Jeff Beck - Blow By Blow (1975):
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知的なギターとクールなプレイと言えば英国からのこの人、ジェフ・ベック。孤高のギター達人とも呼ばれるベックの場合は天才にしてなかなかセールスには結びつかない不運な人でもあるけど、確かにヤードバーズから始まり三大ギタリストと呼ばれる中、決して派手な活動があったワケでもなく、それでも普通に比べれば全然派手だけど、比較対照がクラプトンとペイジだからしょうがない。しかし今でも現役バリバリのギタープレイと相変わらず革新的なギターへの試みという点では圧倒的にベックに軍配が上がる。
さて、そんなベックがロッド・ステュワートとの作品からBB&Aを経て1975年にリリースした「ギター殺人者の凱旋」という何ともよく分からん邦題が付けられた「Blow by Blow」は、フュージョンと言う言葉がなかった時代にフュージョンの走りとも云えるギターを中心としたインストアルバムをリリース、そしてギターという楽器にスポットを当てて、しかも革新的な試みもあり且つ楽曲が実に親しみやすいメロディを持っているのでこの作品以降はギタリストもギターで歌わせるアルバムという、ひとつの方向性を見つけられたとも云える。そういう意味で実に歴史的価値の高いアルバムで16ビートのカッティングや裏リズム、聴かせるギタープレイとフレージングとトリッキーな技による効果的なギター音の使い方、リズム楽器のギターも活躍するし、ワンコードでのフレーズの変化の付け方、スケールの使い方などギタリストには好み好みでないと言う以前に研究して分析し、そして自身のものにするべく要素がたんまり詰まった作品に間違いない。大体歌がないのに名曲として語られる「哀しみの恋人達」があったり、カバー曲とは云えベックバージョンも十分にメジャーになった「スキャッターブレイン」も入ってる。
自分的にはギタリストへのオマージュという意味では何度も聴いたけど、つい最近まで全然聴かない名盤のひとつだったし、好きか嫌いかという基準で言えば決して好きなアルバムじゃなかったが、以前ちょっと機会があったので聴いていると、結構ハマる面もあってなかなかフュージョンとは言えども悪くないじゃないか、と思う自分がいた。爽やかすぎるのはさすがに好みじゃないけど、それも多分リズムが妙にファンキーだから好みじゃないと思う。しかし、そう言う事を言ってられるアルバムでもなく、やはり名盤で価値あるアルバムだと納得するし、今のベックの原型でもあり、本作以来のベックはロック畑にいるけど、フュージョン界の大御所とも平気で渡り歩けるギタリストに進化していくし、ボーカリストを必要としないミュージシャンとして歩む事になる珍しい人。
まったく聴けば聴くほど凄さが分かるアルバム、ギタリストだ。

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