Humble Pie - Smokin' (1972):
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クレム・クリムソンの栄光と言えば「スモーキン」だが、大英帝国ロック好きとしては、と探して聴いてたら案の定最初の「Hot'N Nasty」のスティーヴ・マリオットの歌でやられた。この人の歌は凄まじいパワーの塊でグイグイとグルーブするベースも去ることながら、クレム・クリムソンのギターも見事にマリオットの嗜好とマッチしていて、ブルースに走りすぎず、味のあるソロになってる。そこへマリオットのこの声の「スモーキン」だから名盤と呼ばれるハズです。
最初から強烈な歌声とグルーブで引き込んでくれるけどこれは次の「The Fixer」でも続いて、このヘンの曲並べのセンスは良い。「You're So Good For Me」でちょっとトーンダウンして聴かせるテンションになってるけど、続いてはお得意のブギにアレンジした「C'mon Everybody」がまた強力で、誰もが聴いたことのあるエディ・コクランの曲だけど、こんなアレンジと力強いバージョンは聴いたことない、多分過去最強のカバーテイク。まったくスモール・フェイセスにしてもハンブル・パイにしてもツェッペリンにヒケを取らないバンドのパワーとポテンシャルを持っていたのに、どこかど真ん中になれない要素があったのは残念。
そしてヒット曲ともなった「30 Day In The Hole」では正に英国的ユーモアセンスに溢れるセッションから聴けて、もうマリオット節全開のキャッチーなメロディとサビが良く、これぞ英国ロックバンドの姿な感じで今聴いても全然古さを感じないかっこ良さを持ってる。そしてもう一曲力強いカバーバージョン「Road Runner」。これも色々なバンドがカバーしている曲だけど、ここまでのテンポでカバーしたのも珍しく、自信に溢れる後ノリで、フリーがやりそうなアレンジで、こういう自信も多分クレム・クリムソンのブルースフィーリングがあったから出来た技。「I Wonder」はもうどこかで聴いた事あるお決まりのブルースフレーズから始まって衝撃的なマリオットのソウルフルな叫びが炸裂する名曲名演。
ハンブル・パイは最初期とピーター・フランプトン時代、クレム・クリムソン時代と分かれるから一言で言えないバンドだし、どこから入るか分かりにくいバンドでもあるけど、最初期は今じゃベスト盤的に手に入るし、ピーター・フランプトン時代ならば「パフォーマンス~ロッキン・ザ・フィルモア」を聴けば良いし、クレム・クリムソン時代なら「スモーキン」でバンドの概要は分かるしハマれると思う。良いんだよ、この泥臭いサウンドの中にあるスマートなセンスが。

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