2022-12-13

Albion Country Band - Battle of the Field (1976):

0 Comments

　伝承音楽の虜となったアシュレー・ハッチングスによる一大プロジェクトバンドがアルビオン・カントリー・バンドはもうアイリッシュミュージックへの傾倒を諦めた一人の英国人による英国の音にこだわった信念が生み出したバンド。その意思をきちんと継承すべくエレクトリックトラッドの世界の重鎮達が手を貸して創り上げたアルバムがシャーリー・コリンズを筆頭とした作品「No Roses」だが、この名盤加減は既に有名な作品と認識されている。その時に使ったバンド名がアルビオン・カントリー・バンドで、今度はその名前の楽曲集をリチャード・トンプソンやジョン・カークパトリックなどなどのやはり勝手知ったる重鎮達でレコーディングした逸品。

　1976年リリースだが実際には1973年にレコーディングしていた作品「Battle of the Field」は単純にレコーディング後にバンドが解体して、アルバムリリースのタイミングを逸したらしいが、1976年にアシュレー・ハッチングスは再度アルビオン・バンドで復活したため、別レーベルからのリリースが実現。名盤と誉れ高い「Battle of the Field」がようやく市場にお目見えしているが、その間にはダンスチューンをまとめた傑作「Morris on」もあって、大体が身内で固めて作った作品だけど纏まった音が聞ける。

　アルビオン・カントリー・バンドは、プロジェクトに近く都度都度アルバムリリースしているので、バンド名に深い意味を求めていないが、この作品は「No Roses」の次に位置するし時代の空気もパッケージしているので今でも愛聴しているファンは多い。リチャード・トンプソン作のシンボル曲「Albion Sunrise」が聴けるのもこの作品だけの印象深い曲で、音はエレクトリックトラッドで伸び伸びと聴けるけどフォークらしくなく、もっと土臭く民族的だが、重さや格調はないからスティーライ・スパンとは大きく趣が異なっている聴き応えあるバンド。