Judy Dyble - Talking With Strangers (2009):

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 プログレとフォークの間を取り持っていた女性と言えば知る人ぞ知るジュディ・ダイブルはフェアポート・コンヴェンションのボーカルからキング・クリムゾンの「風に語りて」のボーカルへと変貌し、トレイダー・ホーンでその歌声を存分に披露してシーンから消え去っている。21世紀には何が起こるか分からないもので、突如としてシーンに復活して、更に驚くことに復帰後二枚目となる「Talking With Strangers」が今回のお題でもあるが、そこでは昔の人脈と新たな人脈が登場して、存在価値を示している。何十年離れていても普通にこれだけの人物たちとコンタクトが出来る状況が凄いし、もしかしたら自分が知らないところでシーンと密接な関わりがあったかもしれない。

 2009年にリリースされた早くも幻の一枚になっている「Talking With Strangers」は、アルバムの音を素直に捉えれば基本フォーク調の調べを背景にジュディ・ダイブルが歌い上げており、アレンジはややアシッド的ではあるけど、基本的に普通のフォーク+α程度で最後のゲスト陣総出の一曲だけは異色な20分の大作のフォーク調の側面とプログレにとの両面が出ている。この流れで登場するのは話題作りが上手い3曲目の「セラヴィ」で、EL&Pでグレッグ・レイクが歌っていた曲のカバーで、全然出来映えが良くて美しくため息が出るが、そのバックコーラスにオール・アバウト・イブのジュリアンヌ姫が参加してあの憂いのある歌声を確認できる。更にあの幻想的なジャケットでイメージが固定されているTreesのボーカル、セリア・ハンフリー嬢もここで参加と何とも素晴らしい歌姫の共演に、アルバム全般で聞かれるフルートは音色を聴いて一発で分かるイアン・マクドナルドと何十年もした後の恋人同士の共演も幻想を膨らませてくれる。

 6曲目まではフォークを中心としたジュディ・ダイブルの小曲作品集で、ほのぼのと聴けて、言うならばトレイダー・ホーン的な作品集にクリムゾンの小曲風だが、同じような流れで始まるものの期待が膨らむ7曲目の「Harpsong」は展開の豪華さとゲストの豪華さ、ジャッキー・マクシー、サイモン・ニコルからフリップ卿、パット・マステロット、イアン・マクドナルドにセリア・ハンフリーと勢揃いで正にフォークとクリムゾンの融合なる世界観を実践。中間部の混沌ぶりは今の時代には不要だろうが、ノスタルジックを満たすためにわざわざ入れた気もするが、それも敬意の表れだろうか、否定する訳でもないけど、全編コンパクトにした方がアルバム評は高かったかもしれないが評価はどうでも良いからこういう話題を振りまく方が面白く、かなりの名盤である事は間違いのない作品です。





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Posted byフレ

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