Can - Tago Mago (1971):
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クラウトロックもアヴァンギャルドも幅広いので、あまり極めたくないと思うが、その主旨はロックやパンクと大して変わらず、所詮表現の違いだから違和感はない。何かをぶつけたいだけで、ロックの世界でも受け入れられるがアヴァンギャルドの方向性も難しいとは思う。
Canの1971年リリースのサードアルバム「Tago Mago」は初期の実験的精神旺盛な頃の名盤に挙げられるし、自分も「Tago Mago」でCanを知ったが、こんなアヴァンギャルドな事をやる日本人がドイツまで行ってこんなメンバーと知り合う奇跡に驚いた。実際はカン側がダモ鈴木氏の街頭パフォーマンスを見て勧誘したらしいが、それでも奇遇な出会いで運命か。音はサウンドコラージュではなく音楽してるし、バンド形態のドラム、ベース、歌が機能しているロックバンドだがビートは効いてないし、英国プログレの世界でもなく、もっと破壊的で攻撃的な硬質で乾いた音の中を冷たい歌が情熱的に歌い上げている不思議な構図で、アナログ時代には二枚組でリリースされていた大作。ただ、一気に聴ける力強さ、引き込まれる世界があり、単調だけど意外な展開も含まれて、雰囲気ではなく音が追っているから時間を感じない。
3曲目の「Oh Yeah」ではダモ鈴木さんが日本語で歌っているけど全然分からないし、完全に楽器のひとつとして歌が機能しているが、圧巻は「Peking O」で、最初から異常な緊張感の中に叫び声が反響しながら迫ってくる恐怖があり、パンクより凄い人間の精神世界の怖さか、冷徹に硬質な音が迫ってくる叫び声とピアノのジャムセッションにリズムマシンが絡む凄さ。

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