Renaissance - Prologue (1972):
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自分がプログレッシブロックを意識して聴き始めた時には大物メジャー系のクリムゾンやEL&P、フロイド辺りから入ったけど、すぐに出てくるのがソフツやムーディー・ブルース、プロコル・ハルムあたりで、同じようにルネッサンスも出て来る。他のバンドは何となく聞いたバンド名だったし、60年代から活躍してたから名前くらいは見たことあるバンドだったがルネッサンスは純粋にプログレッシブロックの世界から出てるバンドで、その時に初めて名前や来歴を知ったがまさかヤードバーズの流れとは知らなかった。まるで異なるバンドだし結びつかなかったし、しかもルネッサンスはアルバム2枚出して解散、その後異なるメンバーで同じバンド名で復活と、引き継いでいるのは音楽性だけの珍しいパターンなので理解するのに時間かかった。今みたいにネットで全部すぐに分かる時代じゃなかったから様々な情報の断片を読むしかないし、しかもルネッサンスの来歴を書いた文献は目に付く所にはない、そんな思い出のあるバンドのひとつ。
1972年にリリースされたアニー・ハズラムの入ったルネッサンスのファーストアルバム「Prologue」はバンドとしては3枚目になるが、このヘンのカウント自体がややこしく、実際はこれが新ルネッサンスのファーストになると思ってる。初めてこのアルバムを聴いた時はかなり衝撃を受けたが、純粋なピアノ音にドラムが絡み、コーラスワークが入ってバンドの音になり、それでもピアノが圧倒的に前面に出て曲を引っ張っていくアルバムタイトル曲ともなった「Prologue」。この躍動感は中途半端にロックに鍵盤を持ち込んだだけでなく、クラシック畑の人間がクラシックの定石通りにピアノを弾いている作品で、明らかにバンドの音が後付でかなり新鮮だった。それはアルバム全編に渡って言える話で、明らかにクラシカルなピアノ演奏をメインとしたロックバンドのスタンスでEL&Pがあったにせよ、明らかに方向性の異なる新種のロックバンドだった。そこに稀代のクリスタルボイス、アニー・ハスラムの歌声が入ってくるから唯一無二の存在になったのも頷ける話で、そんな後々の活躍が図れるほどのクォリティとレベルの高さとバンドのスタンスがきちんと示された佳作のファーストアルバム「Prologue」は全6曲も時代に合わせたプログレバンドのスタイルではある。
しかし美しい曲が多く、「Kiev」はクラシカルピアノのスタイルを前面に出して夢幻の状態にしてくれるし、続く「Sounds of the Sea」では波とカモメの音にピアノが被さり、アニー・ハズラムの美しい歌声が遠くから入り込む。そこに多重コーラスがハーモニーを聴かせて、更に突き抜けたハイトーンボイスが夢幻の世界へと誘ってくれるので、英国ロック広しと言えどもここまでの夢幻郷を聴かせてくれる曲はそう多くはない。これこそがルネッサンスの示してくれた方向性の一つで、そんな流れがたっぷりと詰め込まれた傑作アルバム「Prologue」だが、黄金期ルネッサンスの名盤群と比較してもかなりユニークな位置付けにある作品。

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