Satan - Court In The Act (1983):

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 70年代末期から80年代初頭に英国で熟成されたNWOBHMの波によるバンド群だが、この特殊な時期の音を好むフォロワーバンドも数多く出てきて後にスポットを浴びるバンドも多く、50年代のブルースメン達と同じ憂き目に合っているとも言えるが、いつの時代も自分を信じてプレイしているバンドやアーティストは後々に救われる時もある。NWOBHMのバンド群はいくらでも出てきたけど、後々に語り継がれるバンドは数が多くない。

 1983年リリースの名盤と言われるSatanのファーストアルバム「コート・イン・ジ・アクト」はバンド名で誤解と語弊を受けるが、音の方は正当なる英国初期メタルで、別におどろおどろしい音ではなく、黒魔術でもないので偏見は捨てた方が良い。ただ、万人にオススメできる代物ではなく、自主制作的な音の悪さで、バンドの楽曲の面白さを出し切れておらず、早い話がガレージなサウンドで音が引っ込んでるが、バランスは悪くないので楽曲の激しさやバンドのスタイル、音の主張は出ている。この音でこれだけ主張できているから、まともな音だったら相当の迫力と思うが、この音の悪さこそが「コート・イン・ジ・アクト」を神秘的にしている。

 後追いで聴いてるけど、聴いた時の印象はバッジー的なサウンドで、もうちょっとメタリックでスピードがあるからザクザクした感じは更に激しく、それでいて、かなりメロディアスな歌が乗っているし、突然ジューダス・プリーストみたいなハイトーンが出てくる。これも不思議な展開で、決して歌は上手くないけど楽曲の方向性は面白く、ニッチな世界では神格化されているアルバムで質は高いが、B級感は否めないのもNWOBHMの特徴か。昔はかなりのレアアイテムだったが、今は紙ジャケで買えるので、知ってる人しか買わないけどこういうのが誰でも聴けるようになったのは良い事だ。

 いつの時代も英国のバンドは新たなる進化と発見を繰り返した音を見つけてくるが、まだ生まれたばかりのHMの世界でもうこれだけの個性を身につけてアルバムを出していたくらい。1983年は、一方ではLAメタルが出てくる頃で、こういう音をストレートに出せるバンドは少なく、その頃のライブを記録したレアな一枚が発掘音源「Live in the Act」でリリースされている。





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フレ
Posted byフレ

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