Illusion - Out Of The Mist (1977):

あちこちのブログを見たりTwitterで色々な人の呟きを見てる中で、良いの聴いてるなとか、コレ聴いてみたいと思うアルバムはいくつもあるし、まだ書いてないものも多いと改めて音楽の広さ深さを思う。到底制覇できるものではないし、別に制覇しても偉くないし、気持ち良く聴けるのが肝心だが、何度も聴く作品もあればその時気持ち良ければいいのもあるし、BGMとして最適もある。何が良いはその時の気分で、そういう意味では色々な音楽を知ってると選択肢が広がるので良いが、そんな中、ルネッサンスの系譜でイリュージョンの登場。
1977年にリリースされたIllusionのファーストアルバム「醒めた炎」は知る人ぞ知る世界で、ルネッサンスのオリジナルなバンドが名前を変えて時代遅れながらも出したアルバムで、その実、ヤードバーズのボーカリスト、キース・レルフが様々なバンドをやった後に再度オリジナル・ルネッサンスを再編してメンバーが集められていた時に感電死。その意思を実の妹でオリジナル・ルネッサンスのボーカリストのジェーン・レルフが形にしたバンドがイリュージョン。メンバーは元々のオリジナル・ルネッサンスに二人加わった形で結成されており、そして音楽性もオリジナル・ルネッサンスが目指した世界観を継承して、アニー・ハズラムのルネッサンスが煌びやかに輝いた世界とするならば、イリュージョンはちょっと翳りのある突き抜けられない感触が漂うクラシックからポップへの橋を架けたバンド。もともとキース・レルフはフォークとクラシックを融合させたバンドを目指していたので、本来はそういう方向性だったけど、本人が不在なのでクラシック寄りになったが、メジャー路線で心地良く聴けて、何か守ってあげたくなる病弱感があるが故に日本人は好む音世界。
ジャケットもジェーン・レルフが喪に服す女神のように描かれているのでそれだけでソソられるが中身も湿っぽくてよろしいし、一曲目からジェーン・レルフの歌声を、と思って聴くと、実はジム・マッカーティーのリードボーカルでやや肩透かし。この二人がそれぞれボーカルを努めてバンドの音のバリエーションは広がっているけど、その辺がもっと突き抜けてジェーン・レルフを出せば良かったと思う。時代はパンク以降、それでこのクラシカルな音世界でかなりレベルの高い世界観なのに中途半端になっているのが残念ながら、今こそ再評価されるのは分かるけどリアルではこれは難しいだろう。そんな評価はともかく、きっちりと来歴付きで聴けるから相当の名盤で、多分イリュージョンの音世界を継承出来ている英国然としたバンドは出て来てないだろうし、商業路線に乗らないからだけでなく、この魅力が出せない。それでいて「醒めた炎」は美しく素晴らしい作品なので正に萌え、ちなみに一曲、オリジナル・ルネッサンスでやってた曲を再収録しているので聞き所で、キース・レルフに捧げているらしい。

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