T2 - It'll All Work Out In Boomland (1970):

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 「T2」と言えば泣く子も黙るあのアーノルド・シュワルツェネッガーの大ヒット作ともなった「ターミネーター2」の略称がどう考えても世間一般の認識だが、この辺を漁りまくっていた時の「T2」と言えば超幻のレアアイテムとして名高かった英国のハードロックバンドの名前だ。だからシュワちゃんは遙か遅くに出てきた「T2」だったが、当然どこにも通じない理論です。

 1970年にまたしてもデッカからリリースされたいわゆるB級バンドと呼ばれる中では最も愛すべき一枚に数えられるアルバムが唯一の作品「幻想楽園」を久々に聴いて断言するが、滅茶苦茶格好良い。本人達がもう少しマジメにロックに取り組んでいても、メジャーな路線まで行けたとは思わないけど、もの凄く英国1970年の香りをさせているバンドで良く、トリオ編成なので凝った事は出来ないけど、とにかくカッコ良い。ドラムは元ガンのピーター・ダントン、そして才人ギタリスト、キース・クロスがこのバンドの要で感動してるのでマジメに書こう。

 1曲目「In Circle」のインパクトが圧倒的に強く、ハードなギターのコード決めから始まって流れるようなリフが続けられるが、それでいてドラムがかなりロールしているのでいわゆるリズムだけのドラムじゃない楽しさ。ギターの音色もエグいレスポール系のサウンドだろう。疾走感溢れるロックナンバーだけど途中は当然静かな面も出てくる気合いの8分半にやられっぱなしの素晴らしい名曲で、これ聴くとB級バンドにハマる。2曲目「J.L.T」は打って変わってピアノとメロトロンのバックに力のない歌が被さるとても切なさの漂う英国らしい名曲で、メロディラインも良いけど雰囲気が堪らなく、そして後半になるととんでもなく美しいリフレインが繰り返されて叙情的に盛り上がって来る、素晴らしく美しいバラード。鍵盤の音が綺麗な6分近い曲だけど静かに進み、実に魅惑的な終わり方をする芸術的な曲で美しい。3曲目「No More White Horses」もまた8分半の曲だが、今度はその叙情性を引きずったままヘヴィーロックに曲を委ねたのか、初っ端からハードに歪んだギターのサウンドからアグレッシヴなアドリブプレイが曲を引っ張り、そして重いノリのまま、まるで夜明けを迎えたかのようなベースラインによる美しい静と動が魅力的だが、このバンドはベースラインが綺麗に歌っているのも良く、ドラムとのコンビネーションも抜群だからフロイド好きな人は気に入る名曲だと思う。歌でも盛り上げてくれるし、白々しいアレンジもあるけど、多分この曲はカルメン・マキ&オズが好きな人はハマるやつで、「私は風」のような壮大な曲構成と演奏と空気感で曲の長さを全く感じない構成だし、終盤のピアノが凄く繊細に短音のラインで鳴り響いてくるし、この叙情性は一体何だろう。ホントに英国でしかあり得ない素晴らしい盛り上がり方で、最後の最後まで息を詰めて聴いてしまう名曲。ちなみにアナログではここまでの3曲がA面収録。

 B面は「Morning」の21分一曲だけ。大体が20分も曲があれば何かが起こってて、もちろん一本調子で進むハズが無いし、このバンドであれば尚更。ギターが中心でハードロック的な要素が強いけど、やはりプログレ的な曲構成になるが、別に仰々しくなく、ひとつのテーマに向かって進んでいるような静と動、陰と陽、ユーライア・ヒープの「July Morning」とは異なる「Morning」と言うテーマに基づいたも楽曲と実感できるくらいに良いドラマーとベースだ。ギターも含めてテクニックがしっかりしているから聴きやすく、そうして起承転結を持ってこの長い長い曲が終わっていくから素晴らしい。



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フレ
Posted byフレ

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