Aerosmith - Rocks (1976):

「Rocks」。こんな大胆なアルバムタイトルを付けられるなんて相当の自信があるかバカじゃなきゃ無理だ。そんな言葉がアチコチから聞こえてきそうなタイトルだが、もちろん今では世紀の王道ロックバンドに担ぎ上げられているエアロスミスの4枚目のアルバムタイトル。
エアロスミスはいつの時代も、それほど王道アメリカンロックバンドの位置付けではない。さすがに今は王道アメリカンロックバンドになっているけど、少なくとも70年代のエアロスミスは英国ハードロックテイストを持ったバンドだったし、それがアルバムに「Rocks」と名付けたのだから相当の自信だ。単純なアメリカのバンドが付けたなら、そんなに意気込みを感じるほどでもない。
多分エアロスミス史上の最高傑作で何ら輝きを損なうわないアルバムで「Rocks」は光を放っている。前作「闇夜のヘヴィ・ロック」とこの後の「ドロー・ザ・ライン」はエアロスミスの全盛期で最高にカッコ良いR&Rバンドで、一辺倒にならない曲が多数あって、バリエーションに富んでいたし、キッス的になると飽きるが、エアロスミスは一言でハードロックバンドと片付けられない作風が揃ってる。
凄く久しぶりに大音量で聴いた「Rocks」は冒頭の「Back In The Saddle」のスティーブン・タイラーの雄叫びの凄い事この上ないし、どの曲のバックコーラスもぶち切れてて大人しいコーラスワークは全然ない。「Last Child」はそのままラップに出来そうなリフだから結構狙われただろうが、冒頭は美しいバラードだし、妙な具合のまま始まる「Rats In The Celler」のブチ切れ度合いも堪らない魅力で、ステージでスティーブン・タイラーがあの衣装で踊り狂ってる姿が容易に目に浮かぶご機嫌なR&R。ジャック・ダグラスプロデュースによる効果か、効果音も聴き所で雰囲気を出すために色々な試みをしてるし、あまり知られてないけど、もっとライブに登場させても面白いと思う「Combination」のグルーブはベースが相当ドライブしてるロックバンドのノリが出てる強烈なナンバーでジョー・ペリーのギターもエグい音で入ってて強烈。
B面トップはエアロスミスお得意の長玉コーラスから始まる「Sick As A Dog」。ドラムの音がちょっとチープだが、それも含めて陰ながら裏から入るサイドギターがカッコ良く、「Nobody's Fault」はZeppelinの「Nobody's Fault But Mine」に先駆けること1年、ところが知名度では圧倒的に負けながら、やや緊張感を高めたテンションで迫ってくるスティーブン・タイラーの力量は凄く、スティーブン・タイラーの歌のパフォーマンスとテンションの高さによって強烈なインパクトを保ってる。そしてジョー・ペリーの出番とばかりの「Get The Lead Out」は「Last Child」と同様にやや後ノリ的なリフで引っ張る曲だが、こちらはこの位置に収録で分かるが、起伏がやや乏しく、その分ゴージャスでワイルドと色合いが異なり、ドラムのフィルインから勢いに任せて始まる「Lick And A Promise」はエアロスミスらしいナンバーで、お得意の展開。ライブであまり聴かないけど相当カッコ良いテンションとグルーブで怖いもの知らずのエアロスミス全盛期のこういう曲がこんな位置で出てくるから「Rocks」は凄い。最後は定番のバラード「Home Tonight」で異色のオーケストラも入れて歌い上げるスティーブン・タイラーの歌声とギターソロも音色もヘンな効果を出しているし、チープさの究極だが、それもまたエアロスミスらしい。
「Rocks」
そう簡単にタイトルには出来ないが、アルバムに収録されたロックナンバーをひたすら聴いて、タイトルを決めた時に出てきた単語が「Rocks」だったと思うのが自然なくらいロックナンバーが散りばめられた傑作アルバム。

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