソフのギターをもうちょっと聞かせてくれよともどかしいけど、その物足りなさ加減もフリーらしい。正直に今なら言えるが、「フリー・アット・ラスト」に捨て曲は一切ない。捨て曲だと思うのがあればそれは聴く側の問題とまで言い切れる。ボーナストラックも嬉しいけど、なしで一旦聴いてほしい。その時間の短さと「Goodbye」で終わるフリーの歴史、そしてコソフのギター。説明抜きにこれが英国のブルース・ロックだ。





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フレ
Posted byフレ

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