Fairport Convention - House Full : Live 1970 (1977):
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英国ロックとトラディショナルフォークの境目は存在していない時もあり、アコースティックだけでトラッドを奏でているバンドとギンギンにハードロックを演奏しているバンドと差はあるけど、どちらも数多くないし、70年代だと尚更少ない。70年代英国ロックには多彩な音楽が入り交じっているし、その全てを包括したのがLed Zeppelinで、一方トラッドの世界でLed Zeppelinと同格の地位を築き上げたフェアポート・コンヴェンション。ジャズならマイルス・デイヴィス、ブルースならロバジョンになるだろうが、ライブ盤シリーズを書いているウチに、トラッドのバンドのライブ盤がフェアポート・コンヴェンションはあるけど他はあまり見当たらないと気づいた。そしてトラッドながらも普通のロックよりも激しいライブを聞けるのもフェアポート・コンヴェンションくらいかも。
1977年にリリースされた「ハウス・フル」は、割と複雑な経緯を辿ったライブアルバムで、元々は1970年のトルバドールのライブ音源を記録したアルバムで最初は「Live At The LA Troubadour」でリリースされ、その後80年代に「House Full」としてジャケットも曲も変えて出てきて、更に2000年代になってCDで何曲か少なかったが、その両方を合わせたような、それでも過去一枚のライブでは一番長かった「House Full : Live At The LA Troubadour」がリリースされた。2009年にようやくSHM-CD完全収録盤的に「House Full 」「 Live At The LA Troubadour」の二つのアルバムを合わせた一番長いバージョンの「ハウス・フル+5」がリリースされている。
複雑な経緯を辿りながらそこまで愛されるライブアルバムながらも、驚くことにサンディ・デニー不在の頃のライブ盤だが、だからと言って演奏の質、激しさやライブの熱さはもうロックのライブアルバム群の中では上位に入るライブなので文句なし。ただ、サンディ・デニーがいない時期だから不当に聴かれない「ハウス・フル+5」の不遇な運命で逆にサンディ・デニーがいたらどうだったか、居ないから凄いライブになったと思うし、過度期のフェアポート・コンヴェンションがどういう方向性に進むのか明確でないまま、ただひたすらに熱くプレイしているひたむきな姿が凄い。曲を知っていようが知らなかろうが、ライブと凄さを発散しているので、トラッドの枠を外して聴いてほしいし、特に必殺の「Matty Groves」のリチャード・トンプソンのプレイは正に英国人でしかあり得ない、そしてこんなに熱くてクールなプレイはあり得ないギターが聴けるし、バイオリンのデイヴのプレイもひたすら熱気が詰まっている。
ロック畑の人は割と聴かないだろうし、聴いてもLed Zeppelinの「レッド・ツェッペリンIV」に参加したサンディ・デニー繋がり部分も多いが故にサンディ・デニーが参加していない作品には手を出していないかもしれないけど、その実フェアポート・コンヴェンションの底力を聴ける凄いライブ。

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