2022-05-06

Beck Bogert & Appice - Beck Bogert & Appice (1973):

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　ジェフ・ベックが熱烈に欲したリズム隊だったボガートとアピスは、ちょっと彼らの音に触れてみればそれはよく分かるし、ジェフ・ベックにとってクリームのようなサウンドの発展形は簡単にできる構想もあっただろうし、Zeppelinのような音も分かっていたはずだ。ところだ、自分の周辺にはたまたまそういうリズム隊との出会いがなく、時代を築き上げられなかったジレンマ、だったかどうか分からないが若気の至りによる悔しさはあっただろうか。ボーカルこそ天才ロッド・スチュワートと出会ったが、ジェフ・ベックにとってボーカルはさほど重要ではなかったようで、ベックの歴史を見れば一目瞭然で、そこにボガードとアピスのリズム隊が舞い込むチャンスだったが、一度はフイにしてしまうものの、1973年になってようやく念願が叶ったが、時代はもう先に進んでいたという間の悪さがBB&Aをイマイチメジャーにしていない。

　1973年にリリースされた待望の「Beck Bogerd & Appice」は、結局「Beck Bogerd & Appice」一枚でこの待望のバンドも終わってしまった事が時代性を物語っており、ジェフ・ベックが当時やりたかった事は既に時代が求めていなかった。もちろん本人たちもその辺は敏感に感じ取っただろうが、ミュージシャン的に一触即発の世界はやっぱりタッチしてみたかったのだろうか、後追いで聴くとそんな事も考えるが、普通に音として「Beck Bogerd & Appice」に取り組むと、ジェフ・ベックがフロントにいるにもかかわらず、やはりもっさりした感じのアルバム像になってるのはそもそも曲の問題かリズム隊の問題かもしれない。ジェフ・ベックがもっとギターを存分に弾きたかったのか？いや、聴いているとそれは音を抜く隙間を埋めてしまったリズム隊の技量かもしれず、そこが凄い、との捉え方もあるが聴かせる音ではないとも言えて、演奏を個別に聞けばそりゃもう凄いが、アルバムの音楽的作品性としては？となると聞き辛い。凄さは分かるのでやっぱりファンもこのヘンは多く、リアルタイムな人はこの迫力にぶっ飛んだだろうし、それはクリームを通らなかった世代がBB&Aであの衝撃を味わったからとも言える。

　自分は、凄いと思いつつあまり通り切っていないので、どこかキャッチー性が欲しかった気もするし、ひたすら演奏垂れ流しな音は聴いててややキツかった記憶がある。今聴き直してもやりすぎだな、と思うトコあるし凄いけど無条件に良いとは言い切れないのが本音ではあるが、ぶっ飛びのバンドに変わりはない。