I Giganti - Terra In Bocca (1971):
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イタリアンロックを初めて聞いた時、誰もが感じるその違和感と演劇性の可笑しさで、今でこそそこまで仰々しさは薄れているが、70年代初頭にシーンに出てきたイタリアンプログレ=ユーロピアンロックバンドの大半はそうした演劇性や仰々しいオーケストラと突拍子もない曲展開を普通に演奏していたし、曲目もクラシックのまま、アダージョやラーゴと書かれていた。
1971年にリリースされたギガンティの「Terra in Bosca」の前はポップバンドらしいけど、この頃のポップバンドも巧いからバンドで食える人で、才能ある人達だから時代を敏感に察知してプログレも出来ただろう。全く違和感なくイタリアンユーロロックの代表格の音を出してるし、イタロ全てのエッセンスが詰め込まれているアルバムで、ムゼオ・ローゼンバッハやマクソフォーネは泣きと喜劇、ドラマティックなお涙頂戴と白々しい演出のイタロを持つが、ギガンティは更に歌詞に深みを持たせて、「Terra in Bosca」は邦題の「犯罪の唄」通りにマフィアが16歳の少年を殺した事件をテーマに書いている。その被害者がアルバムジャケットで、表ジャケだと足の裏しか見えないけど、その奥の方の裏ジャケに胴体が写っている面白い写真で殺されてからマフィアがそこらにあった花を捨てている点もオシャレと、当時はセンセーショナルな話題を提供したアルバムで、マフィアに狙われると過保護になっていたが宣伝文句か。
イタロのバンドメンバーまで詳しくないけど、ギガンティに参加した面々はこの後ラッテ・エ・ミエーレやアレアに参加、またイル・ヴォーロのピアニストを迎えたりとスーパーバンドの一員的で、肝心の音はイタロ的で歌詞が分かったら面白いと思うが、演劇性の高さが耳に付き、ロックやプログレよりも演劇的。イタリアではそう捉えた方が自然だったか、唄にセリフに効果音にドラマ的な極端な曲展開をロックで演じているが、ギターソロの音も粘っこく、これ以上のイタロは見当たらないレベルで聴き応えあり、一般には名盤と呼ばれ、誰も真似できない世界。

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