Steamhammer - Mountains (1970):
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ブルースとハードロック、そしてプログレッシヴな曲展開、更にはコンセプトアルバム趣向を凝らしたアルバムとしてはかなり早い時期の作品で、この時期の英国ロックにはそんなのがゴマンと集まっていたので別段新しくは感じなかったかもしれない。それでも作品の質の高さから今でもたまに語られ、。しかも語られ方としてはギタリストのマーティン・ピューがヤードバーズのキース・レルフと一緒にアルマゲドンを組んで若干名が通っている要因が大きい。そのアルマゲドンのアルバムの一曲目のギターリフはこのバンド、スティームハマーの4作目「Speech」の初っ端を飾る曲のリフとまったく同じ事はあまり知られていないかも。
スティームハマーのデビューは1968年、混沌としたブルースロック調のアルバムでデビューを飾っており、初期作品は手に入らずに苦労した記憶があるが、3作目となった「Mountains」と4作目の「Speech」は早い時期にレパートワーからCD化されたのでこぞって入手して聴いて、かなり好きな類のバンドに気付いた。その三枚目の「Mountains」がB&Cカンパニーの有名レーベルとなったカリスマレーベルから1970年にリリースされていて、コンセプトはあの「指輪物語」らしく、レパートワーからのCDでは何故か曲順が変更されていてオリジナルアルバムのコンセプト通りになっていない不思議さもあったが、このレーベルは結構そういうリリース作品があったが、レア物リリースしてくれてたからありがたかった。オリジナル通りに曲順を修正して聴くとどうなのかとやってみても、正直それほど大差ない気がするが、むしろレパートワー盤の方が曲順良いとすら思えてしまった。ちなみにAkarma盤はオリジナル通りの曲順。
最初からハモンドの効果音と正しく英国的なギターの音色が鳴り響く「I Wouldn’t...」はこのアルバム一番の佳作で、時代を反映するかのようなブルースロックが基本だけどヘンで繊細で、アルバムではB面に収録された最後を飾る「Riding On」の16分強の楽曲はどこかのライブを録音した模様で、目玉になっている。ハモンドとギターの掛け合いと激しく展開していく曲構成が面白く、かと言ってプログレ的に展開していないが、あくまでもブルースロックの発展スタイルで、テン・イヤーズ・アフター的なライブに近い部分もある。ギターが丁寧で繊細に弾かれているので、聴いていて耳が向いてしまうが、その他小曲群でもそれは同じで繊細な旋律を大切に奏でている印象でバンドのそれぞれの音色が上手く融合している。正に英国ロックとしか云えないが見事に情景を表現して、「指輪物語」のストーリーをイメージして聴くとそうかと思える曲調が並んでいるのは何となく納得で、アコギの繊細な使い方もやはり良い。
アルバム4枚リリースして解散してるけど、英国よりもドイツでの人気が高かったと言われているが、オフィシャルホームページも存在していて、大した資料はないがファミリートゥリーが貴重で英国的なハードロックのひとつとしてはかなり好きなアルバム。

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