Rod Stewart - Gasoline Alley (1970):
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世紀のボーカリストと宣伝文句で書かれてもどこか信憑性に欠けると思いながら斜めに見ていたロッド・スチュワート。それもそのはず、時代は金髪美女を抱きしめるのが最高のロックスターな頃にロッド・スチュワートに会ったからで、一般的に大西洋を超えてからのロッド・スチュワートはロックから見放された、もしくはロックを見放した風潮がある。別に反対もしないけど、そうなのか、と思っていながらもなかなか手を出さなかったロッド・スチュワートのソロアルバム群だが、一方ではFacesのかっこ良さに惹かれていた。
1970年、もちろんFacesに在籍中、ロッド・スチュワートはソロ名義でアメリカマーキュリーと契約して、Facesは英国ワーナーと契約していたややこしい契約形態で、簡単に言えば、掛け持ちくらい別に大丈夫だろうと適当な性格だろうか、案の定その掛け持ちは全然出来てしまったが、そんな1970年、Facesでもファーストアルバム「ファースト・ステップ」をリリースした頃。そこで一方ではソロ名義でのセカンドアルバム「ロッド・スチュワート・アルバム」をリリースしているが、これがまた、Facesもソロも平気で関係なくロン・ウッドもロニー・レインもケニー・ジョーンズも参加してる仲間の輪が頼もしく、だからこの頃のロッド・スチュワート名義のアルバムはほとんどFaces演奏。
ところがこの頃から音的なスタンスは分けていたようで、FacesはややスワンプがかったR&Rバンドの音を出していて、それこそR&Rバンドだったが、ロッド・スチュワートのソロ名義ではかなりトラッドフォークに寄ったロックのアルバムの感じでエレキギターを全面に出す音作りではないアコースティックで歪んだギターではない音。ただしビートもロック的だし、曲もロック的なので不思議な音色を持つバンドを従えたソロ作な感じなので、これがまた面白い音で、ロッド・スチュワートの最高のボーカルがこれでもかとばかりに炸裂して、まだまだ無名だったロッド・スチュワートが唄いまくる、そんな姿を一番収録しているのがこの「ガソリン・アレイ」。アルバムタイトルともなった名曲「ガソリン・アレイ」は不朽の作品で、日本語でも浅川マキがカバーして、その後には真島昌利がカバーしているが、どちらもさすがな感じだが分が悪い。相手がロッド・スチュワートだからやっぱり原曲の迫力と凄さがダントツ。
「ガソリン・アレイ」にはそんな名曲ばかりが入ってて結構聴いたし、だからどれもこれも懐かしさもありながら郷愁を覚える情景が浮かぶ。これもロッド・スチュワートの歌声の魔力だし、アコースティックギターで語られる旋律の美しさで、見事に自然なエネルギーに満ちている作品だ。こんなに生々しい魂に触れてしまったら作られた音なんて聴けない全くの名盤。
昔からレコードではマンホールの蓋がデカイジャケットをよく見つけてて、たまに英国Vertigo盤のジャケを高値で見付けるけど、それも同じアルバムと気付くのにやや時間がかかった。似たようなコンセプトのアルバムジャケットだと思ってただけで。英国ジャケはなかなか見れなかったが、ロッド・スチュワートの場合はアルバム的には米国盤の方がオリジナルになるのかもしれないが、それでも英国盤の方が良い。しかししっとりとした曲とおちゃらけたアコギR&Rが盛り込まれていてロッド・スチュワートという歌声で統一化された見事な作品でぜひとも耳にしてほしいアルバムです。

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