Muddy Waters - I'm Ready (1978):
0 Comments

歴代のブルースメンはロック小僧がこぞってブルースの真似事を始めた時はどう思ったのだろう。今でこそ感謝していると言うが、当時小僧が真似事やってるのを知った時は鼻で笑ってたか。それとも自分達の伝統音楽が他人に影響を与えている事を考えると歓迎だったか。そういう生身の声は分からない。しかしアメリカはあれだけ広くてもブルースとロックを結びつけるギタリストはメジャー所では全然多くなく、それが60年代に遡るともう数人しかいない。その頃には既に伝説のブルースメン達は50歳前後で、ロックの台頭が60年代だからギリギリクロスオーバーするライン。その中の一人、しかもそれが貴重な一人でもあるジョニー・ウィンターが70年代後半に自分の所属していたレーベル、Blue Skyにマディ・ウォーターズを迎えて4枚アルバムを制作している。しかも制作のみならずプロデュースもして、要所では演奏にも参加しているので、興味を引くセッション。
1978年、ジョニー・ウィンタープロデュース作品の二枚目となった「I'm Ready」。セルフカバーも多いけど、マディ・ウォーターズの持ち味を損ねる事なくバンド形式のサウンドで収録し直したアルバム。マディ・ウォーターズの歌とギターはともかく、隅っこの方で鳴るジョニー・ウィンターのギターが荒々しくてアルバムのアクセントになってる。マディ・ウォーターズ自身は派手なフレーズを弾く人ではないので、すぐに分かる。雰囲気も70年代後半、言い換えれば表の世界ではディスコ全盛期だったが、その裏ではこんなセッションのレコードがあって、その雰囲気と空気がまるで50年代のブルースの風景を表している感じ。ブルースカイレーベルはブルース専門に近いレーベルで素晴らしい。そしてこの「I'm Ready」ではマディ・ウォーターズの代表曲を幾つも再録しているので聴き慣れた音が出てくるのが良い。
「Hoochie Voochie Man」「I'm Ready」「Rock Me」「Good Morning Little School Girl」もロックファンならお馴染みの曲ばかり。ジミヘンやポール・ロジャースが歌ってた曲も多い。半ば伝説化していたマディ・ウォーターズの楽曲がここで聴けるのは当時はインパクトあっただろう。全然新しい音に聞こえないのも面白いし。これ以降色々な人がリリースする多数のロックゲスト陣を迎えて制作するアルバムの走りとなった作品。この後5年くらいで亡くなるマディ・ウォーターズだけど、最後の頃のライブがレガシーエディション「Muddy "Mississippi" Waters Live」でリリースされていて、これもまた興味を引く一枚。
- 関連記事
-
- Muddy Waters - I'm Ready (1978):
- Muddy Waters - Fathers And Sons (1969):
- Muddy Waters - Folk Singer