King Crimson - In The Court of The Crimson King (1969):
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1960年代末期、英国ではブルースロックが全盛となりその最たるモノがクリームで、その後にレッド・ツェッペリンが世界を制した図式だがポップス界ではビートルズが「Abbey Road」をリリースして解散という時期と時代はロックへと流れていったが、英国の奥深いところはそれだけでは済まされなかった。サイケデリックムーヴメントからプログレッシヴロックへと変革したグループが多く見受けられ、その意味ではピンク・フロイドは最たるモノと云えるし、ソフト・マシーンも同様だろうが、それらとは全く関わりのないフィールドから出てきて世間を唸らせた、そして現代に至るまで執拗に追いかけるファン層を創り出したバンドがキング・クリムゾン。
なかなかカッコ良い出だしが書けたが、クリムゾンは突然変異の塊で、英国ロックを聴きまくって歴史的にも分析するけど、このバンドはやはり異質でルーツがない状態でいきなり出てきてしかも当時から売れまくった。もちろんジャイルズ、ジャイルズ&フリップが布石としてあったりジュディー・ダイブルとの出会いなどあるけど、音楽的に「21バカ」みたいな曲が出てくるのは全く正体不明で、そういう意味ではジミヘンよりも突然変異に思えるし、自分の探求不足かもしれないが、一体どこからアレが出てきたのか。
そんなこと云っても存在するモノは存在するので素直に認めながらもキング・クリムゾンの強烈なファーストアルバム「クリムゾンキングの宮殿:In The Court Of The Crimson King」はまずジャケットで、誰が見ても一発で覚えられるインパクトがある大顔面ジャケで印象的だが、描いたのはロバート・フリップ卿の友人らしいが、まさかこれほど売れるとは思わなかっただろうから儲け損なったか、友人だからその辺は上手くやったのかもしれない。アルバムリリース後数年で亡くなったらしいが、この原画が確かフリップの事務所の受付の奥に飾ってあって結構小さいらしい。
初めてこのレコードを聴いた時の印象は最初はとにかく凄さに圧巻で次に綺麗な曲もあり、それでもプログレらしい曲やB面に行くといい曲だと思ったらもう大して音が聞こえない苦痛の8分間があって、タムタムが入って初めてやっと来たと長かった印象のアルバム。
それじゃ面白くないから一応マジメに書くと、一曲目の「21世紀の精神異常者」のリフのインパクトも去ることながらグレッグ・レイクのぶち切れたようなボーカルも相当インパクトあって、何だコレと衝撃が走るし、途中のキメのトコロも超絶ものと、面白いのはこのキメのトコロでグレッグ・レイクのベース音が一箇所だけ途切れる点。意識してるのかミスか知らないけど、どっちにしても面白い効果でここで音が抜ける事もないと思うので多分ミスだろう。そして「風に語りて」の美しい英国的伝承音楽から来ている楽曲で、こういうのがあるからクリムゾンの価値が一辺倒に収まらないし、もちろんジュディ・ダイブルの歌うバージョンの方が単体で聴くなら綺麗で、アルバムならコチラ。そして最早超有名な「混乱、それが私の墓碑銘」とクリムゾンは楽曲もジャケットもともかく歌詞も難解で知的なピート・シンフィールドのいわゆる芸術的な詞が書かれているのも特徴敵で、そういうのが一気に集まったのが凄いからバンドは化学反応だ。「Moonchild」も美しい曲とメロディで3分間ポップスの良い曲だけどそれに8分間の効果音が紐付き、クレジットから見るとやはりこの曲に付いてて、次の「クリムゾンキングの宮殿」の序章でも納得する。アルバム単位でしか聴かないからどっちでも一緒かもしれないが、この長い効果音を大音量で一人で悦に入って聞いていると心地良いところで「タトットットトッ、ジャーン」と入って来て、この感触を味わいたいがために「Moonchild」から長々と聴き入るからもうそれで完璧。
英国オリジナルアイランドレーベルのピンクラベルでリリースされたレコードがオリジナルマスターからのダイレクトカッティングで音が一番良いらしいが、一度聴いたが全く音像が違っていて驚いた記憶がある。以降は各国に配給されたファーストジェネレーションマスターからのカッティングプレスなので、繊細な部分がやはりオリジナルとは異なるようだし、CD時代になってからも何度もリマスタリングされたが、正真正銘のオリジナルマスターテープからデジタルリマスタリングされたのはついファイナルバージョンらしいが、そこまでは聴いてないけど、どうやら見事に音の質が違うらしいのでコレはいずれ聴いておきたいと思ってるがこれだけ何度も再発されるとうんざりで到底ついていけてないです。


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