Howlin' Wolf - London Sessions (1970):

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 ブルースは暑い時も寒い時も気分が凹んでいる時も明るい時もいつでも楽しめる音楽。長く聴くと飽きるけど、飾り気のないジャンルだから素のままで楽しめる。若い時にブルースは黒人オヤジの音楽だから、ハードルが高いと思って一生懸命聴いてて、ブルースは大人の音楽と思ってた。自分が好きになったギタリストの皆が皆ブルースと言うから聴く。多分英国でも同じ感覚で、クラプトン、ペイジ、ベックもコソフも皆10代の頃にブルースにハマってる。だからブルースっは若者の音楽。若いウチに聴いておくべき音楽。その筋の人はアイドルよりもブルース聴いている。だからやってるのは黒人オヤジだけど聴くのは若者ギタリスト。だから若者のサウンドです。凄いのはブルースはいつでも戻ってくる故郷のような深さがある。大人になった今でも楽しくハマって、時には哀しく聴いていられる。

 前置きが長くなったのは気分が凹んでいるせいか。ブルースメン側からはあまり大したアルバムではけどロック側の人間からは刺激的なアルバムをリリースしたハウリン・ウルフの1970年の作品「ザ・ロンドン・ハウリン・ウルフ・セッションズ」。ハウリン・ウルフ自身も初めての海外レコーディング。当時英国ではアメリカの黒人ブルースメン好きな若者がロックのフィールドに出てきた頃で大元の黒人ブルースメン達も再度脚光を浴び始めた頃。こんなチャンスを逃してなるものかと色々なブルースメンが奮起している時代。

 故にカバー曲が多く、英国のブルース好きの若者がセッションに挑み、その真摯な姿勢で目の前のオトコから吸収する貴重な体験だが、音を聴くとまだ英国の若者ミュージシャン達は甘い。普通に聴けば凄くて雰囲気も出しているし、ハウリン・ウルフ御大自らが自身のアルバムとリリースしているからお墨付きだけど、単なるリスナーで聴くと、バックの音がまだ深くない。この辺が白人と黒人ブルースの違い。クラプトンのギターはさすがに凄くて、シャープに枯れたトーンで的確に弾いているけど、何かが足りない。ウィンウッドの鍵盤もブルースらしさが出しにくい楽器だけどアル・クーパーとは異なる。コーラスは良いけど、ホンモノ前にすると大分違う。ストーンズのリズム隊二人は、あまりにもストーンズ的に軽く流して引っ掛からない音。本場のリズム隊のアグレッシブなセッションとは違う。

 昔は名前だけで喜んで凄いと思ってたけど、冷静に聴ける今は過度期のセッションに聴こえる。出来は悪くないし熱いプレイでハウリン・ウルフの歌もギターもさすがなので素晴らしいけど。例えばマディ・ウォーターズとバターフィールドやブルームフィールドがセッションした「Fathers and Sons」はホンモノの雰囲気漂ってるから、英国とアメリカの違いか。今ではその時のセッションの模様からいくつもの曲をボーナストラックに収録したデラックスエディション「ザ・ロンドン・ハウリン・ウルフ・セッションズ+15<デラックス・エディション>」がリリースされているので全貌を紐解ける。





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フレ
Posted byフレ

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