Pink Floyd - The Piper At The Gates Of Dawn

7 Comments

 ファーストアルバム論がちょっと気に入ってしまったので、もうちょっと続けたいなぁってトコロで、ピンクフロイドなんかも一つの方向性を明確にしたバンドとして語れるでしょう。シド・バレットが在籍したまともなアルバムとしてはファーストアルバムしかないんだけど、このファーストが後の、というかシーンを代表する作品になっているところが凄くって、以降ピンクフロイド的サウンドを突き進み、「狂気」という名作を生み出すこととなるのだが、その原点はやっぱりファーストアルバムにある。

 まあ、単純に云うならシドがいなけりゃ「炎」という作品はなかっただろうしロジャーの偏執的なこだわりも生まれなかっただろうしってトコで、やっぱりサウンドの軸としても非常に斬新且つピンクフロイドサウンドを明確にしている。デビューシングル「See Emily Play」で聴かれる、ポップさの中に妙な浮遊感を持ったサウンドは後の小曲郡に脈々と受け継がれているし、当然のことながら「星空のドライブ」なんてのは「狂気」手前までのフロイドサウンド=サイケデリックサウンドの代名詞的曲調になっている。ヘタすりゃアマチュアバンドがそれらしくやっても出来てしまうような音なんだけど、その辺のバランス感覚がバンドの面白いところですね。で、話は変わるんだけど、シドがダンエレクトラのギターを持って演奏しているUFOクラブでのライブ映像は、まさしく衝撃的な閉ざされた空間でのライブだし、ジョン・レノンやヨーコの姿も見られるんだけど、サイケデリック、アシッド空間の最先端にピンクフロイドが位置していたことも彼らの存在価値を高めていた。本来であればピンクフロイドというバンドは表に浮上してくるバンドではなかったはずなんだろうなぁと感じるよね。でも、これだけ多くの人に受け入れられている事実は彼らが人間の本質を表現しているってことで、やっぱりポップな音楽だけでは人間は語れないってことかな。その辺はジョン・レノンってのもセンスが良いんだろうけど。ジミー・ペイジだってこの頃のシドのライブを見ていて同じダンエレクトラのギターを手にしているってのも面白い話。

 アルバムに話を戻すと、正にサイケの象徴とも言える「Astronomy Domino」で幕を開けて、恐ろしいほど心地良いポップさの中にどこか何故か歪んだサウンドが濃密に詰め込まれていながらも浮遊するサウンドに身を任せる、任せてみたくなる狂気が間違いなく宿っている印象で、これはシドのファーストソロアルバムで更に顕著なものとなっているし、精神論はピンクフロイドの中に確実に種が蒔かれていった。もちろん他にも影響を与えている面は大きいんだけど、フロイドのアルバムの中ではもっとも聞きやすい印象ながらもっとも重いかもしれない作品。難しいねぇ。作ってる側はLSDの世界だし、ジム・モリソンが叫んでいた「向こう側の世界」の住人なので常人には理解しきれない面があることも事実。だからフロイドアルバム史の中でも割とまともに語られにくいアルバムなんでしょう。こればっかり聴いていたら結構あっちの世界に近づけるのかもね。怖いけど(笑)。

関連記事
フレ
Posted byフレ

Comments 7

There are no comments yet.
いたち野郎  

度々お邪魔します!しかしこのアルバムもとても好きなものでして…
「夜明け…」でのメンバーの演奏のテンションは異常なものがありますよね。それもやっぱりシドというフロントマンが、如何に影響力を持っていたかっていうのを示しているような気がします。
そしてソロの「帽子…」これも以前結構聴きましたが、どうしてもあちらの世界には辿りつけませんでした(笑)

2005/12/15 (Thu) 04:25 | EDIT | REPLY |   
リュウ  
そうきましたか!

 Pink Floyd!個人的には、原子心母、狂気、The WallをPink Floydの3大アルバムと勝手に、名付けてます! どの時代のも、それぞれ個性があって、甲乙つけがたいです。
 しかし、ここでPink Floydとは!
やはり、奥深い!

2005/12/15 (Thu) 19:58 | EDIT | REPLY |   
Shinyan  
そうなのか・・・

 元来、幼少時代に聞いたなんだか重たいイメージからプログレは受付られずにいたんですが・・・これを機会に扉を開けてみる気になりました。
いいものなのか??プログレは??そうなのか・・・

2005/12/15 (Thu) 21:39 | EDIT | REPLY |   
evergreen  
惜しげもなく・・・

惜しげもなく・・・フロイド1stが出ましたー。この1枚はフロイドでも別格だと思います。シドのアルバムと言ってしまっていいかもしれない。音がぱりぱりきらきら、詩は謎だらけで行き過ぎの気があるし、・・・不可解・・・でも、私はこのアルバムは時代が生んだ産物であり、偶然が重なり合って生まれたんじゃないかなー・・・て思えてきました(短絡的ですが)・・・その後のフロイドが七転八倒して作っているのが、偶然を否定しなければならないインテリ集団であったからで、でも結果的にはその方向性がプログレという産物を生み出したわけだし・・・やめておこう、やれやれ、バレットは本当にお騒がせ人物なんだから・・・UFOクラブのバレットは、へーと思いましたが、ウォーターズがサングラスかけたいかさまマッサージ師みたいで、きもかった!!!SORRY!!!

2005/12/15 (Thu) 22:41 | EDIT | REPLY |   
フレ@ロック好きの行き着く先は?…  
コメントトラバに感謝!

コメントありがとうございます~。

>いたち野郎さn
あちらの世界に行ってたらここでお会いしなかったでしょうね(笑)。シドのソロは本当の狂人が作るサウンドは一見普通よりもポップなんだけど何かが違うっていうことで狂気です。はい。だから僕も封印しています、結構。

>リュウさん
フロイドの3大アルバムですか、、、個人的にはかなり極端なので「狂気」「炎」「ウォール」で。あと「アニマルズ」「ファイナルカット」って結局ロジャー寄りなんですよね。完成度が高くて好きなんです。もちろん「ウマグマ」あたりも聴くんですけどね…。これからももっと奥深く進めたいと思います~。

>shinyan
プログレの扉は開けるとどっちかです。好きかキライか。ひとえにプログレと呼ばれている中にはポップスもあったりヘヴィーロックもあったりするので実は結構幅広いです。鍵盤がず~っと鳴っていてただ単に長いだけ、みたいなものは多くはないですよ。小曲がよかったり浮遊感があったり色々なので試しに好みを教えて頂ければそれらしきバンドも紹介できますのでどーぞ♪

>evergreenさん
確かに時代の産物でしょうっ!それでもフロイドを維持したかったいかさまマッサージ師のロジャーの根性が好きなんですよ~。彼は大人になったらすごく格好良くなった人、ですね(笑)。

2005/12/18 (Sun) 00:35 | EDIT | REPLY |   
キマキマ  
こっちでもTBありがとございます

僕にとっては、フロイドはシド・バレットがいたバンドという認識でしかなく、よく考えてみると1st以外のCDもLPも持っていません。
でも、2nd以降でも年とってから聞くとしんみりした曲が渋くていいなーと思います。

2005/12/20 (Tue) 01:01 | EDIT | REPLY |   
もりたん  
シド・バレット☆彡

ワタシはこの盤はサイケの中の最高傑作アルバムだと思ってます☆彡
革命的なサウンドとも思いますw
当時のUKロックには似たようなのが無かったと思うんですよね。
ちなみにシドが少しだけ関わった2ndの「神秘」も
混沌としてサイケなので好きだったりします♪

2006/02/07 (Tue) 17:02 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply

Trackbacks 12

Click to send a trackback(FC2 User)
この記事へのトラックバック
  •  キンクス、バレット
  • 休日近所に新しくできた中古CDショップに行ってみる。よさげなCDがそこそこ安くていい感じ。ひまそうだったので店長と雑談する。デレクベイリーネタで盛り上がる。その足で池袋に行くとこれまた、臨時の中古CDフェアに遭遇。ちらと除いてみると、CDではなくキンクスとシドバ
  • 2005.12.20 (Tue) 01:01 | 私の死臭
この記事へのトラックバック
  •  THE PIPER AT THE GATES OF DAWN / PINK FLOYD
  • 『夜明けの口笛吹き』(CP32-5269)  1.天の支配  2.ルーシファー・サム  3.マチルダ・マザー  4.フレイミング  5.パウ・R・トック・H  6.恋の聴診器  7.星空のドライヴ  8.地の精  9.第24章  10.黒と緑のかかし  11.バイク ピ
  • 2005.12.29 (Thu) 09:44 | 「英国ロックの深い森」の入り口
この記事へのトラックバック
  •  ピンク・フロイド (Pink Floyd)
  • The Piper at the Gates of Dawn 1967 Piper at Gates of DawnPink Floyd Capitol 1990-10-25売り上げランキング : 35,012おすすめ平均 Amazonで試聴する シド・バレットの偏執狂的な才能があふれたフロイドのファースト。60年代当時のロンドンのサイケデリック・シーン
  • 2006.01.22 (Sun) 11:36 | School of Rock
この記事へのトラックバック
  •  The Dark Side of the Moon/PINK FLOYD (ピンク・フロイド)
  • The Dark Side of the MoonPink Floyd[ジャケットの写真をクリックするとリンク先のAmazonで試聴できます。] 驚異的なロング・セールスを誇る、ロック史上最大のベスト・セラー・アルバム『The Dar
  • 2006.01.24 (Tue) 11:35 | OOH LA LA - my favorite songs
この記事へのトラックバック
  •  今日は気分が乗ってるので
  • もう1本書こうかな(はあと音楽レビューとか、そういうのって面白いな、とか思ってるpapiniです。あくまで自己満足の域なんだけどさ。毎度、こんばんは♪音楽レビューというか、最近の動向について。えっと、2番煎じもいいとこだし、どこでも書いてるとこなんだけど、先日
  • 2006.02.01 (Wed) 22:25 | 自堕落日記
この記事へのトラックバック
  •  ピンク・フロイド 「夜明けの口笛吹き」
  • 今日のジャケ画は、Pink Floyd 「The Piper At Gates Of Dawn」邦題「夜明けの口笛吹き」です。鬱々とした混沌、妖しい幻覚w、日常から逸脱しまくった世界観、それらを音で見事に表現した「サイケの中の傑作」だと思います♪最初の曲「Astronomy Dom...
  • 2006.02.07 (Tue) 16:59 | 昔の洋楽が好きなのでつ(^^)
この記事へのトラックバック
  •  そりゃもう、大変ですぜ、ダンナ。
  • いや、別に仕事が大変とか、まあ、そういうワケじゃないのよ。ほら、アタシ、いろいろ持病があるから(?えっと、まあなんだ。そういうことなんだよ。基本的に抗不安薬と睡眠薬と、ロックがないと生きていけないわけ(え?毎度。それらを酒と一緒に摂取するとトンでもないこ
  • 2006.03.07 (Tue) 00:34 | 自堕落日記
この記事へのトラックバック
  •  シド・バレット訃報
  • 各方面で取りざたされているが、あらためて冥福を祈る。2006年7月13日元ピンク・フロイドのシド・バレット、死去 ピンク・フロイドの結成メンバーであり、ソロ・アーティストとしても『帽子は笑う…不気味に』『その名はバレット』という傑作を発表していたシド・バレット(
  • 2006.07.16 (Sun) 13:56 | 週間 ROCK BOTTOM
この記事へのトラックバック
この記事へのトラックバック
  •  ピンクフロイド『夜明けの口笛吹き』
  • Pink Floydの1stアルバム『The Piper at the Gates of Dawn(邦題:夜明けの口笛吹き)』。1967年発表。たぶん今まで聴いたレコードの中では、最も分かりやすいサイケ・サウンドを鳴らしているアルバムだと思います。同時期にサイケを演っていたビートルズやビーチボーイ...
  • 2007.02.28 (Wed) 09:04 | ROCK野郎のロックなブログ
この記事へのトラックバック
  •  -
  • 管理人の承認後に表示されます
  • 2008.05.02 (Fri) 17:48 |
この記事へのトラックバック
  •  私的100選(58) Pink Floyd「The Piper at The Gates of Down」
  • JUGEMテーマ:音楽  ずっと欲しかったCDを偶然見つけることができました~パトゥ「ロール・エム・スモーク・エム」このサードだけはなぜかCDで手に入っていなかったのですが、運良く、しかも国内帯&ライナー付きのものを手にいれることができました。初めて歌詞
  • 2009.03.16 (Mon) 01:00 | 4番、サード、 いたち野郎